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ナイト・フラワーズ『Night Flowers』

 遂にフルアルバムのリリースを果たしたナイト・フラワーズの『Night Flowers』はやはり青々とした切ない雰囲気漂う一枚となった。他の媒体やライターの指摘通り、80年代ネオアコを彷彿とさせながらも、味わい深いシューゲイズ・ポップを奏でている。そこで、際だつのはセンチメンタルな気持ちさせられる儚さや心地よさが同居する美しいメロディだろう。そして、コクトー・ツインズ、スロウダイヴ、ジザメリなどを引き合いに語られる音楽性は90年代シューゲイザー・シーンからも影響を受けているのは明白だ。
 ここまで彼らについて語ってみると、インスパイアや影響を受けた音楽がわかりやすいバンドであることがわかる。しかし、だからといって多くいるバンドのひとつとして分類するのはナンセンスだ。淡い光が見え隠れする幽玄な男女ヴォーカルも、サイケ感を加えたドリーミーなギター・ポップも、敢えてシンプルにかけ合わせられるリズム隊も彼らのオリジナルそのもの。日本で人気があることもうなずけるし、話題の尽きないロンドンのバンドシーンを代表するニューカマーだ。個人的には、日本のインディ・ポップバンドたちと呼応しているのも面白い。

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