X(旧Twitter)でのカバー曲投稿について、JASRACさんに聞いてみたよ!

お世話になっております

昨日何気なくあげたこのツイート

これに端を発して、ちょっと【X(旧Twitter)内でのカバー動画】について調べてみたいなって思ったので、早速JASRACさんにお問い合わせをしてみましたよ〜。


今回あくまでJASRACに限定して書きますので、NexToneなど他の著作権管理事業者についてはご自身でお調べくださいますと幸いです!


今回は自前で演奏する「カバー」について聞いてきました。オリジナル音源(原盤と言えばいいかな?)を投稿することに関してはまた別の許諾が必要です。


私はJASRACでもなければただの専業主婦なので、ご質問はJASRACさんへお願いします&謎のクレームもご勘弁ください
私はこのnoteに書いてある以上のことはわかりません\(^o^)/
(記事の誤りのご指摘は大歓迎です!)


JASRACてなんぞ

一応書いておきます!JASRACとは

"一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)の英語表記は、「Japanese Society for Rights of Authors, Composers and Publishers」です。 表記にありますようにJASRACは、国内の作詞者(Author)、作曲者(Composer)、音楽出版者(Publisher)などの権利者から著作権の管理委託を受けるとともに、海外の著作権管理団体とお互いのレパートリーを管理し合う契約を結んでいます。

JASRACは、膨大な数の管理楽曲をデータベース化し、演奏、放送、録音、ネット配信などさまざまな形で利用される音楽について、利用者の方が簡単な手続きと適正な料金で著作権の手続きができる窓口となっています。そして、お支払いいただいた使用料は、作詞者・作曲者・音楽出版者など権利を委託された方に定期的に分配しています。"

「JASRACの紹介」より引用
https://www.jasrac.or.jp/profile/intro/index.html

超ひらたく言うと、作った人の代わりに作品の窓口になったり使用料の徴収を代行するエージェントですかね。
私みたいな弱小インディーズは自分の著作物を自力で管理できるけど、メジャーのみなさんが自力で窓口になったりお金を徴収するのは大変だし、
なによりユーザー側も、こういった一括窓口が無ければ使いたい曲があるたびに権利者さんのへ連絡入れてお金払って…ってしなきゃいけないわけだから、そこらへんを代わりにやってくれてる人たちってかんじですよね。

前提条件「X(旧Twitter)にカバー動画上げるのはNG」

で、本題。実はこれご存知じゃない方も多いかと思いますが、
X(旧Twitter)の動画投稿機能において、JASRACが管理している楽曲のカバーを投稿することは許可されていません。

というのも、X(旧Twitter)がJASRACと「カバー曲流してオッケーだよ〜」の契約を結んでいないからです。

一方Youtubeやツイキャス、TikTokではカバー動画上げてOK(さらにそのURLをTwitterに貼ることはOK)なのですが、これはなぜかと申しますと各社がJASRACと楽曲の利用許諾契約を締結しているからなのです。
もっと言うと、包括契約といっていわゆる「ホーダイ」の契約をしているので、これにより我々はいちいち「この曲カバーしてもいいですか?」ってサイトやJASRACを通して許諾手続きをしなくっても該当サイトに楽曲をアップすることがでるというわけ。そして、それらのサイトが我々ユーザーに変わって…というかサイト運営者として、著作権料をJASRACに支払ってくれています。ありがとう。

"JASRACと利用許諾契約を締結している以下のサービスでは、一般ユーザーの皆さまが個別にJASRACへ利用許諾手続きを行なわなくともJASRAC管理楽曲を利用したUGC(動画・歌詞)をアップロードすることが可能です。"

「利用許諾契約を締結しているUGCサービスリストの公表について」より引用
https://www.jasrac.or.jp/info/network/ugc.html

こちらのページに許諾契約締結しているサイトが一覧になっているのでご覧になってみてくださいね。

https://www.jasrac.or.jp/info/network/ugc.html

で、何度見てもそこには無いのよ、「X(旧Twitter)」の文字がよ。
つまりTwitterは上述の利用許諾契約を締結していないのです。有名どころのサイトはだいたい締結しているように見えるのになぜにTwitterよ…と思うのだけど、契約締結にかかるお金とかの問題なのかな?どうなんだろうね。

画像1

X(旧Twitter)にはカバー動画を上げることは絶対にできないのか?

