眼ざめる

すれちがう 花の香りの重さとて
行き交う人の 声もせで
まみゆれば ああ いつになく
昨日のことを ただ思う
残りの空に藍染の むなしく響く
今日を載せ 儚い 暗い 人の世に
移りゆくのは 悲しみか
遠いところの 善きことか
いまはただひとつ お願いを
やすらかならん 死の顔を
いつかは光る森の中
ひとひらの葉の上にいて
この世の果てを見渡さむ
ああ きみはここにありながら
眠れぬ床に留まりて
やがて眼ざめる 新しき
赤子となりて 泣き叫ぶ
花が咲くまで 泣き叫ぶ

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