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【チートシート】マクロ経済を簡単に解説【解説編】

マクロ経済のしくみに興味がある方へ。

「投資をしてみたい」「会社の戦略を考えないといけない」……そんな理由から、マクロ経済に興味をお持ちの方がいるかと思います。
一方、「マクロ経済学入門」のような本を読んでみても、中々頭には入ってこないものです。なので、実践で使えそうなマクロ経済チートシートを作成しました。今回は、これを元にマクロ経済の概要を説明していきます。

もくじは下記の通りです。

1.はじめに
2.国債
3.財政出動と金融政策
4.物価
5.まとめ

1.はじめに

1a.チートシートの紹介
まず、チートシートの全体は下記のようなものです。入り組んでいてとっつきにくいと思いますが、チートシートなんてそんなものです。使っている内に慣れます笑

1b.GDPの上がり方
ざっくりとGDP=日経平均株価=日本市場です。なので、GDPの見通しを持てる→日経平均株価の見通しを持てる→市場を予測できる、ということになります。
GDPはその定義上、①輸出、②政府の支出、③企業の設備投資、④個人の消費」が増えることで成長します。
なお、ISバランス(Investments/Savings)という考え方があって、財政赤字(≒政府支出)が増大すると輸出額は減少する(≒貿易赤字)傾向があります。

2.国債

2a.国債と金利とGDP
何らかの理由で金利が上がると、みんな国債を欲しがります。みんなが国債を欲しがると、需要と供給の関係で国債の価格が上がります。そして、国債の価格が上がってしまうと、国債を持つことのうまみ(=金利)が低下します。
金利が下がると、企業はお金をたくさん借りて、たくさん設備投資を実施します。そうすると、GDPが増加します。これを経済学的には「IS曲線は右肩下がり」と言います。

2b.国債とお金とGDP
みんなが国債を欲しがることのもう一つの側面として、LM曲線(Liquidity Preference / Money Supply)と呼ばれるものがあります。みんなが国債にお金を突っ込みだすと、市場にお金が出回らなくなります。そうすると、政府も企業も個人もお金を使えなくなって、GDPが減少します。「LM曲線は右肩上がり」とも言います。
これ、矛盾していますよね。先程はみんなが国債を欲しがるとGDPが増加すると述べ、今回はみんなが国債を欲しがるとGDPが減少すると述べました。これは経済学的にはIS-LM分析という名前で触れられるもので、実際は矛盾ではなく、両者のバランスが上手く取れたところでGDPが安定します。

3.財政出動と金融政策

3a.財政出動の功罪
政府が財政出動(公共事業等)と実施すると政府支出が増えるので、GDPが増大します。
その一方で、政府がお金を調達する手段は国債の発行なので、国債が余り国債価格が下落する方向に圧力が働きます。そうすると金利が上がり、設備投資が減り、GDPが減少します。
せっかく財政出動をしても、設備投資が減少してしまい、想定していた効果が薄れてしまう可能性があります。このことをクラウディング・アウトと呼びます。

3b.財政出動の功罪②
財政出動があると、金利が上がるということを前章で述べました。金利が上がることのもう一つの側面として、円高があります。高金利=儲かる通貨なので、他の通貨に比べて強くなってしまうんです。
そして、円高は輸出産業に関してはマイナス影響です(輸出先で売るときに円高だと高値になってしまう)。よって、GDPにマイナスの圧力が働きます。
財政赤字を覚悟で財政出動を行い、その結果円高からの貿易赤字ともなれば目も当てられません。この財政赤字+貿易赤字が双子の赤字と呼ばれているものです。マンデル=フレミング・モデルというものが、この現象を説明しています。

3c.金融政策の功(罪)
金融政策(量的緩和等)が実施されると、カネ余りの状態になります。余ったカネは国債の購入に当てられ、国債価格上昇→金利減少→設備投資上昇→GDP上昇という流れが実現します。また、金利が下がると円安になり、輸出増大→GDP増大という側面もあります。
現在では、金融政策は財政出動よりも効果が大きいと考えられています。ちなみに、金融政策に対して為替が真っ先に反応することが多いです。
また、金利が下がりすぎて誰もカネを貸したがらなくなり、金利と設備投資が連動しなくなることがあります。これを流動性の罠と呼びます。

4.物価

4a.物価と金利
物価が上がるということは、同じお金の量で買えるものが減るということです。つまり状況としては、市場にカネが不足しているときと同じものです。カネが不足していると国債に回されるカネも減り、国債の需要も減り、国債の価格も下がります。そして、金利が上がります。金利上昇=GDP減少なので、頭とお尻をつなげると、物価上昇=GDP減少効果です。

4b.物価と雇用
物価が上がると、同じ賃金でも買える物が減ってしまいます。つまり、物価上昇=実質賃金減です。そして実質賃金が減少すると、企業は人件費に余裕ができるので雇用を活発にします(=失業率の低下)。雇用が増えるということは企業の生産が拡大するということで、GDPの増加要因です。
つまり、物価上昇=GDP増加効果。これも先程のお話と矛盾しています。ここは経済学ではAD-AS分析(Aggregate Demand – Aggregate Supply)として扱われる部分です。失業率と雇用の関係はフィリップス曲線としてまとめられています。

5.まとめ

分かったような分からないような、少しうさんくさく感じたのではないかと思います。何かと「これこれはGDP増加の要因となる」「その一方で、同時にGDP減少の要因にもなる」とばかり言っています。
そして実際、状況は簡単ではありません。財政出動などのイベントが起きると、それを利用して金儲けをしようとする人間Aがいて、その人間Aを見越して金儲けをしようとする人間Bがいて、その人間Bを見越して……と、あっという間に先が読めなくなっていまいます。
じゃあどうやって金儲けをすれば良いのかという話については、引き続きnoteで書いていきいと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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