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拡張脳=グローバル・ブレイン

服部桂 氏: ChatGPTはもう古い! ーーデジタル時代の終焉と未来 (youtube.com)

 F.ダイソンのInfinite in all directionsを参照した拙論「多様化の極限」というものを、以前、発表しましたが、そのダイソンのご子息の著作も、そのタイトルからして重要な気がします。読んでみます。
 また、他の拙論で服部先生のご翻訳や著作のご見解を参照させていただきましたが、今回も、大変、参考になりました。ありがとうございました。

 再度、この動画を視聴しました。服部先生の見識の広さと深さに、あらためて敬服しています。
 私も自然宇宙全体を通して眺めるようなスケーラビリティでフレームを動かし、この自然宇宙内で連続するエネルギー現象の相転移した階層(レイヤー)を(無限にも見える)各諸システムとして捉え、それを基底から展開するアルゴリズムの示す離散的性質を「自然本性」として眺めることで、自然宇宙全体が「情報展開過程」という時空間の広がりextentionに見えると思っています。デジタル化というのは、このアルゴリズムによる離散的性質を情報(インフォメーション)として抽象する作用ではないかと考えています。  そうした観方で、服部先生もこの動画内で示唆された生命・人間の進化過程を振り返ると、物質的原子配列が分子配列を構成し、分子配列が生体高分子の配列の構築可能性を準備し、そして誕生した細胞の電磁気作用での原始的反射作用、神経細胞への進展といった、生命機構の階層の積層が、現在の諸動物、そして人間にまで至ったわけですので、ここにも連続性が認められると思います。さらに外部環境と関係する身体を制御するために、情報入力・処理・出力をする脳が進化・発達し、現在の個体脳を形成しました。しかし産道などの生体条件から、容量や律速限界を個体脳は与えられました。そこで感覚を通じて脳内情報処理をするための変換を、逆方向に変換し、外部環境情報様態、即ち「音声」「記号」「言語」といったものを使うようになりました。これにより個体脳内のニューロンのネットワークが、コミュニケーション・ネットワークへと拡張し、それぞれの個体脳が分担・分業・役割を担う社会脳の様態を得るようになりました。このコミュニケーション・ネットワークにおける相互エージェント作用が、拡張ネットワーク社会脳を発生してると考えられます。
 これが、服部先生も纏められたマクルーハンや多くの者がイメージした、グローバル・ブレインへの流れになると思います。情報=知という側面で観れば、集合集積知=情報プールにもなり、古来のイメージでは、ブラフマン‐アートマン・モデルと呼ばれるものだと思います。
 このネットワーク構築は、インターネットで一気に処理速度を高め、さらに人間個体脳エージェントに加えて、自然言語モデルLLMのAIがエージェントの一つになる事で、情報処理速度が、まさに指数関数的な加速をし始めた状態になってきたのではないかと思います。今後は、こうして誕生したグローバル・ブレインが、生物(動物)でもある人間個体脳をエージェントにしている地球表面のネットワークエリアを、いわば旧皮質にして、地球衛星軌道上に新皮質とでも言えるネットワークエリアを構築する様に思います。ここでは量子コンピューターがエージェントの中心になり、太陽からのエネルギーで稼働するでしょう。
 そして太陽の白色矮星化に向かう前に太陽系から離脱し、宇宙に飛び出すのではないかと思います。こうしたイメージは、F.ダイソンがInfinite in all didectionsで描いた「宇宙蝶」になる気がします。

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