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Erica Eso 『129 Dreamless GMG』

 ニューヨークを拠点に活動するアートポップ・アンサンブルの3年ぶりの2ndアルバム。軽快なフリージャズの手法を用い、ゴリゴリに重低音を鳴らしながらエレクトロ・ポップと電子音響、AORを結んで実験的に、独創的なサウンドワークを完成させた前作『2019』から、今回は生ドラム、ベース、そしてバック・コーラス2名によるバンド編成で制作された。そのため演奏面での厚み増し、より世界観を深化させることに成功した。
 シューゲイザーとコーラス、サックスが妖艶に絡み合う①や、クラシカルなシンセが主役となり、エレクトロ・ポップ、不協和音を織り交ぜた前衛的な③、インダストリアルとアンビエントが入り混じる実験的なサウンドに乗せられる讃美歌チックなコーラスが光る⑥など、多彩である。音響派、ポスト・クラシカルを意識しながらもアヴァンギャルド・ポップも見え隠れする様は、ジュリア・ホルターとアルカを点と点で繋げたかのよう。また、今作はローレル・ヘイローやコ・ラ、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーなどの新鋭たちがリリースしたNNA Tapesからのデビューとなったわけだが、その影響をもろに感じることができる。

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