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スーパースター

Kinki Kidsに突然ハマった。

2021年8月までは、本当に仕事ばかりしていた。朝から晩まで仕事のことを考えていた。いや、実際には、コンクールにも出て、そのためにピアノも練習していたのだから、そんなことはないはずなのだが、でも、今思い出してみても仕事のことしか思い出せない。「つくる」仕事、「調整する」仕事、「人を見守る」仕事をいっぺんにやっていて、心のすべてを尽くしていたら、私の中にはなにもなくなってしまった(脂肪はめちゃくちゃついたというのに)。8月~9月はもともと休むと宣言していたものの、こんなになんにもできない予定ではなかった。Exhaust。まさにそれだった。

いい歳してすごすごと実家に逃げ帰って、毎日本当になにもせず過ごした。ポケモン図鑑がすべて埋まって、おいしいご飯のおかげで少しだけ痩せた(でもお酒を飲んだらすぐに戻った。痩せなければ)。

1ヶ月ぐらい体を休めばなんとかなるだろうと思っていたけれど、心は死んだままだった。ああ、私はこれから仕事に戻るのか、と考えたら、涙が止まらなくて、起き上がれなくなった。体と心はリンクしているからと楽観視していたが、体は体、心は心のメンテナンスが必要だったんだなあと今更気づいて絶望した。だって、もうあと数日後には復帰しなければならない。心のメンテナンスはどうにも間に合いそうにない。心臓がどこまでも重たく、地球上から誰も悲しまない方法で蒸発できる方法を考えるほどだった。ふう、これはまずい。なんとかしなければ。

そんな折、YouTubeで動画を見た。Kinki Kidsの動画だ。見れば見るほど心のすきまが満たされていく感覚があった。すごい。アイドルすごい。いや、Kinki Kidsすごい。キレのあるダンス、圧倒的な歌唱、とぼけたトーク。全部が私を元気にした。もともとジャニーズ所属のアイドルの中では一番好きだと思っていたけれど、これはもうその域をこえてしまった。

反面、動揺もしていた。だって、アイドルのファンになることに縁がない人生だったのだ。どっちかっていうと苦手、回避したい、もっといえば斜めに見ていたいタイプで、わざわざ通らないようにしてきたと言ってもいい。そもそも、私は誰か(あるいは、なにか)を「大好き」になることすら苦手で恐怖なのだ。少し前の私なら、このこみ上げる気持ちを必死に押し殺していたように思う。(※言葉を選ばずにいえば)「よりによってアイドルを大好きになるなんて」――。

……しかし、そんなちっぽけなプライドは、まったくどうでもよくなった。こんな自分を一瞬で幸福にしてくれた人たちを応援しない理由はない。いい歳だからこそ、この気持をちゃんと認められる。オタク友達から教わった数々の知恵もある。すべてを犠牲にして仕事をしていたおかげで少しはお金もあるから、CDもBlu-rayも買える。大人って最高。ああ、こんなことならドライブ付きのパソコンを買っておけばよかったなあ。

というわけで、新参ですが陰ながら応援していきます。もしも逢えたときは誇れる様に。……仕事もがんばります。

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