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第26話 初めての彼氏と終わる話

私が16歳か17歳頃の話である。
兄のようだと慕ってくれる弟みたいな後輩・恵介(仮)の家に居候する事になり、共に寝起きするうちに肉体関係を持つようになり、付き合うようになり、終わりは冬に訪れた。

いつもだったら帰って来ているはずの時刻、外は雪が積もっていた。
どうしてどんな事をしてしまったのか自分でもよく分からない。
まさかこの俺がこんな事をするなんて!と当時も凍えながら思った。
私はその夜、止む事を知らない大雪の中で恵介が帰って来るのをひたすら待った。
家の中で待てば良いものを、何故かヒステリックな事にわざわざ外で待ってしまった。
恋は盲目とはよく言うが本当にその通りで、経験の少ない恋愛シーンなどで盲目はよく起きる。
相手のことを思いすぎるあまりに、相手がどう感じるかを客観的に考えられない状態。
別に相手がそれを望んだわけではないのに、恩着せがましくなったりする。
私もそうだったかもしれない。
大雪の中待っていれば、恵介が喜ぶとでも思ったのだろうか。
結果は違った。
友達と一緒に帰ってきた恵介が、大雪の中凍えながら待っている私に幻滅したような視線を送ったのを私は見逃さなかった。
私は間違いなく恵介に引かれてしまったのだ。
家の中に入ってもなんだか冷たく、まるで私が重い女子みたいであった。
兄のように慕われて始まった関係だからこそ、粋がってみたり強がってみたりカッコつけてみたりしていた私だったが、ここに来て自分でも知らなかった自分を知る事となった。

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