JICA中途採用面接の感想

国際開発業界を志望する学生や社会人は、一度はJICA(国際協力機構)で就労することを視野に入れたことがあるのはないでしょうか?

私もその一人です。

新卒就活時から数えてJICAに応募すること計4回。全て落ちました。

国際開発業界の(日本の)代表格とも言えるJICAなので、私と同じく忸怩たる思いを抱えている方もいるかと思い、過去の自分の経験を晒すと共にJICAの同質性を好む採用活動をディスるためにこの記事を書いています。

JICAの競争倍率

公式情報ではないのですが、JICAの新卒採用では30~40名の採用人数に対して1万人程度の応募があるそうです。倍率にして250~300倍越え。これはかなり難易度が高い印象です。

私が参加したボストンキャリアフォーラムでも、JICAの出展ブースは1コマ(一番狭い単位)&ブースも非常に簡素な作りだった割にJICAを志望する学生が殺到して出展ブースから大きくはみ出していたのを今でもよく覚えています。

当時、大学の友人数名とJICAに応募しましたが誰一人書類選考すら通過しませんでした。厳しい。

中途採用の競争倍率は未知数ですが、新卒採用の倍率から考えても決して低くはないと推察します。

JICA中途採用(社会人採用)募集の時期

JICAの中途採用は、毎年3月~6月に応募受付を行っているようです。中途採用の選考プロセスを経て同年9月~翌年1月の入構という流れなようです。

過去数年をみる限り時期のずれはないようです。国際開発分野を目指す方は、JICA中途採用の応募と国際機関のリクルーティングミッションやJPO/MCの応募と並行して行い、年間ルーティーンのように取り組んでいる方も多いのではと推察します。

JICA中途採用の応募実体験

中途採用の選考プロセスは以下です(最新情報ではないので参考程度に留めてください)。

1次選考:書類選考(エントリーシート + ウェブテスト *玉手箱です。小論文は無しでした)

2次選考:1次面接(30分程度、1対1 *ウェブ面接可)

3次選考:2次面接(30分程度、2対1 *ウェブ面接可)

最終選考:3次面接(未経験のため未知数 *東京にて対面のみらしい)

2016年度採用への応募

この年は書類選考を通過しました。

応募種類には、金融での経験を途上国開発でどのように活かすかを想像しつつ文章に熱量を込めてアピールした気がします。

1次面接に呼ばれ、東京のJICA本部にて1対1で対面面接を受けてきました。対面面接に指定された時間に訪問すると、すでに待機室に数名の方が座っており順番に面接に呼ばれます。面接官も4~5名はいたかと思うのですが、この時点では面接官1名に応募者1名なので同時並行で大量に面接をこなしている印象でした。

私の順番になり面接室に呼ばれました。面接官はいかにも日系の組織にいそうな中年の男性でした。この方には悪いのですが、きっと価値観や考え方が合わないだろうと即座に思ったのを覚えています。

面接で聞かれたことは以下です。

  • 何故国際開発業界を志望しますか?

  • 何故今の職業を選びましたか?

  • どのようにJICAに貢献できますか?

  • 国際開発の現場で役に立つスキルや経験を教えてください。

ここでは、私の本業である外資系金融機関の業務部の経験を中心に話しました。プロセス構築、規制対応経験等をアピールしたのですが、おそらくこの面接官に響いていないのは表情から見て取れました。「で、その経験が途上国開発でどう活きるの?」といった様子でした。

最終的には、面接官から「いまいちあなたの話す内容が理解できないんだよな~」と言われ、その瞬間落ちたことを悟ると共に面接官の同質性を求める姿勢と途上国経験をとくに至上のものとする言葉の端々に嫌悪感を感じました。

2017年度採用への応募

書類選考すら通過しませんでした。

2018年度採用への応募

書類選考を通過しました。

2017年は書類選考を通過しませんでしたので、再度応募種類の内容を精査し改善したのが効いたのだと思います。

ウェブテストはかなり自信がなかったのですが、特に対策していなかったものの通過できました。

2018年当時、東京から九州へUターンしていたため1次面接はスカイプ面接で受けました(当時はまだZoomがメジャーではなかったです)。

面接官は30代後半~40代前半の男性職員との1対1。最初に少し話した感じから、まだこちらをきちんと理解しようと努めてくれる意思を感じました。

面接で聞かれた内容は、2016年度採用の時の1次面接で聞かれた内容と大差はありませんでしたが、その方とは個人的に楽しく会話をすることができました。私のこれまでの経験、志望理由、目指す方向等々、共感をして頂けたようで「あなたの言うことが理解できない」といった失礼な言動は皆無でした。

その後、1次面接を通過した旨を連絡いただき、2次面接もスカイプ面接で受けました。

面接官は、30代後半の男性職員と、40代後半の男性職員との2対1の面接でした。(実際の面接では40代後半の職員の方とはあまりやり取りがなかったです)

2次面接で聞かれた内容は以下です。1次面接と比べるとより具体的な内容を尋ねられた印象です。

自身がJICA入構後に貢献できることは何ですか?

  • JICA入構後にご自身が貢献できることは何ですか?

  • (職務経歴書を参照しつつ)XXXのプロジェクトの内容や成果について説明してください。

  • XXXの業務内容で困難だったことは何ですか?またそれをどう乗り越えましたか?

