電通の女性新入社員自殺 広告業界の根深い最悪な労働環境の実態を書く

みなさん、こんにちは。

羽生一月(はぶ ひとつき)です。

電通の女性新入社員自殺、労災と認定 残業月105時間

高橋さんは東大文学部を卒業後、昨年4月に電通に入社。インターネット広告を担当するデジタル・アカウント部に配属された。代理人弁護士によると、10月以降に業務が大幅に増え、労基署が認定した高橋さんの1カ月(10月9日~11月7日)の時間外労働は約105時間にのぼった。

 高橋さんは昨年12月25日、住んでいた都内の電通の女子寮で自殺。その前から、SNSで「死にたい」などのメッセージを同僚・友人らに送っていた。三田労基署は「仕事量が著しく増加し、時間外労働も大幅に増える状況になった」と認定し、心理的負荷による精神障害で過労自殺に至ったと結論づけた。

僕もテレビ業界で働くものとして、

この記事を読んで衝撃を受けました。

またしてもサラリーマンという奴隷制度が、

将来有望な夢に溢れた若者の命を奪ってしまいました。

ただ世間の受け取り方よりも、

僕は同じ業界に身を置くものとして、

もう少しこの事件の実態を書くことができると思うので、

世の中の人に本質を知ってもらいたいと思い、

この記事を書きます。

残業時間それ自体は、この業界では通常の範囲

残業時間105時間という点がニュースでは強調されていますが、

残業時間自体はこの業界では普通の残業時間です。

僕も今年に入ってからの残業時間は月100時間を切ったことはありませんし、

バラエティやドラマの制作現場で働いていると、

300時間くらいの残業時間を経験したこともあるやつがザラにいます。

残業時間それ自体ではなく、

この問題の本質はもっと深いところにあるんです。

問題の本質1:

テレビ業界、広告業界は古い体質ゆえにパワハラ、モラハラも許される

本当にこの業界は古いんです!!

もう上司の連中なんて明治時代から進化していないような化石みたい連中ばかり。

パワハラ、モラハラ、セクハラなんて言葉は全く通用しません。

いやむしろ知りません。

新人へのこういった発言、態度は全て愛のある教育として許される、

歪んだおかしい世界なんです。

自殺された方の実際のツイートにもそれがあらわれています。

男性上司から女子力がないだのなんだのと言われるの、

笑いを取るためのいじりだとしても我慢の限界である。

おじさんが禿げても男子力がないと言われないのずるいよね。鬱だ〜。

— まつり (@matsuririri) 2015年12月20日

いくら年功序列だ、役職についてるんだって言ってもさ、

常識を外れたこと言ったらだめだよね。

人を意味もなく傷つけるのはだめだよね。

おじさんになっても気がつかないのは本当にだめだよね。

だめなおじさんだらけ。

— まつり (@matsuririri) 2015年11月2日

僕も新人の頃に似たような経験をしました。

年収1000万円の僕が断言します。サラリーマンはオワコンだ①

年収1000万円の僕が断言します。サラリーマンはオワコンだ②

年収1000万円の僕が断言します。サラリーマンはオワコンだ③

本当に重労働の中で、

人格を否定され、

なんの意味があるのか説明されないことを、

やり方も教えられずにやらされ、

もちろん失敗して、みんなの前で罵倒されて、

また人格を否定されて、

こっちは真剣にやっているのに笑いのタネにされて、

何も面白くないよ?何を笑ってるんだよ?

って、本当に毎日思っていました。

しかも朝の9時から夜の27時まで毎日毎日それを繰り返されて・・・。

上司は部下に仕事を押しつけて夜は飲み歩くか、

早く帰って家族との時間を楽しむので、

部下の辛さなんて微塵も感じていません。

だから、

「今はそんなに忙しい時期でもないのに、

 なんでそんなに仕事が回っていないんだ?」

とか平気で言っちゃうんです。

こういった業界の体質自体が今回の事件を引き起こした本質です。

僕も自分に給料をくれている会社だけど、

ある日むかつくおっさん達が会社ごと吹っ飛んで無くなればいいのに、

って願っちゃう日すらありました。

結局、僕は我慢の限界になって、

本当に上司をぶん殴っちゃう直前までいって、

でも一緒に働いていた別のスタッフの人が、

先にその上司につかみかかってくれたおかげで、

今も何とか働いているだけです。

もしかしたらあの時に傷害罪で逮捕されていたかもしれない。

まだ僕みたいに外に発散できるタイプなら良いと思います。

でもこの亡くなった方はツイートを見ても、

怒りがこもっているツイートでも本当に優しい言葉づかいのまま。

東大を卒業するような優等生タイプだとお見受けするし、

人に対して怒りをぶつけるようなことは、

これまでの人生では必要なかったのかもしれません。

そもそも新人なんだから、

間違ったことを言われても、

怒りを表現していいものかも判断ができないですよね。

問題の本質2:

