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【ワルモノ絵】3!2!1!0!そら行けキャプテン・ウルトラ!

偉大なる特撮作品『ウルトラマン』後番組として、比較して語られがちな東映作品『キャプテンウルトラ』。当時はウルトラシリーズとして括られていたものの、いつの間にか蚊帳の外に。タロウに続く怪獣枠として選んだのはそんな不憫な宇宙人や宇宙怪獣たちでした。今回も印象深いワルモノを回想していきます。


◉三白眼がとにかく怖いバンデル星人

たまに体色の違うリーダーっぽいのがいるバンデル星人

1967年(昭和42年)4月、人気を博した『ウルトラマン』が最終回を迎えた次の週からスタートした『キャプテンウルトラ』。海外SF『キャプテン・フューチャー』にインスパイアされた意欲作とはいえ、やっぱり前作とのギャップが激しすぎました。どうしても子どもたちは"ウルトラ"のイメージに引っ張られたでしょうし、少なくとも毎週毎週、どんな怪獣が登場するのかと期待しちゃうでしょう。なのに全24話のうち前半12話まではこのバンデル星人勢力との攻防戦。まあ毎回怪獣的なのは出てきますが、ウルトラ怪獣ほどの迫力は無く、地味なお話が続いてしまってました。ヲトナ(ヲタクな大人)的には面白いんですよ。バンデル星人が無言で迫って来るシーンとかはなかなか不気味で良かったんですけどね。見た目は植物っぽいけど卵から生まれるバンデル星人。60年代テイストの造形が実に魅力的。小さな子どもでもすぐ描けちゃいます!

◉無秩序なシルエットがたまらないガルバン

磁石怪獣ガルバン。ワイヤーでぐるぐる巻きにされる様はSTARWARSのあのシーンみたい

第3話「磁石怪獣ガルバンあらわる」で登場するバンデル星人の操る怪獣ガルパン。磁力で金属を寄せ集めて出来たかのような姿。均整の取れたロボット怪獣ではなく、ゴツゴツしていて無機質な感じがとても個性的です。ソフビ人形なんかもなかなか良く出来ていて欲しくなりますが、そこはレトロアイテム、おいそれと買える値段でなくなってたりするので、自分で絵に描いて我慢我慢。『キャプテンウルトラ』ではコストアップ対策からか、こうした怪獣が別個体として何度か登場します。

このスクラップ無理矢理寄せ集めた感がたまりません(右は改造バンデラー)
(第8話「二大怪獣 火星都市にあらわる」より)

◉バンデル星人には騙されないぞ!(たぶん)

ゲバードを手にしたバンデル星人1号

第6話「怪兵器ゲバードあらわる」は、バンデル星人が美少女に姿を変えて人間たちの基地に潜入するストーリー。変身後の姿を演じる子役・サンディ=V=コリンズが国籍不詳・年齢不詳なんですが、大人な雰囲気もあって印象深いです。ゲバードというのは金属製のオウム型ロボット兵器。かわいい子を見るとデレデレになって少年たちが思考停止する、というのは今の世の中でも王道のパターンだなあ・・・と苦笑いです。ピュアな少年たちは、この正体があのバンデル星人と知ったら、ショックで当分寝込みそう。

バンデル星人1号人間態を演じたサンディ(第6話「怪兵器ゲバードあらわる」より)

◉建物が怪獣に…その発想はなかった!のバクトン

合成怪獣バクトン。キャプテンは愛機・シュピーゲル号で突撃!

「食糧センター」の建物が、そこで使用されていた第7純水という水爆の原料にもなるという謎の液体のせいで怪獣になった姿、それがバクトンなんです(第17話「合成怪獣バクトンあらわる!!」に登場)。そんな物騒な素性のものを食べ物作るのに使って大丈夫なの?・・・ほら案の定怪獣になっちゃったじゃん!みたいな展開ですが、まずもって建物がそのまま怪獣になるという発想が新しい!と思いました。何年か後に、ビルガモなんて怪獣も登場しましたが、あれはビルの内部で建造されたれっきとしたロボットで、こっちは謎の合成反応で無機物から生まれた生物。まじめなSFなら絶対に出てこないんじゃないかと思われるタイプの怪物ですよね。青く明滅する眼がキレイで特徴的だったので、そこは少し丁寧に描いています。

◉傑作前衛的フォルムのメタリノーム

"金属人間"と呼ばれるけど人間じゃないよね、のメタリノーム

最後に紹介するのは『キャプテンウルトラ』に出てくるワルモノの中でデザインが一番好きなメタリノームです。どこかバルタン星人のような雰囲気もあるし、全身のメタリック感も含めて同じように好きなマニアは多いみたいですね。ちなみに成田亨さんのデザインではないようです。もともと博士が造った助手ロボットが宇宙バクテリアに侵されてこうなってしまったという設定。博士自身もメタリノームに金属人間にされて、1日10分だけメタリノームに知識を与えるためだけに生かされているという、なんともホラーなお話でした。イラストには元の姿である助手ロボットのときのメタリノームも描いてみました。これがどうやったらこうなるのか全くわかりませんが(笑)

こうやって並べて見ると再認識しますが、『キャプテンウルトラ』の宇宙空間ってなんか明るいんですよね。円谷ワールドの宇宙はリアルに黒に近い色なんですが、こちらはインディゴブルーに近いような青い宇宙。これもこの作品の味だなーと思って、あえてそういう色で塗っていました。全24話と短く、出てくる怪獣も少なく(繰り返し同じ怪獣が登場します)、人気の出にくい作品だったとは思いますが、「そら行けキャープテーン、ウルートラー!」の主題歌は勇ましく、スペースオペラの世界を盛り上げてくれますし、脇を固めるキャラクターたちも魅力的。機会があったら是非ご覧になってみてください♪

キャプテンウルトラ全怪獣おまとめ画像
(怪獣でない怪ロケット・ギンダー、スパイロケット・ワルダー 、四次元衛星ノズラーなどのメカは描いていないですね。あ、あと最終回のプロメザウルスの化石とやらも)


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