  • 金融業界出身なので、管理/業務系のお仕事ができることは理解しましたが、いわゆる”国際開発の現場”では何ができますか?

    • ここで苦し紛れに「民間連携事業で、これまでの民間での経験を活かせます」と謎回答をしたため、以下質問が追加。※この時点で雲行きが一気に怪しくなりました。

  • 民間連携事業の中で、どの業務に携わりたいですか?

  • 待遇は今よりも下がりますが、それでもJICAを志望しますか?

※勿論、上記以外にも志望動機や自己紹介等は面接の最初に聞かれました。

質問を箇条書きにすると伝わりづらいが、質問が進むにつれてJICAの求める人物像に合致しない点を探そうとしている印象を受けました。

因みに今回私が応募した職種の募集要項「求める経験」欄で、JICA側が金融出身者と明記しているにもかかわらず、金融関連の質問に一通り答えることができたら、敢えて開発課題分野での経験を金融業界出身の私に聞いてくることに非常に違和感を感じました

未だに面接官の意図が全く理解できませんし、結局は自分や周りと似た人を求めているのだろう、と思います。だったら最初から「求める経験」欄に金融出身者とか書くなよ、と。こういう所は日本の古い組織の嫌いな所です。というか当時担当してくれたこの面接官がただただクソだと思います。

因みに私が思う”JICAな人”は、学生時代から途上国を飛び回り、日本のキャリアや報酬や機会損失なんのそので青年海外協力隊とかやって、そこから開発コンサルでとにかく途上国命!アフリカ大好き!アフリカ布大好き!な人たちな印象を持っています。

私はそうした途上国経験豊富、原体験も豊富(幼少期に途上国に親の仕事の関係で住んでて、、とか)な人たちを否定するわけではないです。

JICAのクソ面接官の言う”国際開発の現場”を語らせたら彼らの右にでる者はいないでしょう。一方で、金融出身者だからこそできる業務構築能力や堅い運用能力も組織に貢献する方法の一つです。

JICA社会人採用の意図(表向き)は、幅広い業界・業態から様々なバックグラウンドの方を採用し組織の多様性を図ることと宣伝していましたが、どうやら違うようです。

本音では「開発課題に直接的に過去携わってきた方、途上国経験が豊富な方のみ」を求めているようです。(JICAは否定するかもしれませんが、少なくとも私が過去に関わったJICAの中途採用選考経験からは、(特に面接官から)そうしたメッセージを非常に強く感じました)。

因みに、結果は予想通り二次面接で落ちました。

それでもJICAに行きたいか?

おそらくJICA職員や過去に職員だった方から言わせたら負け犬の遠吠えでしょう(私は一度もJICAから内定を頂いたことがないので)。

ただ、若手で国際開発業界を志望している層でJICAに行きたい人は、それなりに「JICAが望む」準備をしないと徒労に終わる可能性が高いという点だけ伝えたいと思います。日本に古くからある組織あるあるの同質性を非常に強く求めてくる組織でしょう。

あくまでTwitter等ネットベースの情報になりますが、JICAの中の人やJICAと仕事で関わるNPO/NGO、開発コンサルの方々からもJICAには賛否両論あります。

国際開発と一口に言っても色々な角度からのかかわり方がありますし、自分がどのような形で関わりたいかも人によって異なります。なので、(特に新卒や若手は)視野を広げてJICA以外の選択肢を模索するのも一つだと思います。

特に個人的には海外大・院→外資系企業といったキャリアで、日本の独特の慣習や組織運営に耐性がない方程避けた方がいいのではと思料します(あくまで上述のJICAの採用活動姿勢やネットでの情報をベースにした個人の感想ですがw)

それでもJICAに行きたい人へ

そもそも私は受かったことがないのですが、受かるための情報収集は行ってきましたし、途中までは選考が進んだので、私が知っていることを折角なのでここに書いておきます。

(けどやっぱり内定はもらってないので説得力がないのは否めませんので、参考にすることはお勧めしません。)

まず第一に当たり前ですが、JICAの競争倍率はとてつもなく高いですが、毎年のように中途採用の募集があるので応募しましょう。宝くじは買わなければ当たらないとは言ったものです。

次にエントリーシートですが、これまでの実績をきちんと詳細に丁寧に書き込み、国際開発への熱をアピールしましょう。文面で”熱をアピール”することは難しいのですが、言い換えると将来貢献したい(and出来る)ことを解像度高く語りつつそこに自分の感情も織り交ぜるイメージです(余計伝わりづらいかも?)

ウェブテストですが、玉手箱の問題集を1冊程度行い、問題形式とスピードに慣れたらいけるかと思います。

面接はどの面接官とあたるかが非常に重要なファクターな気がします。心から2018年中途採用2次面接で私を担当したクソ面接官に当たらないことを願うばかりです。

1次面接は1対1、2次面接は2対1ながら、実質的には1対1なので、その面接官との相性(人柄、職務内容)が非常に重要でここは運次第だと思います。

私は最終選考まで残ったことがないので、ここまでしか書けませんが、JICAで働くことで自分のバリューが上がる方、貢献できる方は是非うまくいってほしいものです。

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