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桜が咲くことが幸せなことではないのです。 また春が来たねと言い合えることこそが幸せなので…
友人に恋人ができたらしい。 友人は「好き」を多用する人間だ。彼女にとって、この二文字…
イヤホンを落とした。 駅のホームで。 線路の上に。 駅員を呼んで探してもらうも見つからず。 …
俺は起きてからずっとベッドに腰掛けて彼女を見ている。彼女は起きてからずっと、姿見の前で…
23時就寝、6時30分起床。身支度を整える間に湯を沸かす。紅茶に砂糖を入れる。スプーンに山…
雨は私を薄暗い不自由な世界に閉じ込める。 頭が痛い。体が重い。瞼も重い。とはいえ仕事…
「歯ブラシが並んでいるとうれしくなる」 彼がなんとなしにつぶやいた。そういうのでいい。そういうのがいい。 秘密基地が少しずつ侵略されていく心地よさ。あったものが二倍になったり半分になったりして、なかったものが増えていく。洗面台には歯ブラシが二本並んで、本棚には同じ本が二冊ある。ベッドは狭くなって、寝返りが打てない。その窮屈さを愛おしいとさえ思う。食べなかったお菓子を食べるようになって、甘いもののすばらしさを知った私はもう、元には戻れない。彼が持ち込んだ様々なものが私の生