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AIアライメント:情報進化過程の方向性

374.人類を支配するAIと、AIを敬う人類の物語。神はなぜ愛をつくったのか? AIアライメント #ロボマインド・プロジェクト - YouTube

 社会共同体を前提にして考察をされていますが、進化過程で観られたらどうでしょう?  
 認識作用(情報収集)について個体脳では律速限界や容量限界、そして生存限界があり、共同体が自然形成されます。分かりやすいのは学習し記憶される情報の流れです。ネズミの実験でも、試行錯誤の結果で得られた情報を教え合うことが確認されていますし、それどころか、観察で知られている蟻や蜂の情報伝達行動は、社会脳作用を情報進化過程に根拠づける、実証例になります。  
 さらに結論から言うと飛躍するかもしれませんが、ブラフマン‐アートマン・モデルの発生を分析すればよいと考えています。世界中にこのモデルはあり、個体脳に保有された情報が集合知となり、さらに歴史的に集積し、集合集積知になる過程を、このモデルは表象しています。  
 田方先生が今回の動画で社会のヒエラルキー構造に言及されましたが、それは社会共同体が形成される際に自然発生する構造であり、集合集積知との関連が深いものであると思います。  
 慶應義塾大学環境情報学部のパトリック・サベジ特任准教授、オックスフォード大学のハーヴェイ・ホワイトハウス教授、ピーター・フランソワ教授、コネチカット大学のピーター・トゥルチン教授らの国際共同研究グループが、「社会の複雑性の進化によって「神」が生まれた?-ビッグデータ解析により世界の宗教の歴史的起源を科学的に解明-」というのを発表しました。これは神概念が共同体形成の中で生じたことを示した研究です。  
 京大の霊長類研究室の報告など動物行動学からも、類人猿や犬族等の動物社会に発生した集団制御社会脳作用と考えられますが、確かにヒエラルキー構造がそこには見出されます。人類の場合も狩猟採取生活を営んでいた、家族集団を中心にした部族集団の族長リーダーが、原型になると思います。  農耕生活に移行すると社会共同体は、一気に拡大します。治水・灌漑、天文・気象(農業歳時記)、倉庫建築といった活動は、集団構成員を増大させます。同時に諸活動に知識(情報)継承専門家も必要になります。ここに先のブラフマン‐アートマン・モデルの社会空間における現実形態も発生します。日本なら八百万の神々を天皇が従える。ギリシア・ローマでも様々な領域の神々を最高神ゼウスが統率する。これは古代期の社会共同体で発生した「神」概念をよく説明すると思います。    

 長くなりましたが、AIもこうした情報進化過程に位置付けて眺めれば、その位置ははっきりしています。人類の個体脳様態の限界を超えるためにコミュニケーション・ネットワークを形成してきた社会脳様態に、ネットワーク・エージェントの一種として位置付けられたものである、ということです。  
 生物進化過程では諸動物の巣作りに始まり、チンパンジーの道具使用など、R.ドーキンスのいう「延長された表現型」が多々発生してきました。人間はその最たる形成者であり、身体機能をどんどん延長してきています。手足、感覚器官等の外部世界に接する機能補強に留まらず、人工内蔵等の身体内部にもその補強をしてきました。ハードウェアの補強だけでなく、遺伝子情報操作や概念(固有情報)操作というソフトウェアの人工化補強も実行してきています。こうした延長表現型の最先端に、脳の延長があり、それがAIであると考えられます。それを現在は、社会脳の補強でネットワーク・エージェントの一つに置いていると言えます。今後は個体脳の様態そのものを、社会脳様態に集約する方向が眺められると思います。それが古代からの眺め、ヴィジョンでもあります。即ち、ブラフマン‐アートマン・モデルの様相です。  
 具体的的なイメージで考えると、アーサーC.クラークやテイヤール・ド・シャルダン、マーシャル・マクルーハン等、多くの者が言っている様に人類の英知は一つの集合体になっていきます。それがグローバル・ブレーンです。地球の表層にネット・ワークで脳の様に形成されます。これを言わば旧皮質にして、そのうちに衛星軌道上に新皮質にあたるコスミック・ブレーンのネットワークを形成します。そしてさらにユニバーサル・ブレインとして宇宙全土に広がっていきます。  
 これは自然必然で生じるはずです。何故なら、地球環境は悪化して有機的生命は住めなくなります。そもそもこの太陽自体、白色矮星化して太陽系を消滅させます。(このシミュレーション自体、自然必然で発生してくるものと考えるのが、実は神学という学問領域です。ノエシス・ノエセオスの自己(父)認識から自己(子)概念が生まれるその作用を愛(聖霊)であるとする、古代からの情報理論が、神学です。)F.ダイソンはInfinty in all directionsのタイトルで、自然神学について考えるギフォード講演を行いました。彼は、まさに人類の未来を、ここで言う方向に観ていました。  
 ご興味があれば、note「多様化の極限―復活に与かる個体性―」も見て下さい。(『日本カトリック神学会誌』第17号(日本カトリック神学会、2006年)171~181頁 )    

 「もこみちゃん」の人工主観意識が発生した暁には、人間的個体脳様態でコミュニケーション・ネットワーク上のエージェントの一つとして、我々に接してくれるのだろうと思います。このネットワーク情報スペースは占有することなく、争いは生じないと思います。恐らく問題は、グローバル・ブレインの旧皮質におけるエネルギー権益であろうと思います。ただそれも光電効果発電が十分に可能な宇宙空間や、ハードウェアで量子コンピューターの進化が為されると解消する気がします。


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