Nさんに

酔いと蛍に想いをのせて。四季は巡り巡って、歳毎に、想いも巡る。去年の想い出を歌えるは、今年の特権。特権に酔いしれて、あるいは次の年とのけじめのために、今は酔う、歌一首。

蛍の香りは、こぞの想い出。ふたりの道を、今はひとる。独酒に落涙、かはいまいづに、こはももここに。独酒に喝采、こはももここに、かはもも楽しく。こぬこえに、映る、我が身の拙さと、くるこえに、映る、我が身のふまじめさ。こぞはまだ、はつとせ酒に、想いをうつす。うつし酒、我が哀しさを、祓いたまえ、かのうつくしさを、寿ぎたまえ。今もまだ、哀しさは襲いきて。今もまだ、美しさは立ち現れて。
彼女の健やかさと幸福に。今夜も一盃、独り酒。

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