「サージカルテープ」絆創膏が子どもを癒す。

こんにちは。先生へむけてのメッセージを綴っています。みなさん、「サージカルテープ」ってわかりますか?バンドエイドではなくて、巻いてある普通の絆創膏です。ケガをしてガーゼを当てた時にそれをとめるのに使ったり、病院で点滴をするときにチューブや針を皮膚にとめたりする時に使うものです。この、サージカルテープが3年生の子ども達を癒した話です。

私がずいぶん前に全体的に幼い3年の学級を担任しました。その子たちは、かわいいのだけれど、湧き出てくるパワーは小さめ。ちょっともったいないなという印象でした。

ある時、女の子のお母さんが学校に来られました。話を聴くと、「爪を噛むのが癖になっている。ギリギリまで噛んでしまうので傷になる時もある。やめるように注意するんだけれど、なかなかやめられない。なので、学校でも爪を噛んでいたら注意してほしい。」という内容でした。その子は、大人に対する話し方が出来すぎな感じがあるのだけれど、授業中に自分が当てられなかったらかんしゃくを起こすときもある。ちょっとアンバランスな感じがする人でした。お母さんはとても元気そうな弟を抱っこしています。もしかしたら、お姉ちゃんだから…と我慢していたのかも知れません。

本人と爪噛みについて話すと、ついつい爪を口に持って行ってしまって、噛んでしまう、お母さんやお父さんにいつも言われるんだけれど、つい嚙んでしまう…ということでした。なので、保健室にある絆創膏を貼ってみようか?と相談し、私が教室で貼り始めました。けれど、すぐに外れてしまうので、サージカルテープを用意して、毎日指先に巻いてあげていました。時には、何本もの指が気になってしまうことがあるので、休み時間ごとに私のところへやってきて、「よしよし、巻いたろ!」と巻いてあげていました。

3日くらい経った時、別の女の子が「先生、私、この指のさかむけを引っ張っちゃったから、痛いねん。」と言いに来ました。「そうなん。じゃ、絆創膏で貼ってあげよ。」とくるりんと指に巻いてあげました。すると、また別の男の子が、「僕、この指の先っちょがなんか痛いねん。」と言いに来ました。「そうかそうか。巻いたげよ!」とまた、くるりんと巻きました。

何だか次々と指先に巻いてほしい人が増えていきます。時にはちょっと離れたところで、絆創膏を巻いてもらう友達の様子を見ている子もいます。その子に、「痛いところがあるんとちゃう?」と尋ねると、「うん…。ここやねんけど…。」と言います。気がつくと、毎日毎日休み時間ごとに何人かの指に絆創膏を巻き巻きすることになりました。薬局で何本くらい買ったかなぁ…。全部で6~7本くらいだったと思います。

行列ができ始めた時は、「これ、いつまで続くんやろ?」と思いましたが、ピークを過ぎるとだんだん少なくなってきます。そのうち、誰も来なくなりました。初めに爪噛みで来ていた女の子も、そんなことは忘れて運動場に遊びに行っています。その頃からでしょうか?子ども達がしっかりしてきたなと感じるようになったのは…。

今思うと、何か心の中に足りないものがあったのだろうなと思います。何かほんの少し満たされていない部分があって、しっかりと自分の足で立つ力が足りなかったのではないかな、と思います。「サージカルテープ」で満たされるようになるの?と思うかもしれませんが、一回一回は大事なふれあい。子どもの心って無条件に構ってくれる優しさや温かさで埋めてあげなくてはならない部分があるんだと思うのです。

このお話は、stand.fmで声でお伝えしています。「ちいハモラジオチャンネル」で、あいうえお順の文字から始まるテーマでお話しています。今日は、『さ』です。お時間があれば『あ』から聴いてみてくださいね💛

#サージカルテープ #絆創膏 #小学三年生