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ネタばれミーティング11/14――高橋照美の「小人閑居」(54)

照 はじめてだよね、熱出したの。四郎と僕が会ってからはじめて。
四 お粥さんの写真入れた直後になーー。お前と結婚する人間、幸せやな。
照 え、それ何それ。
四 缶詰の白桃とか、水とか、「ちょびっとほしいけどだるいなー」とか思っとると、なんとなーくそばに来て何ほしいか聞いてくれて、ちょびっと待っとったら出てくるやん。

照 (笑いながら)サービス良かったですか。一応ホール接客も目配り(笑)
四 よかったです。

照 物語の中でも、すごい週だったよね。ご先祖さまが女殺しをする悪夢で四郎が夢精して、奈々ちゃんはトイレで泣いて、長女は大変で、育った環境も性も異なる恋だからこそ確認質問が不可欠で。
なにこのジェットコースター状態。そもそもなんでオナニーができない縛りを、作中の自分に入れちゃったの。

四 そっちが先やなくてさ、「傷」と「囚われ」を「ご先祖さまがぎゅうぎゅう詰めに入って生まれてきた状態」てって置き方にしたのが先でさ。そうしたら途中まで書いてきて、「あれまー。こうなってまうで、起きとるとき自分でできんわー」という流れがわかっての帰結……というか……。
俺も無意識から出てくるもんが何かは、あらかじめ想定できやへん。やでプロットが書けやへんのやもん。

照 僕も「えええー小学生時代におばさんに犯されてた設定ー」って驚愕したけどさ、お前の体の張り方が半端じゃないんで、うっかり忘れてたよ。

ちょっとさあ、同僚にニヤニヤされちゃってさあ。困るんだけど。
性的虐待って把握、きちんとされてないよ? 筆おろし早かったんですね的なうらやましがられ方で受け取られてるよ? 男二人、なんでこんなことになってんの。

四 そんでも、なまじ正常で「女の人を喜ばせんとあかん」みたいな苦しい前提に囚われとるより、女の人にとっての良さを、二人で確かめてけそうな設定でええかなーと思ってさ。

照 僕の恋の相手いつ出るの。
四 え。(目が泳ぐ)
照 奈々ちゃんと四郎がうまくいくように相談係やってる僕は、いくら好きでも奈々ちゃんとは適切な距離おかなきゃ、奈々ちゃんも四郎も困っちゃうじゃん。僕いつ次の恋できるの。
四 え。恋は詳しくないもんで……

照 由々しいな。


四 そうや。聞かなあかんと思っとったんやが……マガジンが増えとる。
照 「今の小説・コラムのフィードだと、7時間で3スクロールぐらいラクに流されていっちゃうから、毎日投稿したほうがいいよー。寝てなー、僕なんか書いとくからー」って、お前がふらっふらで布団にぽてって寝てるとき言ったじゃん。あれあれ。

四 3記事上げてくれたんやね。 しかも一記事118円マガジン348円てって「マガジン格安特典」?

照 そうそう。
四 しかもメール来とるやん。記事売れました、マガジン売れましたてって。
照 お前の白桃の缶詰分、記事とマガジンを買ってくださった、天使のような神のような方々がおられる。感謝せよ……

四 うわー! 
「気分どう? なんか飲む?」とか、二回ほど来たやん。アルバカーキとリチャード・ファインマンの話きいてったやん。生きづらさについて語ろうかーとか言ったやん。小学生の時のこと「あれってああだったっけー?」てって確認しにきたやん!

あれが売られとるの? あの話が! 買ってくれた天使のような人がおるの!?

照 白桃の缶詰の残りをかみしめるとき、感謝にうちふるえるがよい……
四 うわーーーー!

「最大値の2割」ぐらいで構わないから、ご機嫌でいたい。いろいろあって、いろいろ重なって、とてもご機嫌でいられない時の「逃げ場」であってほしい。そういう書き物を書けたら幸せです。ありがとう!