見出し画像

そろそろ、「ジャンケンって同じ空間軸・時間軸じゃなくても出来るよね?」って話をしよう。

サムネイルは友人のGO氏より!

TL;DR

「時間軸」と「空間軸」に拘らなくてもいい。もう一度最初から”それ”を作り直すと、命題は今の構造になるのか?
もう少し要素を分解して、非同期でも成り立つ仕組みに移行しよう。


デジタル化の違和感

COVID-19の影響で、一瞬にして生活が変わってしまった。
対面が差別点だった塾や学校はあえなくネット授業に移行することになり、空間までもがブランド価値だった飲食店が一斉にしてデリバリーやテイクアウトを呼びかけ、常連のために無理やり店を開けるも、近隣住民からの非難を恐れて窓に布をあて、光を漏らさないようになった。(戦時感)

デジタル化が可能な産業のほとんどは急ピッチでオンラインに移行され、デジタル化が難しい接客や配送、工場などは高いリスクに晒されたまま日常が続く(いつもありがとうございます)

その中で、私は1人の学生として今の軒並みZoomに移行する授業体制に違和感を感じた。

大学の講義や塾の授業、これらってすべて「同じ時間軸で(同時に)」「同じ空間軸に(一緒に)」やらなくてもいいんじゃない?

COVID-19以前は、同時に・同じ教室で取り組んでいた授業が”そのまま”オンラインに移行された結果、今までの無駄に気づいた気がする。


既存の授業からの脱出

文部科学省・経済産業省が、休校して学ぶことが出来ない学生に向けて「 #学びを止めない未来の教室 」などと発信している中で、”全部の授業がオンラインで通信容量が足りない…”みたいなツイートが見られたのが印象的。

https://twitter.com/search?q=%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E6%8E%88%E6%A5%AD%20%E9%80%9A%E4%BF%A1%E5%AE%B9%E9%87%8F&src=typed_query

オンライン授業 通信容量とTwitterで検索するだけでかなりの数が同じような悩みを抱えているのがわかる。(携帯キャリア各社のサポートがあるかもしれないので公式HPから確認してください)


N高とかの一部のネットベースのリテラシーが特別高い学校をのぞいて、ほとんどの教育機関がオンラインに移行するも、”とりあえず配信”になっているのはもったいないと思う。

そもそも、講義がリモートに最適化されていないのに加えて、他のMOOCsのコンテンツのクオリティに勝てない。
MOOCsのほとんどが無料な中、東大・京大、ハーバードと並列に並んでいる自分の学校が行うビデオ授業を受けたいと思う?(そんなMOOCsですら修了率は4%程度)

「MOOCs(ムークス)」
”Massive Open Online Courses”の略で、大学などの高等教育機関が連携しインターネットを通じて講義をオンライン公開する取り組み。あるいはそのシステムを指す言葉。

私がまとめた優良MOOCsまとめはこちらをクリック🔗
https://raindrop.io/collection/10969216


デジタルトランスフォーメーションの本質

そもそも、学ぶためには必ずしも”同時に・同じ教室”である必要はないと思っている。

「答えのあること」は、外部の学習リソースが充実しているので、自社の(自分の学校の)教材を開発しなくても問題ないと思っている。

その代わりに、「答えのないこと」については学びようがない。そのために同時性は必須であり、これからの時代の教育機関の役目ではないのだろうか。
これに関してはオンラインでもディスカッションが成り立つようにファシリテーターを用意するべきだと思っている。


COVID-19で外出ができないから、その分の学びを…いう文脈で流行ってきているわけではなく、そもそも「空間をクラス全員で共有しなければいけない」わけではない英会話ならデジタル化できるんじゃないの?という話。


 「そもそもオンラインで”今まで通りの教育”を求めることが間違っている気がする」という点で完全に同意。それに合わせて学習方法を変えなければいけない。


講義はまだ、ビデオ授業できたとしても、「試験はどう行うの?」という話。もういっそのこと、一発勝負型のハックされやすい試験をやめてしまえばいいんじゃないか?という意見も。

