きまぐれカード紹介⑤ アイズ・カノープス
むかしむかし、武蔵国──まあ、今の東京とか埼玉じゃな──の、蝶某字という所に、仙太郎という若者が住んでおったそうな。
蝶某宇というところは、当時はとにかく田舎でな、近くに街道も通ってはおらず、ただ田んぼやら畑やらが、だだっぴろく広がっているだけの、寂しい村じゃった。人もほんの少ししかおらんでの、もしかしたら犬猫鶏の方が多かったかもしれん。
仙太郎はそんな村の普通の百姓の家に生まれて、普通に育ったそうじゃ。何にでも興味を持ってしまう好奇心旺盛な子供で、よく木登りやら川