講義録 遠くて近いパレスチナ8

パレスチナは今までお話しした西岸地区ともう1つガザ地区とあります。このガザ地区は地中海沿岸にあり写真で見るととても海が綺麗な街です。しかし、隔離壁に囲まれた空の見える監獄とも呼ばれています。イスラエル側、エジプト側双方のゲートは閉じられ中の人は外に出ることはできません。電気は1日4時間の供給と言われていますが実際は2時間程度ということを聞いています。一番の問題は水の汚染です。浄化水槽はイスラエルの爆撃で破壊されたままです。あと数年で人が住めなくなるとも言われています。それくらい水の汚染がひどいそうです。わたしはガザに入ったことはありませんが申請はしていてイスラエルのガザ担当部署に申請書を送り許可を取らなければなりません。いつも却下されていますが。ネガティブな話はいくらでも出てくるガザ地区、美しい地中海がよりその悲しみを際立たせます。ここでは出来るだけ明るい話をしたいと思います。
ガザ人というのは義理人情の熱さはパレスチナ随一と言われています。おもてなしについて聞いた話はあるガザ駐在の方が大家さん(パレスチナ人)がいつも一人暮らしでしょう?と言って夕食をおすそ分けしてくれるそうです。繰り返しになりますがガザは今でも空爆があり家々が破壊され廃墟もたくさんあり、そこからの復興を日本の第二次世界大戦後の日本の復興を心の糧にしたいと思っている人が多いです。日本の支援ももちろんありますが、毎年3月には東日本大震災の追悼イベントをガザの難民キャンプの子供達が中心となって行われています。
ガザだけではありませんが、日本のパレスチナ支援は多岐にわたっており、それはわたしたちの税金がもちろん使われているわけですがパレスチナを歩いていて日本の日の丸を見かけない場所はないと言っていいくらいです。ガザでは下水道も日本が整備中ですし、インフラはじめ医療機関や学校などでも日の丸を見かけます。
今年日本の支援で行われたガザでのスポーツ大会はそれはすごい盛り上がりようで動画を見ましたが塀に囲まれた中でのスポーツという娯楽は少しでも彼らの心の支えというかメンタルケアになったはずです。

打って変わって商都テルアビブという街があります。アラブのヨーロッパというか、カオスを感じる街です。事実上イスラエルの首都だと言えますが多くの大使館もあり海外からの飛行機もここに降り立ちます。地中海に面しており、お洒落なカフェも多くてこの100年で育った木々が作り出す並木道も歩くのに気持ちがいいところです。
イスラエル、ユダヤ教の国で一神教の祖とも言えますがこの街はLGBTフレンドリーで、イスラエルの国旗の横にレインボーフラッグを掲げているという光景をよく目にします。LGBTがどうこうということはさておき、宗教という観点からするとタブーではありますから、そこに堂々とレインボーフラッグがあるというのは素敵な矛盾というか都会的な空気を感じます。クラブやバーもたくさんあり、現代アートやコンテンポラリーダンスでも有名な街です。歩いていて危険を感じたこともないですし夜中に歩いてももちろん危険な場所はあると思いますが多くの場所は安全です。最近できたラーメン屋さんは豚骨というそこにも宗教からいくとタブーですけど成り得る面白さがあります。
反面というか自由を感じられる都会的な場所ではありますが、アラブ系イスラエル人(イスラエルに住むパレスチナ人)、白人系以外のユダヤ人、エチオピア系ユダヤ人の差別というのも未だに残っているという現実もあります。それに対する反対活動をしている人も見かけますし、都会的という点ではアニマルライツの運動も街で見かけます。わたしからすると、動物の前にパレスチナ人に対する政治的な嫌がらせをどうにかしたら、とか思ってしまいますが。
テルアビブはスタートアップやフィンテックやブレインテックも盛んでこれから何かやりたい!という人は一度行くと良い刺激があると思います。

2017年12月6日、アメリカのトランプ大統領がエルサレムはイスラエルの首都であると宣言した日です。そのことについてワリード・シアム駐日パレスチナ大使はアメリカの対応は国際法、国連決議を無視するものである。 この問題は宗教の問題ではなく、政治的な問題。国際社会は北朝鮮を罰することがあってもイスラエルを罰することはないそれは、パレスチナが国際社会から無視され続けていると感じることである。平和というのはこの地区の問題ではなく、達成するには本当の国際社会(日本を含む)の協力が必要なことだ、そう述べています。そして、 歴史的な悲しい日であったと発言されています。それに対して日本政府の反応は賛否の名言を避けました。ただし、大使館をテルアビブからエルサレムに移動することはない、と言っています。
そこに尽きると思います。わたしたちは何を思い、何を行動したらいいのでしょうか?

それぞれ思いはあると思いますが、わたしが日本人として感じることは、ここを名言しないことで中東和平の仲介役をアメリカに代わってイニチアシブを取ることができるはず、ということです。そして今まで関心がなかった人もこれを機にパレスチナ問題というよりもパレスチナ人がどんな状況で生活しているのかを知ってほしいと思います。まず知ること関心を持つということが彼らの生きることへの執着、モチベーションにつながるはずです。

遠くて近いパレスチナ、今まで距離も心も遠いと思っていたパレスチナ、パレスチナ人はわたしたちを身近に感じシンパシーを感じている、そのことを知るだけで少しはパレスチナを身近に感じられるのではないでしょうか?


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