Twitterを使われているミュージシャンならばご経験があるかもしれないなと思うのですが、
ご自身の楽曲の動画をX(旧Twitter)に直接投稿した場合と、YouTubeにアップした動画のリンクをX(旧Twitter)に貼って投稿した場合とだと、明らかに再生回数に差が出ませんでしょうか。

つまりは「X(旧Twitter)に直接動画上げた方が再生回数伸びやすい」と思うのです。細かい考察は置いておいて、私は肌感覚的にですがこの差はかなり感じています。

あとはX(旧Twitter)ってタイムラインの流れも速いし、そのぶん消費的というかお気軽な感じで動画とかも上げたいなと言う気持ちがあるわけです。
ちょっとキーボードやギターで弾き語ってみたりとか、そこまで作り込んでない動画なんかをササっとアップする用途でX(旧Twitter)使いたかったりするわけですよ。
でも、ササっとX(旧Twitter)にカバー曲アップしちゃうと、思わぬ権利侵害が発生しちゃうことになるのです。

おそらくこの文章を読んでくださっている方は、積極的にルールを破ろう!!って思っているわけでは無くて、ルールを守りながら楽しむために何をすればいいいのかということを求めてくださっていると思うし、私もそういう方に読んでいただきたくて書いているので、ここから「権利侵害せずにX(旧Twitter)でJASRAC曲をアップするには」ということを書いていきますね。

「X(旧Twitter)にはカバー動画を上げることは絶対にできないのか?」の答えは「方法はある」です。
音楽制作界隈のスーパーマンCHEEBOW先生からの鶴の一声

「個人契約」なるほど!!!!

X(旧Twitter)というサイトとしてはJASRACと契約していないけれども、個人としてX(旧Twitter)にカバー動画投稿する権利をゲットすればいいんじゃないの。ということ。
(CHEEBOW先生が貼ってくださっているリンクもとっても為になるのでぜひご一読ください。)

JASRACに電話した

わからんことは直接聞いてみよう!というわけで、X(旧Twitter)でのカバー動画投稿について、JASRACさんに問い合わせのお電話を差し上げました。
お尋ねした項目はこちら

・Twitterで動画を投稿するたの手続き・区分

・契約はアカウントごとという認識でOK?

・複数人で運営しているアカウントの扱いは?

・使用料を募る・外部の援助を受けることは営利にあたる?

・動画に楽曲と歌詞を含めたもの(リリックビデオ)は曲と歌詞別々に契約が必要?

・独自ドメインのブログなどにカバー曲を掲載する場合も同じ手続きという認識で良い?

・インタラクティブ配信の実際の手続きは?


▼X(旧Twitter)で動画を投稿するためにはどのような手続きが必要か

個人がX(旧Twitter)で動画を投稿する場合は、「インタラクティブ配信」に該当し、利用許諾契約を締結する必要があります。
また、動画を投稿することで収益を得るものではないので区分は「非商用」「個人」になります。
さらに、X(旧Twitter)の投稿動画はダウンロードできないので「ストリーミング」の区分になります。

↓インタラクティブ配信 使用料規程 著作物の使用料

↓インタラクティブ配信 使用料早見表(非商用配信/個人/ストリーミングを参照)

画像2

つまり、個人でカバー動画をアップする場合は
1曲月額150円/1曲年額1,200円/10曲以上の年額一律10,000円
です!!

▼契約はアカウントごとという認識でOK?

「契約はアカウントごと」の認識で大丈夫でした。

じゃあ、1つのアカウントで許諾契約を締結して、そのアカウントを経由して複数人のカバー動画を上げちゃえばいいんじゃないの?どういうこと?という疑問がわいてきました。↓↓

▼複数人で運営しているアカウントの扱いは?

上述のような、複数のミュージシャンがカバー動画を投稿するアカウントを作った場合は「1アカウント」として契約すればいいのですか?とお尋ねしたところ、それは「個人」ではなく「団体」扱いになるとのことでした!なるほど!

ちなみに使用料は、曲数あたりの利用料の定めがなく、
月額3,000円、または年額30,000円
の「ホーダイ」契約のみとのことです。

↓インタラクティブ配信 使用料早見表(非商用配信/グループ・非営利団体/ストリーミングを参照)

https://www.jasrac.or.jp/info/network/side/hayami.html#anc02

▼使用料を募る・外部の援助を受けることは営利にあたる?

つまり使用料をメンバーで折半したり、外部からの援助やクラウドファンディングで資金を調達することは営利にあたるのかということ。結論から言えば「あたらない」とのことでした。

ここでいう「営利」「商用」とは、動画を投稿することによって収益を得ることなので、上述のような方法での運営資金の調達は営利にあたらないそうです。

▼動画に楽曲と歌詞を含めたもの(リリックビデオ)は曲と歌詞別々に契約が必要?

