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使えるお道具

母は中学校を卒業した後に和裁の専門学校に行きました。嫁入り修行で料理教室にも行ったそうですが、それは和裁の内職で小銭を稼いでからのこと。年の離れた2人の妹は高校まで行けましたが、大工の6人兄妹で弟子の住み込みを何人も抱えた家の長女ではちょっと無理だったようです。
結婚して家庭を持ってからも母は和裁の仕事をしていました。
わたしが小学校の家庭科で裁縫を習い始めたときに並み縫いのやり方が分からず、教えてもらったのですが、最初の最初でついていけませんでした。
何しろこちとら左利きです。縫い付ける方向も逆なら指抜きも逆。
そして何より母は教わったことしか教えられないと言う…
母はまず糸巻きから糸を針に通して(それは出来る)50センチほど糸を伸ばして両手で
パチーンと引っ張ってヨリを取り、それから縫うのだと言うのですが、どれだけ頑張ってもわたしの糸は音がしませんでした。今に至るまで一度もです。

母から教えてもらえて役に立つようになったのはずっと後のことです。今に至るまで和裁で使う指抜きを使いこなすことができない、つまり並縫いはできていません。

ただ縫い物が好きになったのは母のおかげですね。母は和裁以外でもわたしと妹の服や学校生活で必要になる袋ものもすべて縫ってくれましたし、やがてその勢いでバザーに大量の小物を出品するようになりました。その後バザーの他の人たちと行き違いがあって、お金のために物を縫うことは辞めましたが、誰かの親切にそういうものでお返しをすることは今でも続いています。

和裁は特別な道具はあまりありませんが、最近便利だと思って購入したのがくけ縫いのためのかけ針とくけ台です。

机に固定しているのがくけ台
布地をつかんでいるのがかけ針

これを使って布地を引っ張ってまつり縫いをすると上下の生地がうまく馴染みます。

母と同様に和裁で内職をしていた主人の母が、脚を悪くして正座が出来なくなった時に仕事を辞めました。その時もう使わないというので譲り受けたのが電気ごてです。

ヤケドに注意

和裁では布に印をつけるのに普通はチャコはあまり使いません。縫い始めと縫い終わりにコテやヘラを押し付けて凹みをつけて印にします。電気ごては言ったらドライアイロンの取手の長いヤツ。先っちょが薄くなっていてシャープな印が付きます。スチームが必要な時は霧吹きで布地を湿らせます。細かい作業が出来るので小物作りには大変便利です。ホントはもっと使えるヤツなのではないかと思っています。

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