徒然愚さ 七歩目

最近、また胸のなかの混沌に名前をあげることが難しくなった。
この気持ちをどう表現すればいいのか、全く解らない。

言葉は表現の手段として不完全だ。

無限の様相を持ち、千変万化する心を
限りある言葉で形作ろうなどという考えが、もしかしたら、もしかしたら無謀なのかもしれない。

僕は伝えるために言葉を紡ぐ。けれど、上手に紡ぐのには時間がかかる。
あの人に「どんな気持ちだったの?」と訊ねられる度に、長考して、それなりの言葉を紡いでは、最後に「万感の思いだった」と付け加える。
僕の精一杯の、誠実さだった。
きっと、君は不満で不安だったろうな。

でも、「やまとうたは、人の心を種として、万の言の葉とぞなれりける 世の中にある人、ことわざ繁きものなれば、心に思ふ事を、見るもの聞くものにつけて、言ひ出せるなり 花に鳴く鶯、水に住む蛙の声を聞けば、生きとし生きるもの、いづれか歌をよまざりける 力をも入れずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、男女のなかをもやはらげ、猛き武士の心をも慰むるは、歌なり」だ。
言葉は、紛れもなく、心を写している。そして、力を持っている。

言葉は言の葉だ、それは種次第。
救うも殺すも、それは心次第。

まるで魔法のよう…

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