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20231016

目覚めたときに、夜のうちになにかがしずかに抜けていったのを潜在的に感じた
カーテン越しにあたらしい朝の空気、うつくしい秋のひかりがこぼれいづる

自宅の並び、3軒ほど先には、おおきなキンモクセイの木がある
先週後半あたりから花をつけだし、ようやくいい香りがただようようになった
あなたのその匂い、待っていたんだよ

日陰の地面がぬれているのをみて、昨夜に雨が降ったことを思い出す
どうりで空気が澄んでいると思った
新月ともあいまって、すっかり清められたらしい
すっかり洗い流された街は、まるでお風呂あがりのようにさっぱりとしていた

森へ散歩にいくと、自然のなかで課外活動をしているらしい小学生の集団、そして近隣の保育園から足を伸ばしたであろう一団をお見かけする
この季節はたとえ平日であっても、とてもにぎやかだ

どうやら子は混み合った遊具や広場にぐいぐい行くというよりも、ほどよい場所にパーソナルスペースをみつけて、そこでマイワールドへと潜り込んでいくタイプらしい
きょうは斜面にしつらえられた遊び場にあるすべりだいで遊んでいるうちに大勢の子どもたちが押し寄せてきたので、次第にそこからちょっとそれたあたりにある段差をひたすら昇り降りして、どんぐりや石を拾ってはリリースして遊んでいた
この他者とうまく棲み分けて共生するやり方、このくらいの年齢でも持ち得ているものなのだろうか

すこしずつ、紅葉もはじまったらしい
こもれびのさすほうを見やると、陽を透かす葉の色や濃淡にも奥行きが増したのがわかる

ここからいっそう、豊かな景色になるな
そんなふうにほくほくしながら歩いていると、子と目があったのだろうか、年配の女性がほほえみかけてくれた
こんにちはとごあいさつをして、ちょっとのあいだ立ち話をする

嫁ぐ前からこのあたりにお住まいだというその方は、その話しぶりから察するに、毎日のように来ているわけではないとはいえ、膝のようすをみながら、彼女なりのタイミングで足を運んでいるらしい
今朝はいつもよりは遅めになってしまったけれど、雨上がりだからさぞかしきれいなことだろうと訪れたのだという
その予想はみごとに的中し、このうえなくすばらしい景色だった
福々しい心地に満ちたまま、さようならとお別れした

森を歩いていると、時折、それぞれが日常的ないとなみを為すなかで、その軌跡が重なることがある
たまたますれ違っただけの方と、ほんのつかの間のあいさつや会話を交わす
それだけなんだけど、なにかとっておきのものを交歓できたような気がする

腹心の友と込み入った話をすることは代えのきかない濃密な時間だし、ときに顔見知りのみなさんとたわいもないおしゃべりに花を咲かせるのもおもしろいこと
それはそれとして、ふだんはまったく接点のないひととひょんなことから交流が生まれ、そのことから活力をもらったりもする
こうしたことって、旅先なんかでもよく起こりうる気がする

これも、「袖振り合うも多生の縁」なのだろうか
これに関してはあまり深読みすることもせず、ただただ、その瞬間をたのしんでいたい

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