対局日記#575

2022/11/26

負けて悔しいとか、将棋が面白くないだとか、つまらないだとか。何をちっぽけなことで悩んでいたのだろう。自分は半端者だと思った。


ここで△6五桂と跳ねられるかどうかを検討した。
しかし、▲8八角と引くのが好手で、△8五歩▲7七桂とぶつけられると次の▲5六桂が面倒な展開である。
▲6八角と引いてくれれば△5五銀左と出られるので後手良し。この違いをしっかり覚えておく。

よって、ここでは△8五歩が正解となる。

8筋歩突きのメリットが無くなってしまったが、▲7八金型のノーマル形に組ませたということに満足するべし。ここからは相手の研究を受け入れる覚悟で。

▲4六歩には△4二金寄としておく。

これが先手の最善形であるから崩れるのを待とうという方針だ。
後手としては△9四歩や△8一飛など有効な手が残っている。

ちなみに私はプロの実戦譜を全く知らないので自力で考える。

例えば▲4七銀なら、それを合図として△6五桂▲6八角△5五銀右▲同銀△同角と仕掛ける。

一見とんでもない攻めだが、成立する場合があることだけ覚えておく。
▲同飛△同銀▲7三角△6九飛▲5八銀△8九飛成

▲8二角成だと、△7八竜▲5五馬△4四銀で弾ける。
なので▲5五角成△7八竜▲6九銀打△5四歩と進む。

▲8二馬なら△8九竜で良いと見ている。
これを見るに、△6九飛と打ち込んで荒らせる場合はかなり強引な攻めでも通りそうである。もちろん自玉が安全な場合に限るが。

また、▲4五歩△同銀▲6八角という筋もあるらしい。

これは本線から外して▲4七銀などで局面を紛らわす方針。
しかし△5二飛▲4七銀△5四歩▲同歩△同銀▲7五歩△同銀▲同銀△同歩▲7四歩△6五桂などと進めてみる。

こうなると▲6八角と牽制に引いた角が空ぶっているので後手良しである。次に△5八歩が厳しい。


本譜である。
ここで▲4五銀としてきたため、△7五歩から手厚い攻めに成功した。
しかし▲6五桂△同歩▲2六桂△2五銀▲4五銀と工夫されるとどうか。

この場合、手厚く自陣に銀を受けるという手段が使えなくなるので、大駒を捌かれてしまいそうだ。
そもそも△6二飛~△6六歩という攻めも銀が逸れた瞬間に▲5四歩△同歩▲同飛で捌かれてしまうので色々と頓挫している。やはり歩の前に銀が出ている形はそれなりに支持が無いと難しい。


そういった意味ではここで△同桂成▲同角△5四歩▲4五銀△5二飛と一旦我慢する方が良い。
▲3四銀には△3三歩として一旦収め、銀の力を最大限に高めておく。
それくらいの気持ちで天王山を支えるべきだ。


これもまた難しい局面である。
本譜は△7六歩▲8六角△6四銀として戦いの意志を表明して勝ったが、実際はかなり危ない橋だった。
非常に説明が難しいが、現状は駒得しているわけではなく駒の働きでやや優位に立っている。言うなれば飛車の働きが一番大差である。この局面で角を押さえこむにはいささか労力がいるため、飛車の効率さえ優位に立っていればよいという見方で局面を進めていきたい。

そうすると、△6四銀という手は飛車を守りに使うという手である。▲8六角に対するお守となって、△7五銀打で角を得できるものの、小駒の攻めでも陥落する囲いだからそれほど相手にとっては損な交換ではない。
つまり飛車の働きを半減させて駒得に変換したということになる。しかし、ここで駒得は活きない。

やはり理論では説明が難しいので手順を示す。
△4六銀▲5六飛△4七銀成▲同銀△6七歩成▲2二角成△同玉▲6七金△7九飛成

▲5九歩には△3三歩で優勢。
やはり注目すべき点は飛車の働きが大差になったことだろうか。
あとは囲いの特性上、相手に桂がないと△3三歩と打った時が鉄壁すぎる。

これ以上の説明は控えるが、「進んでみたら良し、それはわかるがどうやってその過程を論理的に説明する?」と聞かれると難しい局面と言うのが存在する。それを説明できないうちは、まだ考えが足りてない部分なんだと思う。

このあとはお互いミスがあった後終わってしまったが、重要なのはここら辺だった気がする。


せっかくなので先ほど読んだ小説の感想を一言だけ述べておく。

将棋は所詮ゲームだ。
何度でも失敗の許される仮初めの戦場で「命がけ」という表現を使いたいのならば、相応の覚悟を持って臨まずして何を言えようか。

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