仕事以外の雑務の多さ

冗談でもなく、大まじめにこの業界のおっさんたちは、

『芸も仕事のうち』

と思ってやがります。

だから宴会の幹事も、

結婚式の出し物の仕切りもすべて新人の仕事になります。

新人の教育のため、と本気で思っているからです。

しかも、『宴会なんだから、仕事優先で』

なんて言おうものなら全力で怒られます。

『仕事も完璧にこなして、宴会も全力で頑張ります!だろ!?』

もはや生きている世界が違う人たちなんですよ・・・。

業界に伝わる噂として、ある局のある営業部は、

部長が宴会の出し物を部員ひとりひとりにやらせて、

その出し物のクオリティで査定をつけたとか・・・。

まさか冗談でしょ、って思うじゃないですか。

でも事実みたいです・・・・。

僕も宴会では着ぐるみを着て踊ったり、

社内の宴会なのにアイドルをキャスティングしたり、

新人の頃は全力で幹事を頑張っていました。

宴会の幹事業務のためなら徹夜もなんのその!

そのくらいこの業界の宴会に対する姿勢は本気そのものなんです。

でも新人の立場からしたら、

先輩からふられた膨大な仕事に加えて、

この宴会の仕事もこなさなければいけないのは、

本当に地獄です。

しかも宴会の幹事という仕事は、

ある程度周りにキャラを認識してもらっている方が、

ハードルが下がります。

「あいつはいつもスベるから今日もスベるんでしょ?」

「また寒いことばっかり言ってるけど、あいつほど毎日寒いことを言えるって、

 ある意味面白いよね?」

くらいまでキャラが完成されると、本当に場の空気をつかむのが楽になるんです。

ところが、ここでも新人は不利。

やっぱり周囲にキャラも何も伝わっていないから、

新人の一発目の幹事は本当にハードルが上がるんです。

ちょっとでもお客さんから、

「あいつもっとしっかりやらせて」

とか言われようものならもう大変。

おっさん達は仕事と同じかそれ以上にブチキレます。

実際僕は前に宴会の幹事の仕切りで、

ブチ切れられて、シャツを破かれた後に殴られました。

そうやって一生懸命やった仕事をことごとく否定されて、

自己否定が始まってしまうんですよね。

いやー記事を書いているうちに、

自分がサラリーマンが嫌いな理由を心から再認識しているな・・・。

問題の本質3:

それでもその実態を変えようとする上の人間がいない

この業界の特徴は問題の先送りが多すぎること。

こうした問題が起きても、誰も抜本的に改革を行おうとする人はいません。

確かに電通は最近はある時間を過ぎると、

オフィスの電気も自動的に消えるようになって、

それでも仕事が終わらない人たちは自分で小さい電気を持ち込んで、

仕事をしていました。

すると、今度は時間を過ぎると、

完全にシステムごとシャットダウンして、

仕事をできなくして、

とか色々とやっていますよ。

でもね、それは全然本質じゃない。

社員全員の意識に、

『上司も若手も人間としては平等だ』

という当たり前の常識をインプットするようにしなきゃいけない。

モラハラ・セクハラ・パワハラ禁止。

若手の人格、人間性を尊重して、業務量もコントロールする。

そもそも高度経済成長期みたいに、

大量生産、大量消費という発想自体が古すぎる。

社員全員がその会社で働くことを誇りに思えるような人間に、

社員ひとりひとりが自覚を持って、

変わらないといけない。

もしきちんと尊重され、発言の機会やチャンスが与えられ、

意思決定に合理性、透明性があったら、

残業時間100時間なんて全然余裕ですよ?

そもそも仕事としては、

本当は楽しいジャンルの仕事のはずなんだから

僕たちの業界のおっさんたち、

本当に自分たちがやっていること分かってる?

今回の事件は本当に教訓として、

僕たちは胸に刻まないといけない。

同じことが二度と繰り返されないように、

本当に業界として変わっていかないといけない。

こんなブラックな実態のままだと、

優秀な学生が誰も来てくれない業界になっちゃうよ?

この記事を読んでいるみなさん。

全力で会社を変える努力をするか、

もしくは僕のようにサラリーマン卒業を一緒にめざしましょう!

羽生一月

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