見出し画像

ぜひ読んでおきたい!マッキンゼーの小売業の自動化余地レポート(日本語まとめ)

Revueのサービス終了に伴い、そちらに掲載していた記事をnoteに移設しています。本記事は、Revueにおいて 2021/11/20 に掲載したものです。

2022/12/15

「将来にむけてリテール業はオペレーションモデルを構築せよ」というマッキンゼーのレポート(英文)が出ています。この要約と、この提案に対する企業側目線での課題をまとめました。


Source: Crafting a fit-for-future retail operating model

内容 - 前提

小売業は、コロナ前から、¹収益性の低下、²消費者の嗜好の進化、³ECの急激な増加にさらされてきたことでずっとキツい。

そこでコロナが来た。これは新しい方向に引っ張ったのではなく、これまでのトレンドを加速した。高級品のオンライン取引は8年分の変化が2年で起きている。

これまで小売業はその対応にちいさな投資しかしてこなかった。コストを減らすのに少しデジタル化するなど表面的な対応しかしてこなかった。

2016年に、小売業は収益の2%しかITに投資していない。ビジネスサービスで5%、銀行で7%投資しているのに。

内容 - 取るべき対策

しかし今こそ投資する時だ。¹社員のスキルシフト、²より機敏なオムニチャネル化、³組織全体での自動化の3点が投資ポイントになる。

対策1:社員のスキルシフト

社員の再教育には、かなりのリソース投下が必要。けれどこの投資対効果は“採用”の1.5〜3.0倍!

一部の遅れている分野(デジタル担当など)には社員を採用すること。

対策2:より機敏なオムニチャネル化

業績の低い企業は組織構造を変更する頻度が低い。急成長企業や新興企業は、変化に適応するために組織を継続的に進化させている。

デジタル対応の急速な立ち上げのために専任のCxOを立てる。立ち上がり次第、オンライン/オフラインの組織統合を行う。

対策3:組織全体での自動化

活動の52%は、少なくとも部分的に自動化できる。プロモーション管理などの複雑なプロセスには、8以上のステップと以上のチームが含まれる。このステップ数は20〜30%削減することができる。

示唆 - 企業内部に変革を担う人材がいるのか

対策1は「社員教育にリソースを大きく割くことになる。けれど、ROIは1.5x以上になるという良い投資先になる」という提案。逆にいうと「リソースを小さく割くことしかできないのであれば、この高いROIの投資はできない」ということになります。中堅企業はやはりこの高いROIの投資先に投資はできないわけです。

対策2は「機敏な変化を推進できるトップのコミットメント」が重要である、ということになります。近年では横断で組織変革を担うため、CFOにそうしたデジタル化の旗振りを行ったり、CDOを置いたりというケースが見られます。ただ、中小企業であればCEOが担うべきポジションでしょう。

対策3は「部分からでもいいので自動化せよ」ということでしょう。実際、全社トランスフォーメーションをしたいと高い目標を置きすぎていたり、DXの定義にこだわったりは無意味です。やるべきことをやり、ひとつでも改善すればOKと考えるのが大切ですよね。

結局一番大切なのは、DXを率いる人材がいるかどうかのみであると思われます。ただ、採用はそう簡単ではないので、外部登用も考えるべきでしょう。

サポートしてくださった方のご厚意は、弊社の若手とのコミュニケーションのためのコーヒーショップ代にさせていただきます。