京都五花街早春夢舞台

南座。
とにかく美しさにうっとりする。芸舞妓の衣裳、粧え、品・科、舞による美しさ。地方の唄、三味線、小鼓、大鼓、太鼓、笛による美しさ。

では、この「美しさ」とは何を由縁とするのか。まずは「型」がある。
その「型」を支障なく務めていく流れの美しさがある。そして、その型には、例えば身体的な、実は多様な「無理」があるのだが、それを「自然」に見せる稽古と技量がある。

芸妓の白塗り、抜いた背中の曲線、舞妓のびらびら簪、いや、舞妓は芸妓に比べれば若さゆえの破調がある。その破調を美に組み込んでいく仕掛け。

その上で、衣裳の色彩は圧倒的。振袖とは服ではなく絵画として存在する。芸妓の引きずりの粋。江戸の粋は縞だが、京の粋はシルエットだとも思われる。

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