見出し画像

女性の私が“オナニーマスター”に魂を震わせることがあるなんて…!『オナニーマスター黒沢』が名作すぎた!!

今日、私が勇気を振り絞ってご紹介する作品はこちら!『オナニーマスター黒沢』です!!

ちょっと待った~!!!!

そこのあなた!見えましたよ!?『オナニーマスター黒沢』というタイトルだけで「ああ、どうせ下ネタギャグ漫画でしょ?別に読まなくていいや…」って思っている様子が、私には手に取るように見えましたよ!?

かくいう私も、そんな感じでしたとも!!WEB漫画界隈で話題になっているのは確かに知っていました…知っていたけど、でも、アラフォーの女性が読む漫画として、このタイトルはいかがなものなの?って勝手にシャットアウトしていたんです。

でも、私は間違っていた…!間違っていたんです!!このタイトルにこそ、深い深い意味があったんです…!!

『オナニーマスター黒沢』は、もちろん自慰行為に耽るシーンから始まります。

画像1

『オナニーマスター黒沢』(伊瀬カツラ/YOKO/ナンバーナイン)一巻より引用

主人公の黒沢は、放課後に学校の人気のない女子トイレの個室に忍び込んで自慰行為に耽ることに人生最大の喜びを感じている中学2年生。オカズは同級生の女子たち。ある日、そんな日課が同級生の女の子にバレてしまい、少しずつ歯車が狂っていくのです…

黒沢は、典型的な厨二病の子。明るく盛り上がれるタイプのクラスメートを斜に構えて心の中で見下し、逆の地味系のオタク集団のことも「同類じゃない」と見下す。自慰行為に耽る自分こそが至上の存在だと思っているんです。

画像4

『オナニーマスター黒沢』(伊瀬カツラ/YOKO/ナンバーナイン)一巻より引用

そんな自意識の塊のような黒沢は、ふたりの少女との出会いによって大きな転機を迎えます。

一人目は、クラスで女子からいじめを受けているスクールカースト底辺の少女、北原。

画像4

『オナニーマスター黒沢』(伊瀬カツラ/YOKO/ナンバーナイン)一巻より引用

この出会いによって、黒沢は女性なら全員が「生理的に無理。マジで勘弁してくれよ…」というレベルの行為に手を染めることになります。

二人目は暗かった自分を捨て、明るく生きる選択をしたクラスメイト、滝川。

画像3

『オナニーマスター黒沢』(伊瀬カツラ/YOKO/ナンバーナイン)一巻より引用

スクールカーストの上位にいる滝川がフラットに接してくれることで、黒沢は初恋を体験します。そしてそこから派生する様々な感情の渦に飲み込まれていくのです。

最初は女子トイレという狭い世界にこもり、外に心をも閉ざしてたた黒沢。そんな彼が、北原によってトイレから引っ張り出され、滝川とコミュニケーションを取ることで変わっていくーーそう。これは、黒沢の心の大いなる成長物語なのです。

オナニー=自慰行為。最初は個室にこもって自慰行為に夢中だった黒沢が、勇気を振り絞って外の世界に踏み出し、他人と交流することでも「自らを慰め」ることができると気づいてシフトチェンジしていくーーそんな黒沢に、いつの間にか私たちもまた、慰められているのです。

そういう意味だったのか、「オナニーマスター」って…!!マジでマスターじゃないか黒沢!!

最初はこの作品、タイトルで客を逃してない?損してるんじゃないの?って思っていたんですが、こう考えると替わりのきかない秀逸すぎるタイトル。漫画好きならば、絶対に通るべき道ですよこの作品は!!

あなたも、黒沢のオナニーマスターっぷりを覗いてみませんか?

WRITTEN by 上原 梓
※「マンガ新聞」に掲載されていたレビューを転載
※東京マンガレビュアーズのTwitterはコチラ

この記事が参加している募集

読書感想文