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【一幅のペナント物語#4】あの頃はみんなが「横断」に憧れた

◉二等辺三角形の左半分を占めるのは、なだらかに続く緑の丘陵地とカーブを描く一本の道路のスケッチ。道路の上には乗用車に混じって大型バスの姿も見える。それ以上に目を引くのがその横の「ŌDAN-DŌRO」の赤い文字。なかなか最近では見かけない長音記号を使ったローマ字表記に時代を感じる。その上に控えめに乗っかるスタイリッシュな文字から「九州横断道路」のペナントであることが解るのだが、ローマ字のサイズから感じるのは、九州ということよりも横断道路のほうをアピールしたいのだなー、ということか。

◉観光ペナントには、こうした交通インフラに焦点を当てたものがある。「~スカイライン」や「~ハイウェイ」など、いわゆる観光道路というやつだ。この「九州横断道路」も道路公団が1960年(昭和35年)から約4年をかけて開通させたルートで、別府から阿蘇、熊本、三角、島原、雲仙を経て長崎までの主要観光地を結ぶ総延長約300kmの一般道の総称である。モータリゼーションと観光ブームたけなわの日本を象徴するような存在だ。ちなみに近年話題にのぼっている大分~熊本を結ぶ「中九州横断道路」とは別モノ。

◉絵になっている場所が300km中のどこなのかを特定すべくGoogleMAPで探してみた。遠くに臨む山々は、そのシルエットから阿蘇五山を成す根子岳と高岳だと判断し、ルートに含まれている「やまなみハイウェイ」上のどこかだろうと見当をつけてみたものの、特徴的なカーブを描く場所がなかなか見つからない。由布岳南面、狭霧台周辺にいくつかあるカーブのどれかとも思ったが、これだと思えるアングルには巡り合えず。山々との位置関係からすると「坂梨パーキング(フォトスポットとるぱ)」の手前にあるカーブではないかと思うのだけどしっくりこない。・・・まあ、ペナントなので、あまり真面目に考えても仕方がない。そういうもんさ。

ペナント遠景の稜線を手掛かりにGoogleで探し出した風景(左:根子岳、右:阿蘇(高岳))
由布岳のふもとのこのカーブが一番イメージに近い(tabicocoloさんのHPより)

◉阿蘇周辺は一度訪ねたことがあるが、このルートを走ったことはなくて、今回いろいろ調べていたら、めちゃくちゃ行ってみたくなった。春から夏にかけて、ちょっと足を伸ばしてこの景色を見にいってみようか、そんな気にさせてくれる一幅だった。締めにYouTubeで見かけた気持ちのいいドローン動画を貼っておこう。


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