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『ダイの大冒険』スピンオフ作画に抜擢された芝田先生とはどんな人?名作短編『花侍のサハラ』

1989年から1996年に「週刊少年ジャンプ」で連載され、4,700万部の発行部数を誇る『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(以下、『ダイの大冒険』)が2020年の今、新展開を迎えています

約30年ぶりとなり、再びTVアニメ化、TVゲーム化、データカードダス化など多方面で展開がありますが、原作が漫画なので、漫画関係の新展開がやはり嬉しいです。

当時のカラーページを収録した新装彩録版の刊行開始だけでなく、主人公・ダイを導いた師匠・アバンの過去を描いた『ドラゴンクエスト ダイの大冒険 勇者アバンと獄炎の魔王』が10月21日発売の「Vジャンプ」12月号から連載開始されたことは皆さんご存知でしょうか?

原作はもちろん『ダイの大冒険』から続投の三条陸先生!最高です。そして、作画を担当するのは芝田優作先生です。

芝田先生、誰!?と思った方もいるかもしれませんが、この連載決定のカットを見るだけで期待が膨らみませんか!?

少しだけ芝田先生の紹介をさせていただきます。

「週刊少年ジャンプ」を購読している方は2019年末から描かれた『ZIPMAN!!』(全2巻)の美麗な作画が印象に残っている方もいるのではないでしょうか。また、芝田先生は2014年に新選組が獣の力を宿した刀で戦う『ヨアケモノ』(全2巻)を描いていますが、今回は「週刊少年ジャンプ」本誌ではなく、2016年に増刊の「ジャンプGIGA」で描れた全1巻完結の『花侍のサハラ』を紹介させていただきます。

荒廃した世界に花を咲かせる侍・サハラ

「大戦」と呼ばれる大規模な戦争によって荒廃し、砂漠一面の世界になってから100年以上が経過した「新暦108年」。まだ幼さが残る少女・鴇色ヤエ(ときろ・やえ)は、花を再び咲かせる研究をしながら、志半ばで亡くなった父の遺志を継ぎ、一面に花が咲く父の故郷「世界樹の谷」を目指して旅をします。その過程で砂原サンジュウロウ(さはら・さんじゅうろう:以下、サハラ)という不思議な雰囲気の青年と出会います。

砂漠と化した世界の至る所に、「大戦」のために生み出された自律して動く鎧「自動具足」が亡霊のようにさまよっていました。サハラは、ヤエを救うために「花刀」という不思議な刀を抜刀し、「自動具足」を撃退します。

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『花侍のサハラ』(芝田優作/集英社)より引用

「花刀」によって倒された「自動具足」に花が咲いた光景を見たヤエは、サハラには何かがあることを感じ、サハラもヤエが花を大切にする姿を見たことで心動かされ、用心棒と依頼人の関係となって共に旅をすることになります。

サハラは自動具足と戦いながら、ヤエは父の足跡をたどりながら「世界樹の谷」を目指すことで、過去に起きた出来事と向き合うことになります。

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『花侍のサハラ』(芝田優作/集英社)より引用

サハラは100年以上前の「大戦」で活躍した伝説の「花侍」と深い関わりがありました。なぜ「花刀」を持っており使いこなすことができるのか? また、なぜ喪われつつある花に詳しいのか? といった謎が次々明かされていきます。

旅の終わりに、「世界樹の谷」の最深部でサハラとヤエを待ち受ける運命は、ぜひ皆さんご自身の目で見届けてほしいです!

芝田先生の魅力で『ダイの大冒険』スピンオフへの期待が膨らむ!

『花侍のサハラ』は、はじめから1巻で完結する物語として描かれているため、話が綺麗にまとまっていて、絵のパワーもあり、単巻完結の漫画としてはかなりオススメの1作です。

芝田先生の魅力について、もう少し語らせてください。

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『花侍のサハラ』(芝田優作/集英社)より引用

僕は、芝田先生の描く希望に満ちた表情が大好きです。

『ダイの大冒険』のスピンオフで描かれるのは、過去のアバンが「勇者」だった時代です。勇者が希望に満ちた表情で戦い、世界を救っていく様子にワクワクしないわけがありません

『ダイの大冒険』の作画である稲田浩司先生と芝田先生の画風はぜんぜん違うなと素人目に思っていたんですが、「ニカッ」と笑った顔は両方ともアバンです。この笑顔が描ける芝田先生が、アバンの物語を新たに作り出してくれるのが本当に嬉しいです…!

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『花侍のサハラ』(芝田優作/集英社)より引用

また、アクションシーンも良いです。

『ZIPMAN』と『ヨアケモノ』、そしてこの『花侍のサハラ』で描かれた多彩なバトルによって、芝田先生は人VS人、人VS大型の敵など、何でも描けることがわかるので、今回の新たな作品も安心して読めます!

『ドラゴンクエスト』で描かれるモンスターたちや『ダイの大冒険』のオリジナルキャラクターたちが、芝田先生によってどう描かれ、どのように動かされていくのか楽しみです!

しかも、先生は剣での戦いの描写もお手の物なので、「アバンストラッシュ」がめちゃくちゃ格好良くなるのはもう確定です。芝田優作先生が描く超絶クオリティの「アバンストラッシュ」が早く見たいです。

気が早い話ですが、芝田先生の大ファンなので、『ダイの大冒険』のスピンオフが円満に完結したあとは『花侍のサハラ』のようなオリジナル作品で大成してほしい! と願わずにいられないのでした。

『ドラゴンクエスト ダイの大冒険 勇者アバンと獄炎の魔王』大ヒットしてくれ!! という気持ちを込めつつ、今回のレビューは以上となります。

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