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選択

あの選択をしたから。
2006年夜の11時の三条大橋。初めてのライブを見に先輩と合流した。週末ということあって人で溢れ返っている。

その人混みの一部となり、木屋町を抜けて八坂にあるクラブへと足を向ける。ずっとHIPHOPを聴いていたが学生時代は周りに同じ人はいなく、外部のバスケットボールクラブで出会った先輩と意気投合し、今日を迎えることになった。

八坂前のクラブ。まだその時は見慣れていなくてタトゥーを入れている人達が沢山いて驚いた。正直に言うと怖かった。だけど、
声だけの存在だった人たちが確かに存在している。それが一番の衝撃だった。

ステージの最前列を確保。ライブが始まる。

・・・、熱気が凄い!その人の熱量が会場全体を熱くする!ずっとやってきたバスケでも負けたくないと熱くなったりするんだけれど、それとは違う魂からの熱。本当にやられてしまった。一瞬で虜になってしまった。こんな感覚は初めてだった。俺も歌いたい。やってみたい。心の底から水面に浮かび上がった気持ちは一日経っても沈みはしなかった。

翌日の学校。親に何の断りも無く、担任の先生にラッパーになると言って大学受験を蹴った。俺にとっての初めての会場ロックの瞬間だった。家に帰ってブチ切れられたけど。

あれから2023年。今も続けている音楽。あの人みたくなれなくても、今日も自分の楽曲が誰かに届いていると思うと嬉しい気持ちになる。周りから見ると細々とやってるなと思われるかも知れない。だけど、自分が出来る事の精一杯をこれからも。好きな音楽を続けたい。「好き」が音楽を作る理由だ。大それたことなんてない。ただそれだけだ。十分な理由だと思う。

あの時、音楽を、HIPHOPを好きにさせてもらいありがとうございました。俺の音楽で、1人でも「好き」が広まれば。

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