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麹と酵素のパワー 甘酒の栄養素と健康効果

今話題の「麹」を使った食品の代表選手が甘酒です。
甘酒は美味しいだけではなく、きわめて栄養豊富で数多くの健康効果が期待できます。

しかし、多くの人にとって甘酒はあまり身近ではないため、その実体はほとんど知られていません。

そこで今回は、
甘酒の種類
甘酒の栄養価
甘酒の健康効果
最適な飲む量
飲むタイミング
飲む温度

について解説します。
(記事の文末に動画を添付しています)

甘酒には2種類あった

まず甘酒の種類です。甘酒には2種類あります。

1つ目は、米麹から作る甘酒
もう一つは、酒粕から作る甘酒。 

米麹から作る甘酒は、蒸した米に麹菌を加えて数時間保温して、米の成分を分解してできたものです。
米に含まれるデンプンやタンパク質が、麹菌の働きによってブドウ糖またはアミノ酸に分解されているため、あの甘味が出てきます。

もう一つの酒粕から作る甘酒は、米麹から作られた甘酒に酵母を加えてアルコール発酵させます。

それを搾ると液体と固体に分離され、液体が日本酒に搾りカスの固体が酒粕になります。
その酒粕をお湯で溶いて砂糖を加え、もろみで発酵させたものが甘酒です。

米麹から作る甘酒と違って、微量のアルコールが含まれています。
アルコールに弱い人、子どもや妊婦さんは飲まない方がいいでしょう。

また、アルコールは微量ですが、運転前に飲むのも要注意です。
人によって、呼気からアルコールが検出される可能性があります。

また、砂糖を加えていることから、どちらかといえば、米麹から作る甘酒を私はお薦めします。

甘酒にはさまざまな栄養素が

ブドウ糖、アミノ酸以外の栄養素は、

ビタミンB群(B 1、B2、B6、ナイアシン、パントテン酸、葉酸)、
カリウム、ナトリウム、
食物繊維
(おもに不溶性食物繊維)、
オリゴ糖、フェルラ酸(抗酸化物質)、

これらの栄養素に加えて、何と言っても酵素です。
麹菌は酵素の宝庫とも呼ばれていて、約100種類の酵素が含まれていることが分かっています。

甘酒に期待できる3つの健康効果

一つ目は、“即効性のある”疲労回復です。
ただしこれは、米麹から作る甘酒に限られます。 

米麹から作る甘酒は麹菌の働きによって、デンプンがブドウ糖に分解されているため、速やかに腸から吸収されます。

さらに、糖質代謝に必要なビタミンB群も含まれているので、エネルギーに変換されやすいというメリットがあります。

甘酒が“飲む点滴”と言われるのは、それが理由です。

甘酒の健康効果2つ目は、
腸内環境の改善、即ち免疫力の強化です。

甘酒に含まれる麹菌やオリゴ糖、水溶性食物繊維は、腸内で善玉菌のエサとなり善玉菌を増やします。
その善玉菌が短鎖脂肪酸を作り出し、短鎖脂肪酸がさまざまな健康効果をもたらします。

短鎖脂肪酸に関しては下の記事で解説していますので、まだ読んでいない方はぜひご覧下さい。

甘酒の健康効果3つ目は、リラックス効果および安眠効果です。

甘酒にはGABA(γアミノ酪酸)という物質が含まれています。
GABAには、交感神経を抑えて興奮した神経を落ち着かせる、ストレスを緩和する、睡眠の質を整えるなどの効果があります。

また、酒粕から作る甘酒には酵母が多く含まれていて、それが深い眠りを誘導するアデノシンという脳内物質を活性化します。
これによって、夜中に目が覚めにくい、深い睡眠に導きます。

ガブガブ飲みすぎるとヤバい

次は、1回に飲む量です。 

米麹から作る甘酒の場合、ブドウ糖が速やかに吸収されて血液に入ります。
一度に多く飲み過ぎると、血糖値が急上昇します。

したがって、1回当たりの量は30〜50ml、多くても50mlくらい(小さなコップ1/3〜半分)です。
この量を、ゆっくりチビチビ飲むことをお薦めします。

糖尿病の人、血糖値が高めの人は、ブドウ糖がほぼ含まれない酒粕から作る甘酒の方がいいかもしれません。

甘酒を飲むベストなタイミング

1日の中で甘酒を飲むベストなタイミングは、朝起きてすぐです。

朝起きた時は、前の日の夕食から半日近く経っているので、体内のブドウ糖はほぼ枯渇状態です。
その状態で素早くブドウ糖を補給できるのが、甘酒(米麹から作る甘酒)だからです。

もっとも、果物も同じようにブドウ糖を速やかに吸収します。
私のように、朝起きてすぐに果物を食べる人の場合は、必ずしも朝に甘酒を飲む必要はありません。

1年の中で甘酒を飲むベストなタイミングは、じつはです。

甘酒は熱中症対策に最適です。
スピーディーなブドウ糖補給に加えて、適度なナトリウムを含んでいるからです。

甘酒には、100ml当たり約60mgのナトリウムが含まれています。 
50ml当たりでも30mgですので、発汗量に応じてこれを数回に分けて飲むことで、熱中症対策には有効です。

甘酒を飲むベストな温度

甘酒の栄養素を効率的に無駄なく摂取するには、60°Cくらいの、熱すぎないホッコリ温かい温度がベストです。
理由は、100種類前後の酵素がもっとも活性化するのが、大体60°Cだからです。

それ以上熱くなると、酵素の活性度が下がります。
また、熱に弱いビタミンB群が死滅してしまうかもしれません。

夏は冷やして飲みたい所ですが、酵素的に言うとベストとは言えないのです。

まとめ

甘酒には2種類あり、米麹から作る甘酒と酒粕から作る甘酒があります。

甘酒の栄養価は、
ブドウ糖、アミノ酸、
ビタミンB群、
カリウム、ナトリウム、
食物繊維、オリゴ糖、
フェルラ酸
(抗酸化物質)、
そして約100種類の酵素です。

甘酒の健康効果1つ目は、“即効性のある”疲労回復。
これは、米麹から作る甘酒に限られます。

2つ目は、腸内環境の改善、免疫力の強化。

3つ目は、リラックス効果および安眠効果です。

1回に飲む量は30〜50ml、多くても50mlくらいを、ゆっくり飲んでください。

1日の中で甘酒を飲むベストなタイミングは朝起きてすぐ。

1年の中で甘酒を飲むベストなタイミングは、じつは夏です。

飲む温度は、酵素がもっとも活性化する60°Cくらいがベストです。

この記事の内容については動画もアップしています。
合わせてご覧ください。


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