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"Engineer"にとっての魅力 (dApps Staking)

この記事では、Astar Network の魅力として以下のページで上げていた「"Engineer"にとっての魅力 (dApps Staking)」について私の観点も含めお伝えしていきます。

私は、エンジニアやエバンジェリストとしてオープンソースソフトウェア(以降OSS)のプロジェクトに関わった経験をもっていたせいか、今回ご紹介する内容 "dApps Staking" はとても画期的で魅力に感じています。

dApps Staking とは

dApps Staking はブロックチェーンエコシステムで開発をするエンジニアを支援する仕組みです。

dApp = decentralized Application /分散アプリケーション
ブロックチェーン技術を活用し、ユーザーデータが大手企業等に渡らないようにする特徴をもつ非中央集権型のアプリ。複数のノードで分散管理される。スマートコントラクトが使われている。

Web3を知るための100のキーワード
https://wired.jp/article/web3-glossary/

私はかつてOSSに関わるエンジニアから「イノベーションはOSSから生まれる」と何度も聴いたことがあり、そしてそれ(Linux , Hadoop , kubernetes , etc)を見てきました。これは”イノベーションは(OSSを開発している)エンジニアが生み出している”と言い換えることもできると思いました。そして、今回のブロックチェーンに関係するテクノロジー、エコシステムを俯瞰してみたときも、それは正しいのではと信じている一人です。

dApps Staking の裏には、Web3 エコシステムで最も貴重な人材はエンジニアである、ということをしっかり認識していることがわかり、とても共感しました。

ブロックチェーンのエコシステムの発展や、さらなるイノベーションを起こすためには多くのエンジニアの参加やその継続した活躍、貢献が必要です。しかしながら、ここで dApp の開発には一般的にかかる開発費用に加えて、現在はブロックチェーンへデプロイするために高額なガス代(お金)がかかってきます。つまりコストを払って貢献し続けなければならないという課題があります。

ここで具体的な課題として2つ頭に浮かびました。

1つ目は、企業開発の場合です。
なんらか企業に属しているエンジニアであり、且つこの Web3 の市場に対して企業も将来性を持って推進しているということであれば、その開発費用もろもろを「投資」として捻出していく事もあるでしょう。ですが、特に今の黎明期のタイミング(参考:日本における未来志向型インフラ・テクノロジーのハイプ・サイクル:2022年)でスピード感をもってそれが実現できている企業は規制面などの懸念もあったりと、まだ多くはないと推測しています。

2つ目は、個人開発の場合です。
エンジニア個人での開発あったとき、多くはOSSを使って開発してほとんど金銭的コストをかけずにできたとしても、いざブロックチェーンへデプロイするとなった場合にかかるガス代(お金)は、繰り返される開発過程においては馬鹿になりませんので、そこはエンジニアの開発を継続するための費用捻出、そしてモチベーションにも影響してくる課題になり得ます。

私は、dApps Staking がこれらの課題を上手に解決し、エンジニアは参入し易く、継続した開発を促し、エコシステムへの貢献、そして更なる発展と好循環が生まれる仕組みになっていると思いました。

なお、Astar Network ではこの特徴を言い換えて、「Build to Earn(Build2Earn)」とも表現しており、エンジニアは開発しながら、ベーシックインカムを得ることができる、としています。

どのような支援の仕組み?

dApp を生み出すエンジニアやそのプロジェクトチームにとってどのような仕組みになっているでしょうか。

報酬は?

前述の課題、開発時にかかる費用(デプロイのガス代)面が解消されるということになるわけですが、ガス代がかからなくなる、というわけではなくガス代にも使える”ASTR トークン(以降 $ASTR)”が報酬として受け取れるという事になります。これを dApp 報酬呼ぶことにします。

Astar Network ではブロック生成報酬の分配において〇%が dApp 開発者へ割り当てられています。この割合〇%は今後変更される場合もありますが、この投稿時点では 15% となっていました。

支援の受け方は?

