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北米で日本語の先生をしています。日本語教育での文法教育に関することを少しづつ書いていこ…

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北米で日本語の先生をしています。日本語教育での文法教育に関することを少しづつ書いていこうと思っています。

最近の記事

日本語教育文法書リビュー: 「考えて、解いて、学ぶ 日本語教育の文法」

Harasawa, Itsuo (2010). 考えて、解いて、学ぶ 日本語教育の文法. Tokyo, Japan: 3A Network. https://amzn.to/3NBgEET 全体的には、「日本語教育能力検定試験」対策の勉強用の本のような感じですが、全体的にとてもよくまとまっており、多くある「日本語教育能力検定試験」向けの文法参考書の中では一番気に入っている本です。 構成としては、タイトルにある通り、最初に非常に簡単に文法項目についての解説があり(ほとんど

    • 日本語教育文法 文法用語集

      日本語教育文法の文法用語集をまとめました。日本語と英語で表記して、必要なものには注釈をつけてあります。

      • 学校文法と日本語教育文法: 品詞

        今日は、学校文法と日本語教育文法の品詞の分類方法について書いてみようと思います。まずは、学校文法の品詞の分類です。自立詞か付属辞か、活用があるか、などの特徴により、「動詞」、「形容詞」、「形容動詞」、「名詞」、「副詞」、「連体詞」、「接続詞」、「感動詞」、「助動詞」、「助詞」に分類されています。 おそらく、学校文法と日本語教育文法の品詞の分類方法の違いで、一番頻繁に例にだされるものは「形容動詞」の扱いだと思います。学校文法の「形容動詞」は、日本語教育文法では形容詞の一種とし

        • 日本語教育文法書リビュー: 「初級日本語文法と教え方のポイント」シリーズ

          Ichikawa, Yasuko (2005). 初級日本語文法と教え方のポイント. Tokyo, Japan: 3A Network. https://amzn.to/3v7Y4O5 Ichikawa, Yasuko (2007). 中級日本語文法と教え方のポイント. Tokyo, Japan: 3A Network. https://amzn.to/41x2gTV 以前紹介した「初級を教える人のための日本語文法ハンドブック」シリーズと並び、日本語を教える人のための

        日本語教育文法書リビュー: 「考えて、解いて、学ぶ 日本語教育の文法」

          学校文法と日本語教育文法: 活用

          主な学校文法と日本語教育文法の違いについて、詳しく考えてみたいと思います。今回は活用についてです。 学校文法においては、活用は非常に重要な文法要素で、例えば、品詞の分類なども、詞(自立語)と辞(付属語)の大まかな分類に加えて、それぞれの品詞が活用するかどうかで品詞の分類を行なっています(動詞、形容詞、形容動詞は活用する自立詞、助動詞は活用する付属語)。 動詞の活用については、学校文法では、未然形、連用形、終止形、連体形、仮定形、命令形が使われています。これは、古典/文語の

          学校文法と日本語教育文法: 活用

          日本語教育文法書リビュー: 「初級を教える人のための日本語文法ハンドブック」シリーズ

          Iori, Isao, Takanashi, Shino, Nakanishi, Kimiko, & Yamada, Toshihiro (2000). 初級を教える人のための日本語文法ハンドブック. Tokyo, Japan: 3A Network. https://amzn.to/3twZcdW Iori, Isao, Takanashi, Shino, Nakanishi, Kimiko, & Yamada, Toshihiro (2001). 中上級を教える人のため

          日本語教育文法書リビュー: 「初級を教える人のための日本語文法ハンドブック」シリーズ

          日本語教育文法の群雄割拠時代

          日本語を海外で教えてかれこれ15年ほどになるのですが、教え始めた当初から日本語の文法が、教科書、参考書、先生によってまとめ方に違いがあるなぁと感じてきました。最初は、自分の知識が足りないから、日本語の文法が体系的にまとめられないのかと感じていたのですが、最近は、日本語教育の文法は、日本語教育者が独自に考えをまとめたものを個々に教えている群雄割拠状態なんではないかと感じています。 いろいろな日本語教育文法について考察してみて、なんらかの系統だった解説などができればよいなと考え

          日本語教育文法の群雄割拠時代