堀行丈治

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堀行丈治

コメントなしでサポートすることがあります。失礼をご容赦ください。 撮影と執筆と編集。ぶるぼん企画室で、Webページや印刷物、広報物のコンテンツを作っています。広島県東広島市。 ライター、カメラマン、エディター https://buruki.jp

最近の記事

    • 「きれいなパンツを履きなさい」の意味

      今日、経営者仲間のS氏から電話があり、彼が会長を務める倫理法人会のセミナーに招待された。 日時は、なんと今日。 要は動員メンバーのようなものだが、逆にこちらも気楽に参加できる。 毎年2月から4月にかけて全国各地の倫理法人会が開催する講演会。 私もかつて運営に関わったことがある。 この講演会は、講師の当たり外れが激しい。 体験的に、だいたい3回中2回はハズレ。 今回はどうだろうかと期待半分、不安も半分で講話を聞いた。 結果で言えば当たりの部類だった。 久しぶり

      • たとえ話になっていない「たとえ話」

        今日の新聞に、集団的自衛権の解釈変更が違憲ではないとした、昨年12月の仙台高裁判決に関する寄稿文が載っていた。 紙面は「オピニオン」、筆者は早稲田大学の長谷部恭男教授だ。 この記事は、デジタル版では先月掲載されていたようで、検索するとヒットした。 【識者コラム】行使不可能、違憲でない 集団的自衛権「限定容認」 長谷部恭男 書き出しが同じなので、おそらく最後まで同じだと思うのだが・・・ なぜか、月10本までは有料記事が読める契約のはずなのに「閲覧できません」と表示され

          雨中の山茶花

          雨中の山茶花

          トンネル抜けて

          トンネル抜けて

          渋柿 原稿用紙三枚の“記憶”

           甘柿と渋柿、実家の畑には二本の柿の木が並んでいる。夏の終わりに畑仕事をしていると、たくさんの青い実が付いているのが見えた。今年は豊作にちがいない、と秋の到来を待ちわびた。  スーパーに出回り始めた柿は、軒並み高かった。前年の五割増しくらいの値が付けられている。産直市でも手頃なものが見つからない。実家でもらってくるのが賢明だと思った。  十月に入った最初の日曜日、玉ねぎ植え付けの準備のために、母と畑を訪れた。畑を耕した後、休憩中に柿の木を見上げると、橙色に熟れた実が枝に付いて

          渋柿 原稿用紙三枚の“記憶”

          儲け 原稿用紙三枚の“記憶”

           小学生の頃、シールのおまけがついたチョコ菓子「はりはり仮面」が流行った。親から駄賃をもらえば、駄菓子屋に直行して、はりはり仮面を買い、友だちとシールを見せ合っていた。ブームは過熱して、毎日のように誰かが新しいシールを見せてくれた。だが、定額の小遣いを持たない一年生の子供が、四十円もする菓子をそ¬うそう頻繁に買えるわけがない。シールが欲しい。だがお金がない。その悩みを解決する手段があった。 「たけはる、儲けをしようや」  同級生の二人がしたり顔で誘ってきた。彼らの手の中には、

          儲け 原稿用紙三枚の“記憶”

          父の相棒

           台風の進路が予報円から逸れ、週末の天気予報は「晴れ」になった。 ―明日、畑仕事を手伝いに帰ります―  母にメッセージを送ると、私の帰省を喜ぶ返事の後に、一枚の写真が送られてきた。カーペットの上に、白い毛の塊がいる。猫ではないのかと尋ねると、数分が過ぎた頃に再び携帯が鳴った。 ―猫だヨ 畑の近くの中川さんのところから貰ってきました―  父がかわいがっていた白猫が命を落としてから二年が経つ。気力を失ったような父を見かねた私は、何度か猫をもらい受ける話を持ちかけていた。しかし母

