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4時20分、繰りかえされる会話

この日は、ふとした拍子で目を覚ましてしまった。パリに到着してしばらくたっているので、まったくもって時差ぼけなんかないはずなのに。

時計をみると4時20分だった。こんな早くから起きるわけにもいかず、ふたたび眠りにつけるようにと横になるけれども、なかなか眠りにつけない。

そういえば、さっきまで夢をみていた。そこでは僕は誰かと会話をしていた。椅子に腰をかけ、3人で円になり、何かの話をしていた。そこで話されていた言葉は日本語ではなかった。フランス語というわけでもなかった。だけれどもそこでの会話はなにごともなく、円滑に進められていた。言葉そのものには意味をもたず、その場にただ言葉としての存在をしていただけのようだった。いったい何をそんなにも話していたのだろうか、これといって内容はなかったのかもしれない。そこには言葉というもの、そのものには意味がなかったのだ。頭の中で変換されている言語と言語の間をさまよっている3人がそこにいるだけだった。食事もとらず、何かを飲む訳でもなく、ただそこに腰をかけて会話をしていた。1人が喋れば2人は相槌に近い言葉をかえす。

その部屋にはとても大きい窓があり、そこに合わせたとても大きいカーテンがつけられていた。そして外はずっと雨が降っている。しばらく3人の会話はまだ続けられていた。

そんな夢のことを思い出しているうちに、再び眠りについていった。

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