ざっくりですが、リスニング用の音楽をアップロードすることと、歌詞を転載するのとでは別々の許諾が必要だったような…という認識がうっすらあったので、聞いてみました。

結論、「国内の楽曲であれば大丈夫」とのことです。これ注意しなきゃいけないのが、JASRAC管理か否かではなく「国内か国外か」という分け方であるということ。
国内の音楽に関しては、国内音楽の流通の視点などから権利者さんとの間で「音楽に動画/歌詞付けてアップするのOKにしましょうね」という契約になってるんだそうです。一方海外の権利者さんとの間ではその契約が適応されず、個別に連絡をとって(JASRACが窓口になってくれます)許諾を得る必要があります。また、その使用料は権利者さんの指値とのことで。これは煩雑にもほどがあるでしょ…といったところ。

"(2)外国作品をご利用になる場合
JASRACにお支払いいただく使用料のうちの「基本使用料」は、日本国内の音楽出版者が指定した額(指し値)となります(一部例外曲あり)。申込前に音楽出版者にご連絡いただき、基本使用料額をご確認ください。"

「DVD・Blu-rayなど映像ソフトの製作」 より引用
https://www.jasrac.or.jp/info/create/video.html

↓第7節ビデオグラム録音|使用料規程 第2章著作物の使用料
https://www.jasrac.or.jp/profile/covenant/pdf/royalty/rylty07.pdf

え?ビデオ?ってなったと思うのですが、「音楽を映像(動画)とともに配信する利用」については、上述のインタラクティブ配信 の手続きのほかに、「音楽と映像(動画)を組み合わせて固定(複製)すること」に対する複製権に基づく手続き (同規程第7節ビデオグラムの規定)が必要になります。
(https://www.jasrac.or.jp/info/create/video.html)
つまり音楽に映像を付ける行いに、許諾手続きが必要っていうこと。
ただしこれも上に書きましたが、ストリーム形式の場合は日本の楽曲しか利用しない場合にかぎり、第7節 ビデオグラムの手続きは不要となるとのことです。
ようは日本の曲だけを投稿するならインタラクティブ配信の契約するだけでOKってこと。

じゃあ、海外の楽曲のカバーは………というと、先ほどの「直接連絡して許諾もらって指値でお支払い」というちょっとしんどいことになることがここで判明…正直2:20のTwitter動画投稿のためにこの作業コストに見合わないと思います。

ただしここで朗報!
Youtubeに関しては海外アーティストとの間でビデオグラムに関しても包括的な契約がなされているため、海外アーティストの楽曲でも動画にして投稿してOKです!!!

YouTubeつよ。

※ちなみに!
「海外楽曲のカバー動画をTwitterに投稿する方法」ちょっと裏技的Tips判明しました。

どうやら、「静止画に音楽を貼る」のはさきほどのビデオグラムの部分にひっかからないそうです!
もう少しいうと、スライドショーもOK。トランジションは動画とみなされません。
ただし、音楽に合わせてパッパッパっと画像が変わるような演出は「動画」とみなされるし、画像が高速で変わることでパラパラ漫画的に動くようなのももちろん「動画」です。ここはとんちを聞かせずに素直にいきましょう。

ダッサいスライドショーでじんわり静止画を移し替えとくのが無難!

あと、その静止画に宣伝などを付けるとまた別の許諾が必要になるそうなのでご注意!
たとえば自分のライブ告知のスライドに海外アーティストのカバー音源をくっつけたい場合は、必ず然るべき手続きをしましょう。ただやっぱり「言い値」を喰らうことは怯えるので、まあ宣伝を掲載したいならフリー音源や自作曲を使うのがもっとも無難でしょう。

ちなみにこの手法裏技かと思ったらJASRACのご担当曰く「よくある正当な手法です」とのこと〜〜!!よかったよかった。

▼独自ドメインのブログなどにカバー曲を掲載する場合も同じ手続きという認識で良い?

ご要望があったので軽く聞きました!
基本的に流れは同じとのこと。ただし、バナー広告で収益を得ているタイプのブログは、「営利目的」とみなされるので、バナーの有無で扱いが変わってきます。また、営利目的のブログに掲載する場合は「売り上げの何%を納める」といった算出の仕方のようなので、JASRACに納める金額が一概には掴みにくいとのこと!

ちなみに、Youtubeにアップしたカバー動画を埋め込むのであれば手続き一切不要です!!

Youtubeつよ。

▼インタラクティブ配信の実際の手続きは?