詳細は割愛しますが、dApp のエンジニア、あるいはそのプロジェクトチームは dApps Staking の要件をチェックし、満たしている場合は専用フォームで申請します。
そして Astar Portal 上から 自身の dApp を登録し、その記事を書いてコミュニティにシェアします。 

以下は、dApp の1つ Sirius Finance の例の記事です。

Astar Portal 上で下記のようにラインナップされるようになります。
右下に様々な dApp プロジェクトが並んでいます。記事投稿現在では、23 の dApp プロジェクトがラインナップされています。

Astar Portal v2

ちなみに、この dApps Staking としては Portal のバージョンアップも予定しており、ゆくゆくは Apple Store のような形を目指すとFounder 渡辺創太氏も話をしておりました。

どのくらい報酬は受け取れる?

dApp がラインナップされると、ステーカー(dApp を応援する人、投資する人と言い換えられます)はそれら dApp を自由に選び $ASTR をステーキングをすることができるようになります。

一般的なステーキングというと以下の説明のような形でブロックチェーンネットワークに対するステーキングになりますが、Astar Network ではそれ以外に dApp に対してステーキングすることができるというのが dApps Staking たる所以です。

ステーキング:
対象となる暗号資産を保有してブロックチェーンのネットワークに参加することで、報酬を受け取れる仕組み。プルーフ・オブ・ステークの承認プロセスに暗号資産を利用してもらう対価が報酬となる。

Web3を知るための100のキーワード
https://wired.jp/article/web3-glossary/

たくさんのステーカーにたくさんの $ASTR をステーキングされると、その分dApp 報酬が dApp に多く分配されるようになります。言葉を変えると多く応援されればされるほど、dApp を開発するエンジニアやプロジェクトチーム側への励みにもなり良い dApp へと成長、エコシステムの貢献度向上にもつながります。・・・①

”dApp 報酬”の用途は、当初課題であったガス代への補填の他、エコシステムの拡大に活用できます。例えば、ガバナンストークン報酬、流動性提供、開発者への資金提供などいろいろ考えれます。

一方、ステーカー側はというと dApp に $ASTR をステーキングする事でステーカーにも報酬が得られる設計になっています。そして、ステーキングするということは、その分、$ASTR のネットワーク上の流通量が減ることになるのでトークンの価値向上につながります。・・・②

①、②から、この dApps Staking でより多くのステーカーが多くの dApp にステーキングすることによって、ステーカーと dApp のエンジニアやプロジェクトチームの双方に益があり、またエコシステムとしても成長を続けられるという好循環が発生する仕組みになっているわけです。

おわりに

いかがでしたでしょうか、Astar Network のエコシステムへの参加、dApps Staking がエンジニアにとって魅力的である点は感じていただけたでしょうか。

おわりに、個人的な意見も含まれますが dApps Staking は、イノベーションを生み出すエンジニア(チーム)にとって、とてもサステナブルな仕組みではないかと感じました。

もともと、OSSに関わるエンジニアは金銭的な面よりも自身の”興味”、”スキル向上心”、プロジェクトへの”応援”、”貢献”といった面で活躍されている人が多くいる印象はもっていました。ただし、それが持続可能化というと、成果を挙げ、素晴らしい貢献をしたとしても、特に金銭的な面で恩恵を受けることができる人はごくごくわずかで、キャリアプランニング、生活設計などでやむなく別の道にという事もあったのではないかと思います。

今後も、エンジニアが良いものを生み、活躍し続けるためには、自己成長、人任せ・人頼りではなく”環境作り”も大事になってくる中、ブロックチェーンというイノベーションがその環境を提供してくれている1つの例だと思いました。

Astar Network はとてもうまくインセンティブの設計を導入することでこの環境づくりに成功し、自身のエコシステムだけでなく、エンジニアの成長および、Web3 市場への貢献も目指している点はとても期待ができ、応援をし続けたいと思わせるものでした。

最後までお読みいただきありがとうございました。

参考



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