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ほんとうのきもち

2023年春より、日本を離れて暮らしています。
仕事を一切辞め、一旦1年間は語学学校へ。その後は、現地で就職するか、英語で学びを得られる大学に行くか、まだ決めていません。2023年の11月頃に次の進路を決められたらなと思っています。

「海外で暮らすわ」という話を切り出すと、皆応援の言葉とともに「思い切ったね!」と言いました。多分、わたしも同じ立場なら、同じことを言ったと思う。でも、わたし本人としては、それが特に「思い切った」選択には思えませんでした。……、というと、ちょっと言いすぎですが(だとしたらこんなふうに改まって記事は書かないもんね)。
年単位で、ピース数の分からないジグソーパズルをパチパチとはめていて、2022年に一気にそれが完成に向かってしまったというべきか。最後のパズルピースがはまったとき、わたしはどうしようもなく泣いていました。
以下は、そんな年単位のパズルの話、もとい、長い長いひとり語りです。

海外で暮らしたいと思い始めたのは、実は2019年4月まで遡ります。このとき、わたしの人生で3度めのアイデンティティが打ち砕かれる出来事がありました。今まで見ていた世界の狭さをまざまざと見せつけられたと同時に、十年とかの単位で護ってきた(護ろうとしてきた)ものがついに打ち壊れました。世界の色がビビッドに見えると同時に、とにかく別の環境に移りたい、今自分の色が染み付いた場所から逃げたい、と思った1年でした。

2020年、30歳になったところで転機が訪れます。仕事で経営レイヤーに携わるよう命じられたのです。もともとそんなにガリガリと仕事をする気はなくて、給料を上げるかと問われたときに仕事を増やしたくないからという理由で断ったぐらいだったのですが、年齢の節目もあり、仕事を頑張る必要もあるのかなと思い引き受けました。

そこから2年間、マジで仕事しかしてない、というぐらい、がむしゃらに毎日仕事してました。日本に家を買うことも本気で検討していたし、仕事には夢がありました。新卒からこの歳までのキャリアの中で間違いなく一番やりたい仕事をしていたし、事実、楽しかった。でも、無茶な仕事の仕方はやっぱり続かない。違和感もどんどん積み重なっていきました。

ちなみに、これは余談&あんまり人に公言していなかったけれど、エンターテインメント系の仕事をしていました。守秘義務があってあんま詳しいことは言えないのですが、仕事の最初の方はとあるファンクラブ会員向けの商品開発やらイベント設計やらをしていて、最後の方はがっつり中核の企画やら制作やらをやっていた感じです。Twitterの日本のトレンドにも自分の仕事が何回かのりました(※無論、私がひとりでやったという感じではありませんが…)。いやー、おもろかったなあ。

そんな折、長期休暇中、『あさイチ』で渡辺直美さんがゲストにきた回を見ました。彼女は今NYに住んでいるらしいのですが、大して喋れもしない英語で毎週Podcastをやっている。日本で不自由なく仕事もできるだろうに、それを一切取り払って、世界のファッションアイコンとなって、毎日挑戦している姿に、「この場から離れられない」というのはただの言い訳で、自分は何をしているんだろうという気持ちになりました。
もともと移住するなら地中海付近がいいな、と思っていて、まず大好きなクロアチアについて調べると「デジタルノマドビザ」という制度に行き着きます。ああ、仕事をやめなくても海外に移住できるじゃん!
2022年9月、私の中で2023年は海外に住むイメージが明確に浮かび上がりました。たまたま知り合いに話すと、マルタ共和国にエージェントをしている知り合いがいるとのこと。「ああ、絶対に行くんだ」と確信しました。なんか名前も似てるし。

休暇があけての3ヶ月間。仕事が、楽しいよりつらいが上回る日々が続きました。それでも、来年は海外にいくんだ。お金がなくなるのはやっぱりマズいんじゃないか。今の仕事を上回る楽しい仕事にはつけないんじゃないか。何度も何度も自問自答して、やり過ごしていた、のですが。

2022年12月某日、友達からこのPVが送られてきました。

彼女にとっては、いつもどおりの単なる「布教」でしたが、私には一つの衝撃を与えました。このPVに、新しい表現はない。イメージのできる範囲の、今までの想像の範囲内で絵コンテの切れそうなPVだけれど、プロフェッショナルの仕事が詰め込まれている。それは演者もそうだし、映像も、技術も、構成も。わたしは「そういうこと」がやりたい。今の仕事も、吐いて捨てるほどあるエンターテインメントで人を楽しませることも尊く楽しいけれど、このPVは今の場所では作れない。そして、今年1年このような気持ちにさせてくれた映像は、日本にはなかった。ここで完全に最後のパズルのピースがパチリとハマりました。わたしはもうここにはいられない。骨の髄から滲み出るような納得が涙になってただただ流れていくのを止めることはできませんでした。

もうひとつ理由をあげるとしたら、仕事でものすごく自分の価値を高められたというのもあります。いわゆる「世間一般」みたいなものに、もう足を引っ張られることがまったくなくなってしまった感覚があって。「一般的には~しなきゃだよね」みたいなことに対して、「まあ私はできるけど」あるいは「まあ私はやらなくてもいいけどね」と思える強い自信のようなものがついてしまった。それは、365日まじでアウトプットし続けた経験や、まあいうてしまえば生活の上での余裕みたいなところもある。
いいこともある反面、忙しければ忙しいほど、人間性を失っていく感覚もあって。ああ、どんどん性格悪くなっている気がするな…と思いながら仕事をしていたのは(それがたとえ杞憂であったとしても)つらかった。だから、一度ブレイクタイムをとるべきだと思っていたことも重なったとは思う。

受験で最も足を引っ張ったのは英語だった。でも、英語が喋れなきゃスタートラインにも立てん。取得できる情報量が違いすぎる。そんなわけで、とりあえずラフに喋れるぐらいにはならないといけません。

ありがたいことにいろんな人に送り出してもらって、今ここにいるわけですが、レッスン2日目にして正直帰りたい気持ちでいっぱいです。笑
自分のプライドの高さと、「何もわからなさ」を自覚してまったく唖然としています。I almost cry! なんもきけねえ、なんも話せねえ。超高速でレッスンが過ぎ去っていくので、文法云々の前にクラスレベル下げてもらってスタートしたほうがよかろうなという気持ち。でも、まあ反面、そういうことを体験しにきているよな、と気を取り直しています。だってもう日本でできないこと、ほとんどないもんなあ。もういちどアイデンティティを壊して、そこからスタートだね。

そんなわけで。みなさまも元気にお過ごしください。
これから、今日の分の英語の復習をします!

I'll do my best in this country. I'm happy to spend new life!
If you come to Europe, please message me! I'd like to see you and go around together :)

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