見出し画像

《日記》空に齧られたお月様

21時ごろ、仕事を終わらせて家路についた。
いつものように空を見上げると、

月、なんか変じゃね?

全体的に赤みがかっていて、一部分だけ、三日月分くらいの面積はいつもの通り明るい。
なにこれ、神様のいたずら?
いつもとは違う月に興味をそそられながらも
外の寒さに負けて部屋に入り、ダラダラSNSを見て
今日は月食の日だったのだと知った。

なるほどね。
普段は見かけない天体の専門家や写真家が
私のTLであれこれと月食に関する情報を垂れ流してくれている。

何百年ぶりかのなんとか星食らしく、
写真の方のSNSも、
一眼レフを持っている知り合いなんかは、
月の写真をあげていた。
実物を見るよりも、こっちの方がよっぽど良く見えるや。


月食じゃない日の、月を見上げる人はどのくらいいるんだろう。

少し影を潜め、怪しい雰囲気を醸す赤い月は
空から、異世界の人が飛んでやってきて、誰かを連れ去ったり
するのではないかと思うくらい
妖艶で、不思議と引き込まれてしまう危ない魅力があったけれど
見ると、ちょっと興奮しちゃったけど。

いつものふんわりぼやぼや白っぽく光っている月も
見上げると安心して、とても好きだ。

月がかけている日は星が一層よく見えて
冬の大三角形や、カシオペヤ座
小学生の時に習った星座が、教科書に載っていたまんまの形で
私の上で、当たり前のように瞬いている。
この納得感が、とても好きだ。
「うん、今日もあるな」って感じ。

時は流れて、
私は歳を重ね、経験を重ね
できないことにいくつも遭遇し、
避けたり乗り越えたりして
住む場所も時々変わり

そんな忙しない生活の中で、
月や星は、変わらずそこにあって
かわるがわるな毎日の中で
私自身さえも、変化していくような世界の中で
君だけは変わらんのやなぁって
視覚の実家みたいな。
そんな温もりに包まれる。

特別な日じゃなくても
月と星空が当たり前にそこにある喜びに感謝して、
私は今日も明日も空を見上げます。
1日の終わりに見上げる月は
「今日もよく頑張ったね」って
言ってくれている気がするので。

ただ、月食は面白かった。
それは確か。

P.S, Akaneさん、画像拝借しました、ありがとうございます。