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【ワルモノ絵】黒十字軍に栄光あれ!

「私の作品紹介」なるハッシュタグの存在を知ったので、数年前からちびちび描いてPixivさんにアップしている特撮ワルモノイラストを、回想かたがたこっちにも記録しています。次は戦隊シリーズの祖となった『秘密戦隊ゴレンジャー』から印象深いエピソードの黒十字軍の仮面怪人たちを回想。


◉初回から5人もワルモノが現れるという贅沢

『仮面ライダー』に続く新たなヒーロー像を模索して辿り着いた『秘密戦隊ゴレンジャー』。色分けされた男女混成チームで戦うというフォーマットはその後、スーパー戦隊シリーズとしてニッポン特撮の花形としてワールドワイドに発展していくわけですが、その第1話「真赤な太陽!無敵ゴレンジャー」の放送は1975年(昭和50年)4月5日でした。リアルタイムで視聴していたのを覚えています。30分の尺の中でヒーローもワルモノも5人ずつというのは今見ても豪華ですね。怪獣ばっかり(しかもタロウの)では飽きが来つつあったので、等身大のワルモノも描いてみたいと思い、描き始めたのがゴレンジャーのワルモノ、黒十字軍の仮面怪人でした。『仮面ライダー』は王道過ぎてこっちにした記憶がありますが、冷静に考えるとこっちも相当王道でした。なので最近は更にニッチな番組に傾倒しています(笑) ワルモノ5人も統一性があるわけでなく、江戸川乱歩の小説を彷彿とさせる黄金仮面からまんま鎧武者の武者仮面、おそらくアステカ文明の仮面がモチーフになった抽象画のようなヒスイ仮面、梵鐘のような意匠が印象的な青銅仮面、そしてパンチ力あり過ぎのナ〇スイメージ丸出しの毒ガス仮面まで実の多彩。ユーモラスで個性豊かなワルモノデザインの宝庫ですね。各エピソードが楽しいのはもちろんですが、描いても楽しい昭和特撮です。

武者仮面(上段左)、青銅仮面(上段中)、黄金仮面(左)
ヒスイ仮面(下段左)、毒ガス仮面(下段中)

◉中間管理職の悲哀を教えてくれる幹部たち

ゴレンジャーはそれまでのライダー怪人に比べて、圧倒的に魅力的なキャラクターが多いです。人間だった頃の名残り(?)なのか、どこか喜怒哀楽の表現も人間臭い。中でも日輪仮面以降、代替わりするように登場した幹部的ポジションの"将軍"という肩書を持つ怪人たちは、複数回に渡って登場し、1話完結の物語をなんとなく繋ぐ横串のような存在でした。毎回、得意げに作戦を披露するも、ゴレンジャーたちの妨害等で失敗に終わり「次こそは!」「覚えておれ!」などと捨て台詞を吐いて撤退を繰り返します。最終的に総統から"役立たず"の烙印を押され、背水の陣で挑むも結局勝てず、後任にポジションを奪われる・・・という一定の交代パターンはあるものの、彼らが発する言葉や立ち振る舞いは実に個性豊か。中のスーツアクターさんや声優さんが同じというパターンもありますが、それでも個性を感じるのは演者さんたちの技術ですよね。凄いです。イラストは毎回、そのキャラが最後に登場する回を視聴してから描きました。実はまだゴレンジャーは最終話まで完走できていなくて(昔1度最終回まで見ているので2巡目です)、最後の将軍・ゴールデン仮面大将軍まで辿り着いていないのですが、これまでの3人の中では日輪仮面が好きでした。デザインもユーモラスですし、他の2人に比べ威厳は全然無いですが、その分子悪党っぷりが徹底していて痛快でした。