私も「試験」はなくなっていく(一発勝負でハックされやすい性質がある以上淘汰されていくと思っている)と思っている。


いち早くデジタルトランスフォーメーションに成功したミネルバ大学

オンラインの学びで大いに参考になるのが、「Minerva at KGI」という”キャンパスを持たない”大学だ。

画像1

ミネルバ大学は講義を廃止している。ミネルバ大学が学生に提供する価値は知識ではなく知恵であるという行動指針に基づき、実際に授業中に教員が話せる時間を連続4分、90分の授業プラットフォームで行う授業は、教員と学生個人について発言量を計測することが可能だ。そのため、この方針は確実に実行される。
知識を取得するための基礎科目授業はMOOCを無料で利用できるのでミネルバ大学では取り扱わない。学生は授業で使用する教材を見て、ディスカッションのテーマである分野について必要な基礎知識は、自ら調べたうえで授業に臨む。

『世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ』より

文中にもあるように、講義が基本的にない。これは「知識(答えのあること)」を手に入れるための時間は全体で取らないという意味だ。各自MOOCsなどで予習するのが当たり前になってくる。そして、授業中は「知恵(答えのないこと)」について話が繰り広げられる。


ミネルバ大学は定期テストも廃止した。教員の役割は、学生が知識を効果的に覚えているかどうかのテストで「A」評価を得られるように導くことではなく、担当した授業が終了した数年先でも、身につけた内容を効果的に運用できるように導くことである。この方針に基づき、学生の習熟度は事前課題、授業中の発言内容とプロジェクト学習の完成度によって審査される。

『世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ』より

講義がないのに加えて、「定期テスト」もない。なぜなら、すべての授業がMinervaの開発したディスカッションツールの上で行われ、発言内容や頻度などがすべてデータ化されているため、一発勝負をさせる必要がないのだ。

日頃の活動をデジタル上で行うことで、データを取得することが容易になる。その結果、定期テストのようなハックされやすい仕組みはなくなると考えている。


ジャンケンの話

この記事で最初に挙げたように、「with COVID-19」時代のポイントは、"「時間軸」と「空間軸」から脱出し、もう一度最初から命題を分解して適応していこう"というもの。

例えば、「ジャンケンは空間軸と時間軸を共有しなくても成り立つか?」という問題。

ジャンケンを”お互いランダム系を持って物事を割り振って決定するもの”と定義する。オープンソースである Pythonのモジュール、「random」は”完全にランダムで” 決められた数字を出力する。

試しにジャンケンの一連の流れをPythonで書いてみた。

# -*- coding: utf-8 -*-

# ランダムの数を出力するやつ
import random

print("番号を入力してください")

#辞書にジャンケンの選択肢を追加
print("[1.グー 2.チョキ 3.パー]")

#番号を受け取る
a = input("番号:")
b = int(a)

#1〜3の中でランダムな数を出力
c = random.randint(1, 3)
if b == 1:
   if c == 1:
       print("コンピュータ:グー  結果:あいこ")
   elif c == 2:
       print("コンピュータ:チョキ  結果:勝ち")
   else:
       print("コンピュータ:パー  結果:負け")
elif b == 2:
   if c == 1:
       print("コンピュータ:グー  結果:負け")
   elif c == 2:
       print("コンピュータ:チョキ  結果:あいこ")
   else:
       print("コンピュータ:パー  結果:勝ち")
elif b == 3:
   if c == 1:
       print("コンピュータ:グー  結果:勝ち")
   elif c == 2:
       print("コンピュータ:チョキ  結果:負け")
   else:
       print("コンピュータ:パー  結果:あいこ")

#どれでもない場合はエラーを吐く
else:
   print("1から3の整数を入力してください")

「自分の入力した手(グーとかチョキとか)」と「オープンソースである乱数生成モジュール『random』によって出力されたランダムな相手の手」であれば、時間軸がズレて(コードの前後があって完全な同時ではない)いても成り立つ。

このrandomの入力を人間に戻すこともできるが、出力される結果からは見分けがつかないので、「時間軸(前述)」と「空間軸(コンピューターネットワーク上であれば)」では可能。

つまり、予測不可能なジャンケンの相手と言えるだろう。


さいごに

結論、リモートワークやビデオ授業では「時間軸」と「空間軸」に拘らなくてもいい。

もう一度最初から”それ”を作り直すと、命題は今の構造になるのか?

ミネルバ大学は数少ない、デジタルトランスフォーメーションに成功した教育機関だと思う。
もう少し要素を分解して、非同期でも成り立つ仕組みに移行しよう。


Twitterもやっています。ぜひフォローしてね!


・・・

(ジャンケンの話をどうしても入れたくて入れたら、落合陽一の「サバの話」みたいになってしまった…)


私の積読を加速させるお金になります