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No.48 3年ぶりにnoteを更新する

しばらく(約3年間)noteを使っていなかったけれど、久しぶりに更新したいと思います。

きっかけは12月1日に、山田太一さんの逝去の報に接したこと。

今年は坂本龍一や大江健三郎などの逝去も続き、まさに「巨星墜つ」という言葉を思わざるを得ない…

数々の山田太一作品に出演した山崎努は、その死去の報に触れて、「『かけがえのない人』を失ってしまった。なにも手につかず、溜め息ばかり」と心境を吐露し、「ゆっくり、しっかり、『山田太一』について考えよう」と記している。

山崎努と言えば、山田太一のドラマ『早春スケッチブック』の中での「ありきたりな事を言うな。お前らはみんなありきたりだ。」という台詞が有名で、ドラマ『男達の旅路』の中での鶴田浩二の「俺は若い奴らが嫌いだ。」という台詞と共に僕の心の中に残っている。

山田太一について僕は何度かブログにも書いていたけど、そのエッセイ集『S先生の言葉』の解説での映画監督の西川美和のこんな言葉が、山田太一という人と作品をとてもよく現しているように思う。

「語り口やさしく、おだやかな日常のエピソードを折り重ねた文体の中に鋭利な針が潜んでいる。ずっと人には黙って来た自分の秘密の腹を、脇からその細く長くしなる針で、音もなく襲われていくような気持がする。自分自身の凡庸さもよく飲み込んで来たつもりだ。それなりに上下に左右にと配慮もしながら世を渡っているつもりでもいる。けれどその実、いや、それでも自分はちょっとしたものではないか、俗物ではない、そんな短絡に物事を見てなどいない、などとひそかに思いたがっているみじめな腹もろとも、暴かれる。」

この言葉を読んで、僕は『キルトの家』というドラマの中で山崎努が「魂の話をしようじゃないか。」と言いながらこちらを指差しながらゆっくり歩いてくる姿を思い出すのだ。

僕もまた山崎努と共に、ゆっくり、しっかり山田太一について考えたいと思う日曜日です。


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