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エノーラ・ホームズから見る英国女性参政権

家族で最近見て大変エンジョイしたネトフリ、「エノーラ・ホームズの事件簿」。1も2も素晴らしかった。

男性が考えるそれでないユニバーサルな可愛らしさ。芯の強さ。娘に見せるのに素晴らしい内容だと思う。夫も絶賛。

エノーラの母親は女性参政権の活動家である。シリーズあちこちで「トラブルメーカーであれ」とエノラに教える。

これはアメリカ人なら誰でも分かる引用で2020年に亡くなった下院議員、John Lewisの有名な言葉

'Get in good trouble, necessary trouble'

から来ている。

彼は60年代米国黒人市民権運動のリーダーの一人であの有名な「セルマの行進」(映画にもなっている)をMLKと共に行った。

セルマからモンゴメリーへデモ行進。その先には武装した警察が待っていた。Bloody Sundayとも呼ばれる。1965。


当日逮捕されるジョン・ルイス


2013年、下院議員でありながらも移民政策に反対する議事堂前のデモに参加。やっぱり逮捕される。2013。


Bloody Sundayの50年記念日。オバマ一家と共に行進する。


社会の変化とは、権力と利権を持った上層に反抗する事で起こるのだから、穏やかに進む訳は無く、その推進派は権力層に「規律を乱すもの」とレッテルを貼られるのが常だ。「トラブル」を起こしてこそ変化が起こる。だからそれを恐れず行動を起こせ、という意味。

母親が同志の女性達と何やらミーティングをしているシーンがあり、私が「ああ!suffragette(女性参政権運動)だね!」と言うと娘が「ハッ!」とする。

「メリー・ポピンズのママさん!」

メリー・ポピンズのアルバムは娘の就寝時の音楽のローテーションの1つなのだが、それにSister Suffragetteという曲がある。映画の最初、母親の紹介のシーンの曲なのだが「男は一人にしとくといいんだけど集まるとアホやらかすから!」との歌詞を娘は気に入っている(笑)

メリー・ポピンズでは「女性のくせに社会活動に明け暮れて子育てをおざなりにしているいけてない母」という目線で描かれているのだがその皮肉は娘には届いていない(ヨシ!)

「ウォークのダメママ」描写。ウォークで何が悪い。

なので娘はSuffragetteという言葉を既に知っていた。

「メリー・ポピンズもロンドンだよね?エノラ・ホームズとメリー・ポピンズは同じ時代にいたのかな。」と娘が言うので調べる。

英国女性参政権運動の始まりは1866年。

「エノラ・ホームズの事件簿2」がベースにしている実際の話「マッチガールズのストライキ」は1888年。

女性工場員達のウォークアウト


本当にあった話(詳細は映画用にアレンジはしてある)

メリー・ポピンズの設定年は1910年。

そして英国で女性参政権が認められたのが1918年。

50年かかったんだ。。その間ずっとtroublemakerとして戦った女性達がいるんだな。

エノラ・ホームズのシリーズは児童小説の原作本(ナンシー・スプリンガー著)があり、今娘はそれを読んでいる。最近は女の子に見せたいコンテンツが沢山あって嬉しい。

因みに、原作本は日本語訳も出ているのだが、その表紙の凄さにビビった。。。なんだこれは。

こう言う雰囲気は全くないのだが。。。


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