徒然なるアナログ生活〜今日の1枚〜VOL.29 テーマ別名盤探訪プログレ編① 22.07.03
寝ずに何かをする代償はあまりにも大きい。
そんな当たり前の睡眠の大事さを痛感する日曜日でして、ほぼ寝ておりました笑
そしたらこんな時間に…
ある特定の時間に戻れるのなら今すぐ戻りたい。
無為に寝過ごす場合じゃない!
新たなシリーズを書くんや!!
と鼓舞し、今に至るわけです。
さて、本日は
「テーマ別名盤探訪 プログレ編①」
スタートを飾るのはこの1枚。
ピンク・フロイド/おせっかい
71年作。『原子心母』を経て、ピンク・フロイドが正真正銘、自分たちのプログレッシブ・ロックを獲得せしめた作品だ。
現代音楽家との共作だった『原子心母』から1年。前作よりも、メロディや構成の部分で自分たちの色が強く出ていて、プログレバンドとしての完成をここで為した、と筆者は思っている。
収録曲 6曲 47分
A面に3〜5分の楽曲が5曲収録。
そしてB面目いっぱいに1曲、の計6曲。
明らかに今までと構成が変化し、ある種の意図を感じる。これは原子心母以前には無かった要素。
この時期にロジャー・ウォーターズは何かに目覚めた様な気がしてならない。
同時にデイヴィッド・ギルモアもまた確信的な方向性を得始めている。
サウンド面も前作とは変わり、ギター、ベースは歪み、重々しく響きつつも、どこかクラシカルでハイカルチャーを意識させてくる。
前作で培ったハイカルチャー的エッセンスが見事に融合されていて、ソングライティングの方向がより明確化している。
ロックでクラシックに挑む。
プログレッシブ・ロックのひとつのテーマだ。
カウンターカルチャーたるロックを、ハイカルチャーたるクラシックに高め、挑む。
であるからこそ、大作的で、壮大で、複雑であり、テクニカル。
69年の『ウマグマ』において、同名タイトルでPt.1〜4とした楽曲を収録しているが、これはクラシックでいう第1楽章から4楽章までを表している。
これはザ・ウォール、炎と受け継がれる鉄板パターンになった。
サイケデリック、実験音楽を経て、彼らはハイカルチャーにロックで挑むことをはじめる。
同様のバンドとしてキング・クリムゾンやエマーソン・レイク・アンド・パーマー、ソフト・マシーン、ジェネシスといったハイカルチャーを意識したバンド達がこぞって現れる。
これがプログレッシブ・ロック ムーヴメント。
多様化し、複雑化したロックのひとつの新しい形であった。
そんなプログレの名盤 『おせっかい』
原題はMeddle。そのままの翻訳である。
ピンク・フロイドはじめプログレッシブバンドの邦題は洒落ていることもあるが、意外と直訳も多い。
それでいてなんか洒落てる感が出るので、原題もまた洒落てる。その辺の、所謂厨二感がプログレらしいところでもある。
内容に話を進めよう。
A面の代表はなんと言っても1曲目。
「吹けよ風、呼べよ嵐」
かっこよすぎである。
原題「One of These Days」
原型はどこにあるのかわからないが、カッコイイのでいい。
邦題の元になったであろう吹きすさぶ風の音からスタートする。ギルモアのギター、ベース、ウォーターズのベースが不気味かつ、幻想的に交差する名曲。
幻想的かつ壮大にスタートし、A面は歌モノ主体で展開していく。
3曲目「Fearless」はアコースティックな歌モノで、およそプログレとは結びつかないのだが、アルバム通して見た時に、この1曲のもつ構成的重要さは計り知れない。また彼らの原点がサイケバンドであることからも、違和感はない。そして名曲。
A面はアコースティックなサイケ歌モノ中心。
そしてB面。
1曲のみ収録。
大傑作の「エコーズ」 1曲で23分。もはやクラシックだ。
レコードB面この1曲のみ。
尖っている。尖りまくりである。
これぞプログレ。
水が滴り落ちるような荘厳なキーボードに始まり、ギター、ベースと楽器が増すにつれ、静かにそして激しくなっていく。
下支えするロジャー・ウォーターズのベース
唸るように鳴くようなデイヴィッド・ギルモアのギター
正確に刻まれるニック・メイスンのドラム
多彩に音色を操るリチャード・ライトのキーボード
個々の音が織り成すハーモニーはキャリア史上最高の出来栄えのひとつだ。
23分の前半後半で表情が変わるものの、1曲の体裁はくずさず展開。かったるさも退屈さもなく、目まぐるしい変化に心奪われる。
まさに天才的楽曲センス。
本作は、辿ってきたサイケデリックの道とこの先歩んでいくプログレッシブ・ロックの未来とが実に上手く融合されており、ピンク・フロイドというバンドを理解するのに最適だ。
名盤ランキングの常連ではないが、個人的にはマストな名盤。
プログレって難しいんでしょ?って人にも是非入口として聴いてみてほしい。
品物は俺たちのディスクユニオンで。
ユニオンさん、頼むから色々ちゃんとして、復権してくれ…。
国内盤セールで発見。
盤の汚れ方には絶句したが…掃除してしまえばあら不思議。良質な音でかなりいい状態に。
元が良かったのは幸運。とはいえさすがに拭き取りくらいしてから棚に置いて欲しかった…
お気に入りの1枚なので割と頻繁に聴いている。
聴く度にグッとくる。
名盤で1杯。
熱帯夜にはもってこいだ。
さて今日はこの辺で。
こんな時間になってしまった…
明日から戻り梅雨?
気温が下がるのは歓迎だが雨は勘弁願いたいものだ…
日常の片隅に名盤を。
明日はシリーズ2日目。
また明日、プログレの沼でお会いしましょう。
それでは!!
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