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それは正しく、結果として「ずるい」

araskaです。自分の人生の考え方として間違いなく影響を受けている人物が数名いる。例えば、子育てに関しては下田美咲という方の考え方を信じきっていたり、努力と効率化に関してはマジカルラブリーの野田クリスタルのルールのすり抜け方を参考にしていたりと、勝手に分野を作って考え方を真似させていただいている。他にも毒と愛の緩急についてや、アートの関係についても素敵な方がいらっしゃるのだが、先人に恵まれた人生を歩めている事に幸せとプレッシャーを感じる。そして思い詰めた先の家事や育児には、いつも耳からラジオがつきものになっている。ラジオリスナーとしてはパーソナリティーの人間性まで知りたいもので、バックボーンがイメージできるとフリートークの聞こえ方が変わってくるのが面白いところだ。生活そのものを体現しているようで、それはドキュメンタリーのようなリアルさがあって好きだ。


中でも好きなパーソナリティーがいて、佐久間宣行という方は奥様とお子様がいらして、二週間に一回はフリートークにご家族がテーマになっていて、ハプニングの有無に関係なく考え方の変化や小さな成長、時にはオチを聞いても何があったか思い出せないくらい他愛も無いことだってある。職業上、何かトークのテーマはないかと探しているのだとは思うが、それにしても等身大で家庭のあるリスナーには共感を生む素敵な内容なのだ。また、リスナーからのメールに対して、ツッコミとも審査ともまた違う、良いものには良い、改善できるものにはその改善策まで的確に示してくれるところに信頼感がある。そこまで深く知りたいこの佐久間宣行という人が本を出すのだから読まないという選択肢はなく、小高い丘の木に寄りかかり一人で本を読む子供のアイコンのアプリで早速読み始めた。


「ずるい」には「羨ましい」が少なからず含まれている。誰かが得をするから得をしていない人がずるいと思ってしまう。要は先か後かの話で、そのスピード感に感情のブレーキが効かなくなり、自分もできたはずだとプライドにまかせてずるいと言ってしまったり、自分だけ得をして身勝手だと感じてしまうわけで、犯罪級でない限りほとんどが素直に祝えることだ。私は冷静にこの本を読んでずるいなんて思わなかった。これまでを振り返っても、ずるいと書かれた見出しの文章は、真っ当な努力で他との差別化を図り抜きに出た話しか無かった。それでは何をずるいとしたのか、この本のタイトルの主題を知りたかった。すぐにそれが分かるほど理解力のある頭ではないので、表現を辿るしか自分には方法がなかった。


佐久間さんの人間性を考えた時に、この本で何度か人を褒めることの重要性と陰口の負の影響力の大きさが語られていて、おそらく努めて言動には気を遣っている。仕事の中での人間関係では特に注力していて、論理的かつ流動的で、仕事につながる効率的な人間関係の構築の仕方だ。「自ら縁を切らないコミュニケーション」で、何かトラブルがあって人間関係に亀裂が入ったとしても、あくまで自分は良好な関係になるよう努めたが、嫌われてしまったのなら仕方がないと思えるほど余念が無いちょうど良い距離を保つ。そこまでしておきながら自分の功績をとくに表には出さず、むしろ巡り合わせだとスタンスはいつも謙虚だ。ここまでで感じるのは、こんなに他人に注力できる人いるのかということと、ここまでの苦労を最終的には自分のためになるからと片付けられるのはどうしてかということ。企画術編を読む限り、人間関係による業績だけじゃないというか、普通にただただ面白い企画を論理的に通しているすごい人ではないか。好きな仕事の中でやりたいことをして、お金に執着がある様子でもない。客観的に満足してしまいそうなその状況で、人間関係に重点を置くその理由はなんなのか。


答えは「奇跡(縁と運)」だ。佐久間さんの企画書は素人の私が読んでも面白そうだと思った。ただ、はっきり言えるのは、この本を読むまでその番組を知らなかった事実があることだ。確かに面白い番組が生まれることは素晴らしいことなのだが、見られないと報われない。そこに繋がるのが人間関係の構築だった。私が佐久間さんのことを知ったのがオールナイトニッポン0を聴いた時で、それまでは意識したことは無かった。別の会社のサラリーマンが他社のラジオのパーソナリティーとなることにとても興味が湧いて、このラジオにはその理由がつまっていた。この仕事に繋がった「縁」は論理的で、それが火種となって引き起こされる「運」は、紛れもなく信頼関係の構築に努めた正しい努力の結果だった。私は論理的にしか物事を考えられない固い頭をしているが、この本が考え方を変えてくれた。今後も「偶然」なんて信じられないと思うが、「奇跡」は起こせるものだと確信した。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

書くために本を読みます! 本の経済が潤いますように!