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【一幅のペナント物語#15】ほどよく上品にまとまったオトナな一幅

◉今回のペナントは展望台である。全面に金をあしらったシンプルなつくりで、「渥美半島 蔵王山展望台」の文字と、特徴的な建物やテントサイトの様子、そこから望む、おそらくは三河湾の風景が黒くくっきりと描かれている。右の先っちょ部分の花はテッポウユリだろうか? 主線をプリントするのではなく切り取ることで地の黒を上手く使っている。ゴージャスで上品なのに、どことなくモノトーンの味わいのある素朴なデザインだ。風景の中のテントのデザインがレトロな登山テントで、ドーム型テントが世に普及する80年代以前の風景だと分かるが、なにより左上に描かれているロッジ風の展望台の建物が、現在の施設とは全く違うシルエットだ。現在の展望台は1994年(平成6年)に新しく建て替えオープンしたもので、地元の人たちに人気の夜景スポットになっているという。

◉これもまた、いまはそこに無いものを封じ込めたペナントだった。ちなみにこのロッジ風の建物は、1959年(昭和34年)に自衛隊によって開発が進められた蔵王山ドライブウェイの完成にあわせ、1964年(昭和39年)に名古屋鉄道によって建設されたようだ(その辺りのことについて書かれた記事を、田原市の広報誌から見つけることができた)。

「広報たはら」(平成28年2月15日号より)

当時、蔵王山は田原市を代表する観光地だっただけでなく、盆踊り大会やお茶会、各種の地域行事なども盛んにおこなわれていたようだ。皿投げのようなアクティビティがあったり、三河湾やその先の富士山までも見える望遠鏡なども設置されていたようで、こちらの動画で往時の様子を見ることができる。

◉このペナントは僕の苦手な房がちょっと長くてわさわさしているタイプ。この手のはスキャンするときに、美味く毛先?が揃えられないので、なんか面倒くさいのだ。実際、こういうのは壁に貼ったりすると、絵のほうに上の房が垂れ下がったりしてきて、気になる人は気になったという話も聞く。そのくせ縫製は意外と雑だったりするので、何本かが裏側の糸に巻き込まれてしまってたりする。ワサワサ房タイプはゴージャスな雰囲気にはなるけど、ちょっとイラっとする仕様なのであった。


【ペナ活報告①】ダンボールなどに無造作に詰め込まれて届いたペナントは、とにかくあっちやこっちが折れ曲がってたりして、スキャンするにも苦労するし、保管にも気を遣う。ということで、ペナント矯正用のスチームアイロンと簡易アイロン台を購入。アイロンはこの際なので旅行などにも携帯できそうなやつに(約¥3,500)。アイロン台は机の横に立てといてサッと取り出しやすそうな平型のやつ(約¥2,200)。念のためメッシュのあて布も購入(約¥500)。昨日届いたので早速使ってみると、なかなかいい感じ。ペナントの素材や状態によって、あまり熱を当てないほうがいいものもあるっぽいけど、それはやりながらコツを掴むとします。

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