J-TAKT
「インターネットでのJASRACレパートリー利用許諾申込受付システム」

このソーキュートなサイトから登録をします!
ちょっと途中まで入力して進んでみましたが、特に難しい設問/項目はなかったです。

カバー投稿アカウントを作るかどうか

というわけで、X(旧Twitter)で権利侵害なくカバー曲をアップするにはこういう手続きを踏むそうですよというご報告でした。

で、私が目をつけたのは「非営利グループによるカバー配信アカウントの設立」やってみたらどうかな?ということ。

たぶん世のX(旧Twitter)民全員が全員JASRACと契約するのはハードルが高いだろうし、そうであれば誰かが代表して契約して、そのアカウントをみんなで仲良く使えばいいんじゃないかなと。
グループでやれば拡散力も上がるだろうし、それぞれの負担も少なくて済むからなかなか名案かもな〜と思ったわけですよ。

ただグループでやるデメリットももちろんあって、
たとえばアカウントを管理者が一括管理するような場合に、投稿者の望んだタイミングで動画が投稿できるとは限らなかったりするだろうし、こういう小さな不便が重なった時に「X(旧Twitter)ならではの気軽さ」が失われちゃうのかなと思ったりもして。

そして何がって海外アーティストの楽曲扱えない(ともはや認識してます)のはちょっとね。「じゃあいいわ別に」ってなる気もするよね。

まとめ

とにかく今回思ったのは、YouTubeつよ。ってことwww

大人しくYoutubeのリンク張っとけばカバーし放題なわけであります。
とか言ってしまうと本当元も子もないのですが。
それでもやっぱりX(旧Twitter)にカバー直接あげたいよ〜!っていう方は個人で契約をされるか、団体契約をしてカバー専門アカウント神殿を建立するなど、何にせよアイディアとリスペクトを持って対応していきたいですね。

というわけで!思いつきで適当なツイートしたことがきっかけでこんな色々調べることができて大きな収穫でした〜!
長〜い長〜いnoteにお付き合いありがとうございました!!

ここからはおまけ。私の気持ち

さて、今回JASRACさんとお話をしてみて、その丁寧でプロフェッショナルな対応にとっても感銘を受けました。
だいたいこういう問い合わせって何十分も待たされたり、たらい回しにされたりすることが多いので、お一人のご担当者さんベースですごくスムーズに話が進んだのはびっくりでした。

そしてやっぱり私は安易にJASRACという存在をサンドバッグが如く否定する方は苦手です。
そもそも決められたルールや法律、権利は守っていたいと思うわけです。
もしもそれがおかしなルールだと思うなら、破るのではなく正当な手段で変えて行こうよね。

だからわたし個人的には「宣伝効果になってるんだからカバーぐらいタダでやらせろ」と言うのは、「食べログで星5付けてやるからタダ飯食わせろ」って言ってるのと同じだと思うわけです。
ましてユーザー側が言う言葉ではないよね。

以前音楽教室から使用料を徴収する件が話題になったときには「教育の場からもお金を取るとは!金のことしか考えていない!」と言う声が聞かれてとても悲しかったです。

だってその音楽教育を受けている子達が大人になって印税収入を得る側になる側になるかもしれないわけじゃない?
その子たちの将来の収入源を「金目当て」ってぶった切るのはどういうことなんだろう?

また、「音楽を使うにはお金がかかる。そのお金が作った人のところに行ってまた新しい作品が生まれる」ってことを教えることも音楽教育なんじゃないのかしらと。
搾取ばかり覚えさせずに、努力・才能・時間に敬意と対価を払うのは当然のことだと、私なら自分の子どもたちに伝えたいかな。

なにより「自分の曲を無償で使われては困る」という作家さんの正当な主張がまるで悪みたいに見えてしまうのがすごく嫌なのです。

私の主観も入っていると思うけど、「グレーなんだからタダでやる」みたいなのは結局権利者に一円も払わないための言い訳に思えて悲しいです。

今後、個人での契約が当たり前になれば嬉しいですし、Twitterだけでなく様々なプラットフォームの提供者が包括契約を視野に入れるか、きちんと著作権について周知をして侵害のない運営をするか、いずれにせよ状況が改善されることを望みます。

音楽をたしなむ者として、扱う業者として、人の作品を使ってお金稼いで作者にビタ一文還元しないのは、「知らなかった」で済まされていいのかな…?
淘汰されてほしいとは決して思わないけれど、きちんと是正できるきっかけがあればいいと思うし、視聴者側ももっと洗練されることによって発信側の質が上がっていけばいいなあと思います。著作権が「常識」であってほしい。
無法地帯を我が子の世代に持ち込みたくないな、と思います。

というわけで。
まあ大人なので、まして創作をやってる身であれば作者さんにリスペクトと収益をお届けするためにも
しかるべき手続きをして楽しむのが筋なのかな〜とか思うし所存でした。

というわけで、ボリューミーな記事にお付き合いくださいましてありがとうございました!


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2024.1 Twitter→X(旧Twitter)に表記を変更しました。地味な作業でした。