酒と金と芸能とアイドル

先日、推しのライブに遠征した時のこと。
前乗りをして、前々から降り立ってみたかった場所への訪問や温泉めぐりなど充実した週末を過ごせた。
前乗りをしたその日は、戦国大名のお膝元として知られる街に宿泊し、夜は城址公園で行われていた桜祭りに足を運んだ。
とは言っても今シーズンの異例の速さの開花のため、ソメイヨシノはほとんど散ってしまい、枝垂れ桜など他の品種がなんとか見れた、という具合だったが。

名物を目当てに屋台が立ち並ぶ広場に行ったところ、広場の中央でなにやら1人の男性が機材や小道具を広げて準備に勤しんでいた。
さらに準備を進めながら、ハンズフリーマイクを用いて客寄せに励んでいた。

大道芸のパフォーマーさんである。それも、弱冠19歳の青年。
遠慮がちに横から見物する人たちに「正面から見たほうがいいですよ」と勧めたり、大道芸なんてそうそう生で見ることはないから拍手や歓声のタイミングをつかめない人たち(私もだが)に「ここで!拍手を!お願いします!」と煽ったり。
見事なジャグリングやコマ回し(日本に昔からあるようなコマではなく、いわゆる中国ゴマ)を披露するものの「僕が簡単そうにやってるから凄いことをやってるというのが伝わらないんですw」とグチったりw。19歳でなかなかの話術である。

凄いことをやってるのになかなか世間に伝わりにくい、って色んなミュージシャンやアイドルにも通ずるものがあるなー、と思いながらその後も続く芸の数々を見ていた。
次第に、こういうのって最後にお金あげた方がいいよなぁ、とも。色々な“芸能人”を応援する者としても。

大道芸も終盤となったところで、最後の大技を前に、これまでとは少し違ったトーンで話し出す青年。
関西からはるばるやってきてこの場をお借りしているけれど、交通費や宿泊費は自腹なんです、と。
かいつまんで言えば、この大技に成功したら皆さんからお金を頂きたい(できれば“紙幣”で)、という事。

そして、大技は見事に成功。
私の隣にいた男性に続いて、私は2番目に紙幣を渡したよ。

名物を目当てに祭りに来たけど、なんだか「芸」でお腹いっぱいになった。
(結局そのあとホテルの近くの居酒屋に入ったけど)
「芸能の神髄」たるものを見せてもらったのかもしれない。


色んなアイドルやミュージシャン、あるいは役者や芸人に至るまで、売れるのは、世間に知ってもらうのは大変なんだ、という事やその仕組みなどを、素人にしては知ったつもりでいたけれど。
全然異なるジャンルだからこそ、改めて気付くものがあったように思う。

折しも、メンバー複数人での酒席での行動が騒ぎになり、お詫びと釈明の文面をブログに綴ったその翌日だったのもあったろうか。


「酒は飲んでも呑まれるな」という言葉が昔からある。
人は酒が入れば往々に、ガードが緩く、大胆になりやすいものである。

別のグループのメンバーのエピソードで、
飲みに行って笑いのネタを振ったら普段は恥ずかしがってやらないのに「えぇ~、動画撮らないで下さいよぉ~?」って言ってやってくれるのw
という微笑ましいエピソードがある。
大胆さが身内で完結できるような場であれば、盃を酌み交わして親交をどんどん深めるのは大賛成だ。

酒に酔ってしまった人もいれば、危ない橋を渡っている自分に酔ってしまった人もいるグループ。
江ノ島でデートするなどして一度足を踏み外した彼女だが、あれから4年、ひたむきにアイドルを貫き励む姿は多くの人が認めるところだ。
針のムシロからの生き方の先輩が、こんなに近くにいる。学べることは沢山あるはず。
特に、誰よりもストイックだと思っていた子は、あと半年余りしか時間がない。さおr…彼女が数年かかった事を、半年余りでやらなければならない。


これまで何度か聞いた、「Hello!Projectのルール」という言葉。
その時どきの起きた事から考えると、今回の事って“ルールに反する”か、かなりスレスレ、なんならアウトかもしれない。
しかし、だからといって4人まるごと辞めさせるなんてことになればそれだってとんでもないダメージだ。

はっきり言って、拾った命だ。
そのアイドルの命を、大切にしてこれからを歩んでほしい。


2019年7月、これから夏フェスシーズンが本格化するという時の事。
RIZEのJESSEとKenKen(ただしRIZEはこの件の前から事実上の活動休止状態、JESSEはThe BONEZとして、KenKenはDragon Ashのサポートで活動)が、大麻取締法違反で逮捕された。
報道後、両者がともに出演する予定だった最初のフェスが、OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL(通称「男鹿フェス」)。関係者は対応に追われ、Dragon AshはThe BONEZのベーシストT$UYO$HIがサポートを務めることになり、The BONEZ自体は出演キャンセル、その出演予定だった時間帯は「何らかのセッションをやる」ことが発表された。

当日、その時間。現れたのは、BRAHMANのTOSHI-LOW。もちろん事前には発表されておらず、驚きをもって迎えられた。
2人について、TOSHI-LOWが語ったこと。

俺が子供の頃は、タバコなんてどこで吸っても良かったわけ。だけど今はすごく肩身が狭くなったじゃん。ルールってどんどん変わってくものだけど、それでもルールは守らなきゃいけない。
それより俺が怒ってるのは、みんなこうやって来るのに、チケット買うじゃん。何日も前から、チケット出して見ては、楽しみでニヤニヤするんじゃん。そういうやつらの事を考えたら、変なことなんかできないだろって。


芸能人は、ファンを・支えてくれている人を忘れた時に、道を踏み外す。芸能人じゃなくても言えることかもしれないが。

それから、チケットはお金と引き換えた証である。
ファンクラブなり、プレイガイドなり、公演ごとにそのシステムに手間をひとつひとつかけてくれている人がいる。
地下ドルや無名ミュージシャンだと、それぞれ公演ごとに手売りしたり、1人1人予約を受け付けたりする。
そして、冒頭の、大道芸人への投げ銭。

自分の芸に、お金を出してくれる人がいる事。お金を出してくれる仕組みがある事。
それを当たり前だと思ってはいけない。忘れてもいけない。


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