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何が役に立つかよりも、何が役に立ったかについて合意する方が簡単

民主主義について

現在、60%以上の国が民主主義を採用していて、日本もそのうちの1つに入る。

今のところ、実質的に行われているのは「直接民主制」「代表民主主義」「あるいは2つのハイブリット」の3つぐらいしかない。

現状、この国で行われている「代表制民主主義」は世界中で最も多く採用されている。国民は直接投票権を代表者に譲り、代表者は国民に代わって国の問題に関する意思決定を代行する。いわば託すシステムだ。

ポピュリズムの構造

現状の民主主義のシステム自体だと、公約を事後的に評価する仕組みがなく、説明責任がないため「マスに対して耳障りのいい施策を掲げ、票を獲得する」というポピュリズムの蔓延を避けることができない。

全体最適ではなく、票を最も獲得できるマス層に対して人気の出る公約を掲げる部分最適になってしまっている。

「公約を掲げ、選挙で選ばれた後、それは達成したか?」という問題。自分の行動に関する責任を問われることはほとんどないように思う。
そうなってしまうと、空約束、選挙で票を集めるためだけの「公約」になり下がりポピュリズムに限りなく近くなってしまう。

実際の問題を挙げると、新しく首相に就任した岸田文雄は「18歳までの子どもに一律10万円相当」を掲げているが、これは実働ベースに落とし込むと非合理的だ。

まず、現状のマイナンバー制度では個人を区別してお金を振り込むのは時期尚早。そのための事務コストは市区町村レイヤーが負担する。

コロナ禍で実行された全国民に対して10万円の給付だが、実際の事務作業は市区町村に押し付けられ、各地域によって着金までの差が明らかになった。これ以上給付のためのシステムを複雑にすると、「配るお金よりも配るのに必要な事務コスト」の方が嵩んでしまう。

これこそがポピュリズム的な公約であり、全体最適を無視し、票の獲得に走った形の政治であろう。

何が役に立つかよりも、何が役に立ったかについて合意する方が簡単

そこで、"何が役に立つかよりも、何が役に立ったかについて合意する方が簡単"という概念を採用したRetroactive Public Goods Fundingが役に立つと思う。

元々この事後評価の概念自体は、経済学者のRobin Hansonが提唱する「Futarchy」の思想だったんだけど、それを上手くシステムに落とし込んだのが『Retroactive Public Goods Funding』。これはイーサリアム創設者のVitalik Buterinが考案し、実装はOptimismがサポートした形?っぽい。

もし、「こうあるべき」を全体で合意し、「これで上手くいった」という方法にだけお金を払うとしたら、もっと民主主義はうまくいくのではないだろうか。

従来の民主主義は(代表者を介して)「手段に対して投票していたが、目的に対して投票する」ことによって、より健全な構造になるのではないか。

そして、目的を達成したものに対して(公共が)お金を払う。


成果が出たらお金を払う

それを公共政策の分野では、効果測定のことを「アウトカム測定」などという概念でやろうとしていて、日本政府は「PFI(指定管理者制度)」「SIBR(中小企業技術革新制度)」でやろうとしている。

簡単にいうと、「成果が出たらお金を払うよ」という感じ。




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