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リバティ・バランスを射った男 The Man Who Shot Liberty Valance 1962 パラマウント製作

ジョン・フォード監督の白黒ワイド映画。西部劇でありながら、アメリカが如何にして民主主義国家になったかを描いている、骨っぽい作品。私にとっては、何度でも見たくなる作品だ。
西部劇の大スター、ジョン・ウェインと空軍准将だった愛国者ジェームズ・スチュアートがW主演。

スタッフ

監督 : ジョン・フォード
製作 : ウィリス・ゴルドベック
原作 : ドロシー・M・ジョンソン
脚本 :ジェームズ・ワーナー・ベラ / ウィリス・ゴルドベック
撮影 : ウィリアム・H・クローシア
音楽 : シリル・モクリッジ

キャスト

ジェームズ・スチュアート (ランス)
ジョン・ウェイン (トム)
ヴェラ・マイルズ(ハリー)
リー・マーヴィン
(リバティ・バランス)
エドモンド・オブライエン (ダットン・ピーボディ)
アンディ・デバイン (リンク・アップルヤード)

ストーリー

1880年代、若い弁護士ランス(J・スチュアート)は、東部の大学を卒業し、新天地である西部で新規開業するためにやってきた。
しかし、彼は途中で悪漢リバティ・バランス(L・マーヴィン)の一味に襲われ、危ないところを拳銃の名手トム(J・ウェイン)に救われた。食堂の娘ハリー(V・マイルズ)は、負傷したランスの介抱をする。実は、当時トムとハリーは付き合っていた。
地域の民主派住民は、この地域をアメリカ合衆国の州に昇格するため政府に対して運動していた。それに対して、牧場主の一部が反対し、リバティ・バランスはその手先となって住民たちを脅していた。
正義感に燃えるランスは、町の新聞社主ピーボディと協力して、牧場主と戦って世論を味方に付ける。しかし、ピーボディが襲われ、ついにランスは、へなちょこ拳銃を握って、リバティ・バランスと往来で対決する・・・。

雑感

明示されていなかったが、舞台は西部のモンタナあたりかな?
見事なジョン・フォード監督の西部劇だ。二大ハリウッド・スターのジェームズ・スチュアートジョン・ウェインが共演しているが、二人の主義主張は似ているし、この監督なら両方とも文句は言えないだろう。
そこにヒロインとしてヴェラ・マイルズが花を添える。さらに、悪役はリー・マービンとリー・ヴァン・クリフだ。ひねりのあるプロットと言い、どれをとっても最高である。
テーマとしては、アメリカ民主主義とある弁護士の(両方の)成長過程を描いている。日本人には考えられないような、アメリカ人(中流以上だけだろうが)の政治意識の高さを思い知らされる。
リー・マーヴィンにとってもこの作品は、出世作に当たる。彼が演ずるリバティ・バランスと言う名前を聞くと「自由」を意味しているから、味方のような気がする。皮肉なことにリバティは、封建的な大牧場主に雇われていて、ランス弁護士の命を狙う。
ヴェラ・マイルズについては、初めてこの映画を観たとき、彼女の美しさにコロリといってしまった。恐らく撮影のウィリアム・クローシアが上手く撮影していた。彼女は、昭和30年代にジョン・ウェイン主演映画「捜索者」とヒッチコック監督映画「間違えられた男」「サイコ」に出演していた。ブロンドの恋人役としては最高の美人なのだが、主役を張るまでには至らず脇役になったのは残念だ。
白黒で撮ったのは、20代の若い頃の話が中心だからカラーにすると無理があるから。撮影当時ジョン・ウェインもジェームズ・スチュアートも50代だった。ただし撮影のクローシアは、パラマウントがケチで制作費をケチったからと主張している。


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