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2024ベルリン観劇記録(5) AIDA

2月10日、ベルリン5本目。
Deutsche Oper でジュゼッペ・ヴェルディのオペラAIDA。


指揮 Carlo Montanaro
演出 Benedikt von Peter
舞台美術 Katrin Wittig
衣装 Lene Schwind
映像 Bert Zander
コーラス Jeremy Bines
出演 Patrck Guetti、Yulia Matochkina, Rebeka Lokar, Alfred Kim, Byung Gil Kim, Jordan Shanahan, Attlio Glaser, Sua Jo, Chor der Deutschen Oper Berlin, Orchester der Deutschen Oper Berlin


3階席扉前に準備されている大太鼓


 休憩込みで3時間15分。イタリア語歌唱にドイツ語と英語の字幕。2015年初演の演出。一度完成したらしばらく楽しめるレパートリーシステム、ありがたい。今日はアイーダとラダメスが23/24オリジナルキャストから変更。

 通常の舞台面にオーケストラ、オーケストラピットに蓋をしてアクティングエリア、舞台面中央から短い花道という特殊な作り。アムネリス・アイーダ・ラダメス以外の歌い手とコーラスは客席のどこから登場するかわからない。わたしは節約のため常に3階席であるから、1-2階席で何が起こっているのか全くわからず視覚的には退屈してしまった。生中継される映像も舞台上にいる三人のみであり、コーラスや他の歌い手は一切わからない作りなのだ。後でわかったことだが、客席で歌う彼らには照明さえ当たっていなかったようなので、1-2階席であっても全貌は見えない。「顔が見えない大勢の声」に「勝ってこいよ!」と勇ましく追い詰められるラダメスの姿が苦しい。wikipediaには「ラダメスは情熱的な性格」と書いてあるのだが、この演出ではどちらかというと引きこもり状態で戦いたくないナイーブな青年に見えた。アジア系の男性が黒縁の丸メガネをかけているからか……?とも思ったが、2023/24のオリジナルキャストの写真を確認しても溌剌とした印象は受けないので意図的なものだろう。 

インターバルで撮影
ここからエジプシャン・トランペット


 『凱旋行進曲』エジプシャン・トランペットや大太鼓、後半のコーラスが3階席最後列から響き、大変な迫力であった。素人考えだが、音がまとまって届く上階の席は、特にこのような演出の場合、音響的に実はちょっとお得なのではないだろうか。機械で増幅された音に鳴らされているわたしには、生の歌声の迫力が物足りなく感じることがある一方、スピーカーの位置によっては(突発性難聴を発症したことがあるため)耳が痛く感じることもある。今回の上演・演出では人間の体が生む音楽的な力強さと美しさを十分に楽しめた。というかそもそも劇場の構造などの理由でとっても音がいいのかもしれない。

カーテンコールでオーケストラ前の紗幕が
パリッと落とされるの、良かったな

ドイツで観られるお芝居の本数が増えたり、資料を購入し易くなったり、作業をしに行くカフェでコーヒーをお代わりできたりします!