見出し画像

日本語教育文法書リビュー: 「初級日本語文法と教え方のポイント」シリーズ

  • Ichikawa, Yasuko (2005). 初級日本語文法と教え方のポイント. Tokyo, Japan: 3A Network. https://amzn.to/3v7Y4O5

  • Ichikawa, Yasuko (2007). 中級日本語文法と教え方のポイント. Tokyo, Japan: 3A Network. https://amzn.to/41x2gTV

以前紹介した「初級を教える人のための日本語文法ハンドブック」シリーズと並び、日本語を教える人のための文法書の代表的な書籍です。「初級」と「中級」の2冊のシリーズになっています。

著者は、どちらも「日本語誤用辞典」や「日本語教育指導参考書 22: 日本語教育のための文法用語」など日本語教育文法で多くの著書がある市川保子氏です。

内容的には、先生の視点から書かれたとても使いやすい本で、文法書としての価値も多いのですが、日本語教授法の書籍であると行っても良いかと思います。構成は、最初に「学習者からよく出る質問」という項目から始まり、ここで、こんな文法に関する質問が来たら返答できるかどうかが自己評価できるようになっています。その後、「学習者の誤用例」があり、ここでも誤用に対してどのように指導するか考えることができます。その後、「文法の説明」がかかれてあり、各節は、「指導法あれこれ」「指導法ポイント」など、文法項目を指導する際に効果的な指導方法がいくつか紹介されています。

全体的には、日本語を教える現場の視点が重視されており、文法項目に関して、先生が実際に直面するであろう質問や問題、また、効果的な指導方法が書かれてある、現場の先生向けの書籍です。

自分も、自分自身の中でちょっとあやふやな文法項目を指導する際には、この書籍に目を通しておくようにしています。すると、だいたい、書籍の中で紹介されている「学習者からよく出る質問」にある質問が学生から出てくるので、そう言った際に、この書籍の素晴らしさを実感します。

文法書としては、それほど深く書かれていないので、自己研鑽のために日本語文法研究をしたいという方は、こちらの書籍よりも「初級を教える人のための日本語文法ハンドブック」シリーズのほうが良いかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?