          父の笑顔と、老いて生きることの意味

          今日は父の通院日。 月日が流れるとともに衰えていく父は、半月前から病院で車椅子を使わせてもらっている。 小康状態を保っているものの、食欲が減退しているので体力がない。 体重はずいぶん軽くなってしまったが、ようやく下げ止まったみたいだ。 今日の診断と点滴を終えて、市内の親戚宅を訪ねた。 父にとって姉のような存在の、(私にとっての)大叔母に会うために。   大叔母は祖父の妹だが、父と10歳しか離れていないので 父の幼少期は、まさに姉代わりだったようだ。 大叔母は

          父の笑顔と、老いて生きることの意味

          女性が女性らしく生きることを阻んできた社会

          最近見た映画の中で非常に強く印象に残っているのが 「女性の悦楽」(アジアンドキュメンタリーズ)だ。 予告編動画を見てほしい。 「女は子どもを産んで育てるための存在」という、古来から根強く残る価値観によって、今もたくさんの女性が苦しんでいる。 最も残酷なのは、アフリカで行われているFGM(女性器切除)という儀式。 作品中では、活動家の女性が模型の女性器を使って、男性にFGMの行為を説明する。 男たちは顔を背けたり目を閉じたりと、模型でさえ直視できない。 こんなひど

          女性が女性らしく生きることを阻んできた社会

          島根県の最北端は隠岐の島ではありません(怒)

          新聞のテレビ面の記事下広告は、中国放送の番組宣伝だった。 中四国6局ブロックネット特別番組「アンガールズの絶景アイランド」 真っ先に目に飛び込んできたのは 「中四国には、最北端と最南端に同じ名前の島がある」という文言。 そして広告には、地図上の隠岐の島(島根県)と沖の島(高知県)が示されている。 広告だけでなく、番組HPでも隠岐の島が最北端だと記述している。 言うまでもなく、島根県の最北端は竹島だ。 隠岐の島からおよそ150km北西。 中四国最北端というなら、

          島根県の最北端は隠岐の島ではありません(怒)

          コスモス対ひまわり

          コスモス対ひまわり

          雨止んで 原稿用紙3枚の“記憶”

           豪雨災害から一週間後の七月十四日、私は熊野町にいた。熊野町は土砂崩れの被害が大きく、道路脇のあちこちに土嚢が積み上げられている。場所によっては、無数の木々が混じった土をかき寄せた、バリケードのような小山が歩道をふさぐ。  スーパーの駐車場で行われた、フリーマーケットの会場を訪ねた。ニュース番組では連日、広島県各地の様子が伝えられるほどの大災害。自粛ムードに流されるのは良くないと思うが、道路も家屋も復旧を急いでいた災害後初の週末。こんなときにフリマを開催するなんて……そう思っ

          雨止んで 原稿用紙3枚の“記憶”

          母の遺影 原稿用紙三枚の“記憶”

          「私の遺影を撮ってくれんかね」  去年の暮れに、母が私に言った。生きているのに遺影とは……と、少々驚いたが、亡くなってから急いで葬儀屋に作らせるよりも、元気なときの姿を祭壇に飾ってあげたいと思った。「花がたくさん咲く季節に撮ろう」と約束して、この春を迎えた。  四月に二人で実家近くの寺を訪れると、その日は桜まつりが行われていた。いつもはほとんど人がいない場所なのに、大勢の家族連れや花見客でにぎわっていた。大きなレフ板を立てて撮っていると、恥ずかしがり屋の母は人目を気にしすぎて

          母の遺影 原稿用紙三枚の“記憶”

          職親(しょくおや) 原稿用紙三枚の“記憶”

          職親  営業会議は滞りなく進行し、総括の時間が近づいていた。いつもは厳しい責任追及の場だが、その月は営業部全員が目標を達成していたため、会議室は活気にあふれていた。 「気が緩んでいないか」。翌月に向けて積極的な意見が交わされる中、О部長の発言が、空気を一変させる。部長の鋭い視線は僕に向けられた。入社して三年、ようやく印刷営業として一人前になれたと自覚し始めた頃だった。部長は、僕の仕事に対する姿勢や心構えについてひとしきり罵倒した後、聞くに堪えない言葉を投げつけてきた。  誰

          職親(しょくおや) 原稿用紙三枚の“記憶”