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花束みたいな恋をした

 こんにちは、ARASKAです。歳をとるにつれて何かうまいことを言いたい欲がグツグツと頭の中で沸き始め、モツとキャベツを併せて煮込みにでもしてやろうかしらと思うほどオーバーヒート気味なこの頃です。上手いことというのは、謎かけみたいに意味がかかっていて上手いというものだけではなく、あえて空気を読めない事を発してみて逆に絶妙みたいな、タイミングがうまいという上手さもあり、大した事は言っていないのになんか良いこと言いそうな雰囲気してるよねみたいな、人が出すオーラみたいなものの空気感の上手さもあります。


 「女の子に花の名前を教えてもらうと、その花を見る度に教えてくれた女の子の事を思い出して一生忘れないんだって。」劇中で絹ちゃんが言った名言です。本来であればこの事象を解明した脳科学者や心理学の関係の方にお話を伺いたいところなのですが、たぶん絹ちゃんが言うからこそ意味のある事であり、上手い事言ったな!の感じなのでしょう。劇中では花の名前は教えないのですが、現実的な話をすると付き合った女の子の事を完全に忘れられる人の方が少ないような気もします。付き合った女の子とは明言していないですが、小学校の頃花の名前を教えてくれた女の子の事なんか覚えていないし、そもそも今思い出せる花の名前自体北海道の富良野のラベンダーくらいなもんです。こんなことを考える奴は女の子に花の名前なんか聞かないので、この映画を見なければ一生縁のない慣用句?でした。


 監督、役者も予期しない解釈をしてやろうと無理矢理頭を捻らしているせいで、床屋の前にある「赤青白がグルグルしてるやつ」くらい目が回り始めています。そんな中、知り合いかもにいそうな知り合いのカップルはこの映画を見て破局したそうなのです。「付き合ってから別れるまでの5年間物語」と広告で謳われている映画を見て別れるなんて、そんな悲しいことはないと思います。そんなに影響されてしまうのならくれぐれも暴力が含まれる映像を一切見ないようにしていただきたいと不安を覚えてしまった矢先、ふと別の考えも浮かびました。例えば付き合いたてのカップルであれば、私達はずっとこのままでいようとか、どうにか希望に持っていけると思います。3年くらいでなんとなくマンネリになってきてしまったあたりであれば、良くも悪くもしょうがないかとか、こうなる事もあるよなと他人事にしてしまったりも出来そうな物です。ただ実際に別れるとなると話が違ってきます。映画の最後、「ただの理想」と「現実的」のどちらの意味も孕んだ“別れる”という選択を、「ただの理想」と割り切った人が別れず、「現実的」と考えた人が別れることを選択するとも考えられる気がします。となると、映画の本当のラスト、別れた後の「現実と希望」に満ち溢れたあのシーンをどうとるか、ここで真に今と未来に向き合い、自分の中でも別れた後の「現実と希望」を見出せたのかどうかで別れるかどうかが決まってしまうのかもしれません。2段階認証みたいな別れ方だと思ってしまいますが、きっとどちらの未来にも希望はあります。


 この映画を見たきっかけは、「菅田将暉のオールナイトニッポン」の最終回に向けて菅田っこ熱を高めていきたいなと思っての事でした。結婚して3年半経ち、子供も1人いて、何となくお互いに慣れみたいなものは出てきてしまってはいますが、関係は良好です。ただ、なんとなく、本当になんとなく、まあタイミング的な感じでこの映画は“1人”で見ました。もちろん相手にも見たよとは報告して、「あんな感じの広告だったけどさ、希望に溢れたいい映画で感動したわ」と伝えておきました。ほら、絶妙に見る気失せますよね。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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