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2024年ベルリン観劇記録(33)Penthesilea: Ein Requiem / პენთესილეა. რეკვიემი

3月29日、ベルリン最後の一本はドイツ座のKammerで個人的に注目しているジョージア出身の作家/劇作家Nino Haratischwili の新作。

作 Nino Haratischwili
演出 Nino Haratischwili
舞台美術 Julia B. Nowikowa
衣装 Gunna Meyer
振付 Wara Cajías Ponce
コンセプト映像 Zaza Rusadze
照明 Marco Scherle
ドラマトゥルギー Bernd Isele
出演 Almut Zilcher, Eka Nizharadze, Anano Makharadze, Nestan Bagration-Davitashvili, Manuel Harder, Jens Koch, Andreas Reihse


 トロイの城壁を前にしたギリシャ軍。アマゾネスが現れた時、システムの闘いが陣地戦となった。アマゾネスは誇り高き女戦士たちである。――彼女たちの先頭に立つのは女王ペンテジレーア、かつて輝いていた英雄アキレスを探している。女王はアキレスに許されざる恋をしている。アキレスの方も女王に言葉にせざる恋をしていた。双方共に人を殺すことに疲弊しているが、戦争はどんな英雄たちの手にも余るほど拡大していく。戦場が命を巡り活気付く中、愛と死の冷酷なゲームが始まるのだった。(…)
 ニノ・ハラティシュビリは本作を通して古代の神話の新たな意味を提示し、二つの世界の衝突を犯罪捜査のごとき精密さで分析している。

https://www.deutschestheater.de/programm/produktionen/penthesilea-ein-requiem


 


 110分。2024年2月23日初演、できたてほやほやの新作である。ニノ・ハラティシュビリのギリシャ神話原作演劇三部作の第二作に当たる。年老いたペンテジレーアによる回想の形をとる。
 本上演の特徴は字幕が常に二種類表示される点にあるだろう。プロセニアムの中央が「ジョージア語/ドイツ語字幕」で、上手は常に「英語字幕」である。ペンテジレーアとアルシビーがジョージア語を話す時は中央にドイツ語字幕、ドイツ語を話す時はジョージア語の字幕が表示される。
  言葉や容姿から東欧出身と見受けられる女性客が目立った。自分の隣の席の女性が大変熱心に観ており、カーテンコールは大盛り上がり。拍手と歓声が大きく、観客に受け入れられているのがよく伝わった。個人的にはドイツ語母語ではないのあり、字幕と聞こえる言葉の言語で混乱してしまった。ハラティシュビリの演出には工夫が見られるものの、効果的とは言えなかった。「二つの世界の衝突」の表現を、言語(字幕)に頼りすぎではないだろうか。作家故のこだわりが足枷となったように思う。


ドイツで観られるお芝居の本数が増えたり、資料を購入し易くなったり、作業をしに行くカフェでコーヒーをお代わりできたりします!