左から、日輪仮面、鉄人仮面テムジン将軍、火の山仮面マグマン将軍

◉謎のエキゾチック仮面たち

昔、境港の<水木しげる記念館>で水木さんの仮面コレクションを拝見したことがあるのですが、ゴレンジャーの初期には、どうもそうした世界各地の仮面を下敷きにしたと思しき仮面怪人が結構登場します。まあ"仮面"怪人というだけあって、仮面をモチーフにしたのかもしれませんが、全てに踏襲されているわけではなく、ところどころなんですよね。しかも中盤以降はそういう気配がほぼ無くなってしまいます。デザインをしたのは石ノ森先生で、仮面ライダーと違って最後まで怪人のベースデザインもされてたと聞いているので、たまたま時期的にそういうモチーフに関心があったのかもしれません。論より証拠、どこかで見たことのあるような面構えをご覧ください。

左から右へ。1段目:毒牙仮面、魔女仮面、舟耳仮面
2段目:角仮面、ドクロ仮面、青すじ仮面
3段目:鉄ヒメ仮面、赤面仮面、岩面仮面
4段目:ダイヤモンド仮面、鳥牙仮面、つの骨仮面

◉後半は怒涛のコミカルヴィラン攻勢

ゴレンジャーといえば、特撮界ではトボけたおフザケワルモノの元祖といってもいいくらい有名なのですが、特にマグマン将軍以降、やたらと生活臭漂う道具がらみのワルモノが登場し、制作サイドの悪ノリにも思えるくらい過熱していきます。もちろん、それまでにもヘンか怪人は出てきましたが「あれ、なんかテンションがヘンだな」と決定的に感じ始めるのは、第46話「黒い超特急!機関車仮面大暴走」の回からじゃないでしょうか。登場するワルモノは機関車仮面。ゴレンジャーの秘密基地を探し出すという使命を帯びてるにも関わらず、とにかく早く真っ直ぐ走ることをポリシーにしてるため、途中でゴレンジャーに会おうが、基地の入り口になってる喫茶店に寄ろうが関心を示さないという物凄いキャラでした。その後、カメラ仮面、電話仮面などを経て、巷でも有名な野球仮面が登場(第53話「赤いホームラン王!必殺の背番号1」)。ちょうど放送年(昭和51年)は、読売巨人軍が3年ぶりに優勝を果たした年で、ワンちゃんこと王貞治選手はホームラン王、打点王の二冠達成で8度目のMVPに輝きました。野球が最高に盛り上がって国民スポーツになっていて、男の子なら野球やらなきゃね!みたいな空気感があった時代です。サッカーのサの字も見えませんでした。そんな当時の社会トレンドなんかもタイムリーに採り入れてみせるのも、特撮ヒーロー番組の面白さだなあと思います。

左から右へ。1段目:機関車仮面、カメラ仮面、鉄ワナ仮面
2段目:電話仮面、野球仮面、蛇口仮面

◉クールな仮面怪人もいるんだけど・・・

そんなハチャメチャで愉快な黒十字軍ですが、たまーにカッコいい奴もいるんです。例えば僕が好きなのはツバサ仮面。その名の通り、顔に翼が生えてる、ともすればヒーロー側でもいけたんちゃう?と思わせられるデザインの仮面怪人。劇中でも小さな女の子と心を通わせるくだりなんかもあったりして、とても印象深いです。デザインや造形的にはファニーな方向へ振りがちな黒十字軍ですが、前出のテムジン将軍のように”THE石ノ森デザイン”なキャラクターもいたりします。等身大ワルモノを手掛けるようになって、細かい描き込みが必然的に増えてきてはいますが、昨今のディティール複雑なワルモノたちにはない、明解なデザインラインは、昭和のワルモノたちにしかない魅力ですね。

ツバサ仮面

◉ピクシブ百科事典で選ばれたい!

さて、そんなゴレンジャーも残すところあと24話分(全84話)。なんとか完走したいと思っていますが、浮気性なもので、なかなかたどり着けないでいます。とはいえ、これまで描いてきた作品の多くが、熱きヲタたちのWEB百科事典こと<ピクシブ百科事典>の編集人の皆さんに、アイコン画像として選んでいただいております。これは本当に嬉しい!(だって自分で貼りに行くなんて厚顔過ぎて絶対に出来ないもの💦)。しっかりとラスボスまで描き上げて達成感を味わいたいと思っています。


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