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片岡『いつかあなたに逢えたなら』読了(BL小説)

普段「これ読み終わったよ! おもしろかった!」というのは、つぶやきの形で一応記録しています。

いるのですが表題のこちらの作品、そうしてひと言で、140字であらわすには少し、いえあまりにも言葉が足りないように思い、こちらに書きます。

再読して、ちゃんと感想が言葉になったらもっとしっかりした記事の形にしようと思うのですが、いったん読みながらしていたツイートを羅列させます。

下手なまとめブログみたいな粗悪さでごめんなさい。
こんな記事をあげるのは、さすがにはじめて。

でもまだちょっと、気持ちの整理がつかないのです。


ここまで書いておいてなんですが、この作品に対しての私の評価、かなり甘々かもしれない。
しかしクズ(め)攻め×健気受けというカップリングが大して好きではないはずの私がなぜこんなにも震えたのか……。

ところで、表紙・挿し絵はyocoさん。
この作品で、BLアワードにて表紙デザイン賞を受賞しています。

もともとジャケ買いだったので「わかるー! いいよねー!」と思ってはいたのですが、読み終えてから返ってくると、なんてぴったりな表紙なのだろうと感動します。
ほんとうに素晴らしい表紙です。

はぁ……はやく再読しよう。


追記;レビューを書きました

以下に転記します。

ジャケットに一目惚れして購入した。BLアワードで表紙デザイン賞を受賞したらしい。それも納得の美しさ。
作品は、いわゆる「(最初はソフトな)クズ攻め×健気受け」。よくあるパターンだし、受けの設定の不幸さも、BL世界なら王道と言えば王道。
しかし、しかし。
終盤のご都合主義を否定できないくらい、綺麗にととのえ作られた良作だったと思う。
設定は王道だが、誠実さが並外れている。
酷さをポルノに使わない。「持つと持たぬと」の間にある溝の深さを、柔らかな言葉でも逃げずに見据える。
受けの健気な献身は美しいが、よくよく考えればエゴである。そして受け自身も、自分のそれがエゴであるとわかっている。エゴという言葉や概念を知らなかったとしても。
それが、とても清々しい。
攻めのクズさも、少しずつ感化され氷解していく。受けは自己評価が低いまま攻めを翻弄させるし、攻めの与える愛情を受け取るのがあまり上手ではないから、攻めは湯水のように愛情を与え続けなければきっと、攻め自身が満足も安心もできない。慢心なんて絶対にむり。
クズにはいい呪いだと思う。いつまでも愛情いっぱいでいて欲しい。
そう、本書は綺麗なハッピーエンドなのだ。
ご都合主義、結構。
命を削る雨はやさしく静かに降るし、その滴は庭の花木を芽吹かせ生き返らせる。
残酷さを残酷なまま上質なシルクでくるんで、やわらかく提示されてしまった。読者の私たちは、極上の質感にうっとりとしながら呻くしかない。
繰り返すが、ハピエンである。だから大丈夫。
なお、構成も見事である。
視点が切り替わるが、整理されているので混乱しない。
映画のように、このささやかで美しい世界に引き込んでくれる冒頭のシーンは、中盤に形を変えて挿入され、視界が広がりクリアになる。
並行して走っていたライン、点在していたモチーフがひとつに収束してラストシーンへの明快な道筋になる。
構成まで美しい。見事だ。
そうして読み終えて表紙にかえってくると、気づくのだ。この表紙が、いかに秀逸なデザインであるかということに。
この表紙の1枚絵は、間違いなく、この物語を完璧に表現している。
この表紙に惹かれた人は、せっかくなので一読してみて欲しい。きっとこの物語を必要としている人もいるだろう。
私はこの作者さんが描くこの物語の続き、
甘く、残酷に支配されたしあわせな生き地獄を、ぜひ読んでみたい。

それではいったん、以上です。








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